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Posted by ブクログ
千里眼シリーズ第12弾後編。
友里佐知子がどうしてあそこまで左翼思想にのめり込んだのかがいまだにどうやっても理解できないことを除けば、おおむねこれまでの物語の伏線が一気に回収され、その上で宿敵鬼芭阿諛子との決着と怒濤のようにストーリーが展開する。
友里佐知子はあれほど資本主義に対して憎悪を燃やしていたのに、資本主義の権化のようにブランド品やステータスの高い外車などで身を固め、実はそうすることで自分の思想が変わっていっても良さそうなのにいつまでも旧態依然とした価値観を持ち続けていたという、それはそれで実は残念な人だったのかと半ばガックリ来たのは間違いない。とはいえ、阿諛子とはよく言えばハッピーな、悪くいえば予定調和的な関係を築き、ダビデもマリオン亡き後のメフィストコンサルティングをどう扱っていくのか、この先に含みを持たせながら去って行き、恒星天球教に絡む物語は一部紆余曲折はあったもののクラシックシリーズとしてまとめられ、決着を見たことになる。
いろいろとツッコミどころがないわけではないが、それでもこの長大な物語をしっかりと、しかもページを繰る手を休ませたくなくなるほど引きつけさせるところはさすがと言える。このあたり、毎度毎度感心させられる。
新シリーズがどうやって始まり、どんな物語が展開するのか、未読の身としては楽しみで仕方ない。
Posted by ブクログ
阿諛子は国家機密の空飛ぶ車でクーデター計画を実行に移す。直前に美由紀が打った秘策がわかった時の衝撃は大きかった。長編のすべてのエピソードはこのためにあったのかという感じ。終わり方も、敵を憎むという終わり方でなく、臨床心理士らしく心の問題に目を向けたのがよかった。