あらすじ
日本農業新聞
大反響を呼んだ連載小説、
ついに書籍化!
獣害問題、後継問題、夫婦の問題!
まるっと
伝説の農業コンサルタント森田繁子に
おまかせあれ!
食べれば腹の内も見えてくる!?
\森田繁子ってどんな人?/
・森田アグリプランニング社長で
農業コンサルタント
・仕事は主に農営診断、
経営改革などのアドバイスなど
・身体は縦にも横にもでかい
・50代、孫あり
・派手な出で立ちだがそれが彼女の戦闘着
・趣味は志ある人に協力すること
・自分にも他人にも厳しい。
・仕事も早いが食べるのも早い
言うときはビシッ!
怒るときはガツッ!
食べるときは静。
大いに食べて、腹割って話そう!
【あらすじ】
森田繁子は自然と農業との
ちょうどよいところを見つける
農業コンサルタント。
愛用の真赤なBMWに乗って全国各地へ。
時には、北海道、時には千葉。
今回の依頼は札幌からほど近いところにある
四谷農場をしている四谷登さんからだ。
獣害被害が多い地で、
普段対策をしている地に移住者が。
敷地に入ることを拒まれ困っているという。
さて、森田さんはどんな方法で
お互いのよいところを見つけるのでしょうか!
■第一章 鉄砲と書物
北海道在住の四谷登は、エゾシカ駆除が
欠かず、山林に追い込み、猟銃で仕留めていた。
ところがその山林を購入した
30代の女性から駆除に待ったが入り――。
■第二章 山羊とアザミ
千葉県房総半島の内陸部にある松嶋牧場。
夫の勇人はヤギ放牧、
妻の由美はヤギ乳製品づくりに勤しむ。
しかし二人には距離があり、
牧場にも問題が!
■第三章 作る人と食べる人
佐久間千草は夫の浩一と共に、
彼の祖父・等と暮らしている。
「農家をやりたきゃやれ」と等に言われるも、
頑固で作業を教えてくれずにいた。
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Posted by ブクログ
美味しそうに食べさくさくと仕事をし礼儀正しく人の機微にも通じている森田繁子さん。
ビジュアルには圧倒されそうだけれどこんな人好感持たずにはいられないでしょう。
どんな人生を歩んできたのかもさることながら、ちょっとワケアリそうな娘と孫の話が向こう脛(泣き所ってことでしょうね)という章でチラ見せされているのがとっても気にかかります。
それにしてもでてくる食べ物がみんな美味しそう。読後装丁を見返すと繁子さんのようにお腹が鳴りそうです。
続きが楽しみな一作が登場しましたね。次はどんな人たちが出てきて、どんな風に手腕を振るうのか、モリシゲさん2作目早くも待ち遠しいです。
Posted by ブクログ
この本の作者って「愚か者の石」の河崎秋子やんな?と思ってしまった。こんなコミカルというかユルめの作風もできるんや。
派手目の化粧とスーツパンプスに深紅のBMWで登場する、50代農業コンサルタント森田繁子の目線で現代日本の第一次産業の問題をテーマにした連作短編小説。
シカの駆除問題から、スローライフブームを皮肉る1作目、ヤギ牧場経営を描いた2作目、Uターン帰農の若い夫婦と祖父のすれ違いから農家の後継ぎ問題をテーマにした3作目。
後半の作品になるにつれて、テーマが身近になってくる。それが意図されたものかはわからないけど、読んでて引き込まれていく構成にもなっていた。
連作短編の魅力である、登場人物の個性も、キーとなる森田繁子は勿論のこと、バイト助手の山田君はじめそれぞれしっかり描かれていて飽きさせない。
青山美智子のような風呂敷畳みはないが、次作に続きそうな最後もあっさりしているようで期待が出来て良い。
ゼロサムより腹八分目、その良さは色々しんどい想いを経てこそ実感できるんだろうなぁ。
Posted by ブクログ
先週、新聞書評欄(毎日新聞)に、著者近影と共に紹介されていて興味を持って手に取った。
直木賞作品『ともぐい』の印象が強烈だったので、覚悟して読みはじめたが、肩透かしくらいに軽いタッチのお話だった。
著者の本領発揮とばかりに(実家が酪農家、自身も羊飼育をNZにて学ぶ)、農業コンサルタントの森田繁子が主人公。
日本の農業、それと地方経済は問題だらけというのは肌感覚でも分かるところ。後継者問題、移住者との軋轢、効率化や新規事業展開、輸入品との競合など、素人でもいくつでも課題が挙げられそうだ。
本作でも、3つの章立てで、北海道の害獣駆除問題から、都市近郊のヤギ飼育家の新事業、地方の後継者問題を扱う。
元々業界紙『日本農業新聞』にても連載とのこと。新聞書評によると、忙しい農家さんが仕事の合間に読むことを考慮し「重い気持ちにならないように意識した」というだけあって、深刻な問題を扱ってもどこかユーモラスだ。
タイトルの「腹八分」も、対立する二者のどちらが勝ったり負けたりではなく、しかも譲り合って五分五分でもなく、そこにプラスαを生み出し両者が「腹八分」となる提案を心がけると言う離れ業を駆使するスーパーコンサルタント、それが森田繁子だ。
表の帯に「直木賞作家の新シリーズ開幕」とあるように、どうやら続編もありそうだ。そりゃそうだ、農業、地方、今の日本はあれこれ問題山積みだから、森田繫子の活躍の場は果てしないのだろう。
続編を匂わせてか、森田繁子のプライベートや過去の経歴はチラ見程度にしか明かされない。アメリカ総務省(だったか?)にコネがある? カーレースで南米を転戦? なんとも波乱含みの半生を過ごしてきた50代の豪快な女性のようだ。
横にも縦にも大柄な、赤いBMWを乗りこなす派手な服装と厚化粧という見た目のインパクトに反し、細かな気配りと、礼儀正しい挙措で、人心を掌握していくやり手ぶり。
キャラとしての外見は、その新聞書評の著者近影も、なかなかの堂々たる偉丈夫な、ふてぶてしさを醸し出していたので、自然と森田繫子像とダブって読んでしまった。
『ともぐい』ほどのインパクトはなかったが、農業問題を、実体験に基づいた地に足の着いた筆致で軽やかに描いてくれるなら、今後のシリーズも読んでみようかと思う。