あらすじ
「女性像」で西洋美術史を読み
いくつもの睾丸を持つ女神、いつまでも若いままの聖母マリアと女性化する天使たち、無理な姿勢で立っているボッティチェリのヴィーナス、ファム=ファタルに魅了されたクリムト……古代から現代まで、特異とも思える女性イメージはいかに生まれ、いかに変遷してきたのか。当時の社会における女性のあり方を明らかにすることで、知られざる名画誕生の舞台裏に迫る。西洋絵画の画題の多くを占めてきた女性像に注目するのみならず、「描く」側として自らの芸術を切り開いてきた女性画家にもスポットを当て、西洋美術史の新たな姿を描き出す。カラー図版多数を交え、当代きっての名案内人が、やさしく、深く解説する。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
西洋の絵画を中心に、女性の表象史を背景にある社会史や思想とつなげながら論じる、という試み。
史料としての絵…
絵を通して、有名になった絵を辿って、描かれた当時の女性についてこんなに知ることができるんだ、と。
画家の世界における女性、という点にも触れられていて、なんだかこの前読んだイラン人女性の置かれている境遇と重なる部分を感じ、
今では女性蔑視は自由に叫ばれているけれども、
それは本当に最近に可能になったことなんだなーと思ったり。
この一冊の本だけで物事を認識すべきではないけれど、女性の表象が強く男性によって作られてきた側面があることは事実の一部ではあるのだろうと。
この私たち歴史の一側面を認識し、共有することは、女性を悪役にするようなひどい考えかたを世界中から根絶するための一歩だ。
もっとこれからは女性たちが自分たちを定義して自由に生きられる社会にしていきたいと思う。