あらすじ
“奇跡”の限界集落で発見された首無し死体。愛国者にして救世主(パトリシア)を名乗る犯人は高らかに宣告する。「すべての地方都市を放棄せよ。人質は地方に暮らす8000万人の日本国民」。ドローンによる無差別テロの期限(タイムリミット)が迫る中、集落の住人でカリスマブロガーの陽菜子と、“死神”の異名を持つエリート官僚の雨宮は、日本の存亡を賭け、不可能犯罪に挑む。最注目作家による本格ミステリ×サスペンス! (解説・吉田大助)
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Posted by ブクログ
一見ラノベ風ですが、その実社会派ミステリーのような気がしました。
と言うのも、パトリシア(あえてそう呼ぶ笑)の主張は奇抜ではあるのですが、私自身も最近考えることがあるのです。
奇しくも本作が出版されて以降、度重なる自然災害とそれに付随する地方インフラが破綻していく様を目にすることが増えました。
必要とわかっていても救助に向かえない地域、なかなか復興の手が入らない地域、もはや人が住めないのでは?と思われる地域がたくさんあります。
そうこうしている間に、ある程度大きな都市部でも道路の陥没や、水道施設、鉄道の老朽化などが次々と起こっています。
便利になりすぎた社会を維持できない。
持続可能にしていくためには、どうしたらいいのだろう。
ある程度、自然災害に強い土地を選定し人を集め、人が住むに耐えない土地は自然に返すことも一つの手なのではないか、と。
それが正解かどうかは、もちろんわからないのですが。今のままでは、パトリシアの言うように国家滅亡は待ってくれないと思うんです。
しかし、ドローンの登場でクローズドサークルの意味合いが変わってきましたね。これはこれでおもしろい。
Posted by ブクログ
ドローンでの配達や無人カーなど、これからの時代に起きそうなことを含めた新時代のミステリーと言える。時間差のトリックなどは昔の鉄道小説と似たところを感じる。
すでに戦争ではドローンは使われているし、今後荷物の配送、無人機なども増えてくるだろう。数字に弱い私などは、時間差などわかりにくいところはあるが、読みやすいし、今後にも期待したい。
Posted by ブクログ
トリックは言われてみれば単純ながら、緻密に練られた犯行の数々には唸らされた。
雨宮の不遜でありながらその実国のために瞬時に行動に出られる誠実さは良いギャップだった。
視点主の女の子が過剰に口が悪い気がしたが、自らに自信のある(というように振る舞おうとする)若者はそういうものなのかもしれない。
題材が面白く、考えさせられる話だった。
Posted by ブクログ
その土地にずっと引き継がれてきたもの、伝統だったり文化だったり。そういう、生産性はない無駄なものが存在する余地が、豊かさってことなのかな。
もう、無駄なものに割り振る余裕なんてなく、生きるので精一杯、って…
あー、気分転換のはずの読書で現実が迫ってくる。