【感想・ネタバレ】天酒頂戴のレビュー

あらすじ

著作100作目となる記念碑的快作!

1868年晩春。陸奥国の南端に位置する東堂藩で大組藩士として奉職する若侍の左馬之助、重蔵、隼人は、大組番頭から呼び出しを受け、詰所の広敷に座っていた。江戸にいる藩主小笠原是信の意向で、江戸屋敷を守るようにとのお達しだ。
江戸幕府が消滅し、東堂藩も新政府派か佐幕派か、今後の判断を迫られていた。幼い頃から共に過ごしてきた三人だったが、意見は真っ向から対立する。東堂藩が新政府に従うことを決め、上野寛永寺周辺にたむろする彰義隊を討伐する命が下されるが、隼人は彰義隊への加入を志願していた。
多くの仲間が血を流し倒れるなか、重蔵はついに敵同士として隼人に対面してしまう。二人は激しく打ち合うが、元鶴田藩の妹尾勝衛が隼人の助っ人に現れ、重蔵を斬り殺してしまう。そこへ合流した左馬之助は、隼人が重蔵を殺したものと勘違いをし、逃げ去った隼人を討つと誓うのだった。
あの頃のようには戻れないのだろうか──。侍としての誇りと新時代に葛藤する男たちの、熱き友情を描いた青春譚。著者100作目となる記念碑的快作!

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Posted by ブクログ

 幕末の東堂藩の若待の時代に翻済される姿を描く。佐幕、新政府派に分かれた三人。重蔵が早々に討ち死にする展開には正直驚いた。
 だが、本作の本質は戦後の新時代との向き合い方を丁寧に描く点にある。隼人は重蔵を死に追いやったことで佐幕の意思を失い、町人たちと過ごしながらも左馬之介に討たれることを潜在的に望む。左馬之介も本意に逆らいながら隼人を打つことを生きがいとしている。武士というのは実にからっぽだと思わずにいられない。現代の政治家もそうかもしれないが権力を失うとただの役立たずになる。そこに「誇り」が加わると、余計に普通の生き方をするにも時間がかかる。互いに思い人が出来、夫婦としての夢を描くことができるのに、目をそらさずにはいられない不器用さがよく描かれている。
 最後は新時代の政治への希望を持ち、隼人・左馬之介は互いの心に向かい合うところで終わる。「天酒頂戴」は新政府が町人に配る酒でありながら負担は町人が
行うという皮肉と、それでも笑って利用する町人のたくましさを表し、時代に身を委ねることの重要性を二人に教えるという意味に思える。
 本作の欠点を強いて挙げるなら、数ページごとに主格が入れ替わる点。勢いに乗れず、読みづらくて仕方なかった。

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2025年08月09日

Posted by ブクログ

最後までハラハラしながら読んだ。だんだん二人が近づいて行く。話の締めとして、出会って、対決することになったんだけど、結局、どうなったんだ?希望のある行く末であって欲しい、と願う。

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2024年11月27日

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