【感想・ネタバレ】会社はどうあるべきか。人はどう生きるべきか。――評伝 伊那食品工業株式会社 塚越寛――のレビュー

あらすじ

トヨタ自動車株式会社代表取締役会長・豊田章男氏が
「私の教科書」「私の経営の師」と公言する、
伊那食品工業株式会社最高顧問・塚越寛氏の聞きがたり自叙伝。

塚越氏が提唱し、経営の根底を支えてきた「年輪経営」とは、
どんなに天候が不順でも樹木に年輪ができない年はなく、
一年に一本年輪を刻み、前年より確実に少しずつでも成長していくことになぞられている。

不況などにも大きく左右されず、低成長でいいから昨年より今年、
今年より来年と確実に成長していくことが大切ではないか。
成長は単なる売り上げや企業規模ということではない。
社員が明るくなった、会社のイメージがアップした、
人からいい会社になったと言われることなども立派な成長である。
そうしたことが社員のしあわせに繋がっていく。

社員がしあわせを感じられれば、
モチベーションが上がり業績も向上していく。
そして社会に役立つ企業へと成熟していくというものである。
極貧、結核、経営苦などいくつもの困難を跳ね飛ばし、
「年輪経営」で社員やかかわる人々のしあわせを願い続け実現し、
日本を代表する経営者や日銀総裁にまで影響を与え続ける、
塚越氏の経営力はもちろん人間性・人生哲学に迫る一冊。


■目次

●プロローグ【 悲運 】貧困と闘病の中で

●第1章【苦難と希望】どん底からの出発(たびだち)

●第2章【挑戦 】社員のしあわせの実現を目指して

●第3章【飛躍】 責任と夢と覚悟と情熱

●第4章 【信念】つながり広がるしあわせのカタチ

●第5章【未来】 すべては人々のしあわせのために

●エピローグ【永遠】いつまでも「まず社員のしあわせ」を考える会社であってほしい

■著者 斉藤仁(さいとう・じん)
映像プロデューサー、ディレクター 人を大切にする経営学会会員。
1956年群馬県伊勢崎市生まれ。 20歳で映画スタッフを志し単身京都へ。
幸運にも東映京都撮影所の録音部に職を得、『水戸黄門』などの時代劇制作に従事。
その後帰京し映画監督新藤兼人氏に師事、脚本の指導を受ける。
47歳で映像制作会社有限会社ジングを起業。
59歳のときに塚越寛氏の講演を聴き感銘を受け、日本でいちばん大切にしたい会社DVDブックシリーズとして、
『現場探訪編 伊那食品工業の年輪経営』『経営者インタビュー編 伊那食品工業株式会社 塚越寛会長 経営と人生
を語る』(当時)を制作し、あさ出版から販売。


■伊那食品工業株式会社最高顧問 塚越寛(つかこし・ひろし)
17歳のときに肺結核に罹患。3年間の闘病生活を送る。
21歳のときに子会社である伊那化学寒天(現・伊那食品工業株式会社)に社長代行として出向。
その後、社長・会長を経て現職。
経営哲学「年輪経営」は経済界に多大な影響を与え続け、国内外規模を問わず「師」と仰ぐ経営者が少なくない。
また、自社の発展のみならず、地元の発展にも注力。
なお、長野県では一般向け主力商品の「かんてんぱぱシリーズ」が幼いときから身近にあり、
親しみを感じるブランドとして浸透している。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『評伝 塚越寛』 斉藤 仁 著

 2009年にNHK番組に登場して、「こんな凄い人がいるのか」と心酔。以来、著作はすべて読み、(本書のエピローグにある福島から来たご婦人同様)本社まで車を飛ばすほど私淑している塚越寛氏。これまでの著書で概要は知っていましたが、本書は「私の履歴書」的で一連の流れを整理することができました。

 2009年の放映当時、塚越社長の伊那食品工業は、「寒天」の単一商品のみ(長野では「かんてんぱぱ」で有名)。「社員の幸せ」を第一に考えてリストラはせず、年功序列の報酬体系で毎年2%の定昇しながらも、43期連続増収増益。「いい会社をつくりましょう」を合言葉に『日本でいちばん大切にしたい会社』(坂本光司 著)にも掲載。このような内容でした。

 その後、どんな環境でも少しずつ成長を図る「年輪経営」を掲げ、トヨタ・豊田章男氏をして「経営の師」と言わしめ、多くの上場企業幹部や日銀・黒田前総裁までもが伊那市の工場を訪れるまでに至っています。

 経営環境悪化の際に、定昇1%を進言する幹部に対し、「人件費を削る経営なら誰でもできる。経理上は経費でも、人件費は目的である」と一喝。何より社員の幸福を追い求め、そのための手段として利益を創出。「利益はウンチ」のようなものであり、健康ないい会社(体)をつくれば、いやでも利益(ウンチ)は出るもので、利益(ウンチ)が目的ではないと語ります。

 上場企業ではないからできるとも言えますが、企業のマネジメントに関わる方には、是非手に取って欲しい1冊です。

PS
2019年に「トヨタイムズ」が掲載した塚越氏のインタビュー内容を引用。“人への思いやりを優しさと言うんですよ。「にんべんに憂う」って書く。だから優しいという字は、思いやりのことなんです。「人を憂うことに秀でた人」って書くと、「優秀」っていう字になる。これは偶然じゃない。やっぱり昔の人は考えている。思いやりの優れた人が優秀なんです。知識がある、計算が早い、そういうことじゃない。思いやりにもいろいろあって、同僚、部下、上司、会社、社会に対する思いやり。そういう思いやりをきちんと持っている会社が優秀な会社なんだと思います。字は哲学を教えてくれる。”

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2024年11月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

海外を視察して、東京のビルではなく、森を社屋にするように考えた。
社員の幸せを求めて、社会貢献をする。

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2024年12月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

優しいは人偏に憂うと書く。つまり人への思いやりがあること。優秀とは、人への思いやりが秀でているっこと。
『リストラなしの「年輪経営」』

目的と手段を間違えない。社員の幸せが目的。手段は利益を出すこと。
世の中をよくすることが目的。法律を守るのは手段。
会社の永続が目的、利益は手段。
金儲け以外のものが目的。
人件費は経費ではない。目的そのもの。人件費を上げれば目的に近づく。

賃金は年功制。表彰制度もない。みんなでしあわせになる。個人の成功は一人の力ではない。
朝の掃除。何割かは諸事情で参加していないが、お互い様だから誰も文句は言わない。掃除の効用、大切さを1年間語り続けた。休日も日課のようにガーデンの掃除を始める。

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2025年01月21日

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