【感想・ネタバレ】江戸の犯罪録 長崎奉行「犯科帳」を読むのレビュー

あらすじ

江戸時代の「大都会」長崎。200年、全145冊の記録が明らかにする時代の素顔!
抜荷発覚を恐れて自害した犯人の死体を塩漬けで保存。死骸を磔/心中相手を刺殺するも自分は死にきれず、自首して斬首に/奉行所から障子を盗み出したところを見つかり死罪/漁師のはえ縄が引き上げた銀子から抜荷が発覚。犯人は全員死罪/偽銀作りで親が死罪・獄門。子どもは縁座で遠島/遠島先で人を殺して死罪/1人の女が3人の男と密通。女を巡って刃傷沙汰を起こした男2人は刎首獄門、もう1人の男は陰茎切、女は鼻そぎ/密通相手の男を斬殺した夫はお咎めなし。密通した妻は死罪。

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Posted by ブクログ

こちらも全く専門外ですが、不倫への刑罰のきつさ、乱心者の狼藉については監督する家族が代わりに処罰を受けることなどから当時の家族観が見れるのが面白い。

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2025年11月22日

Posted by ブクログ

長い間に亘って綴られていたという貴重な史料を読み込んで判る内容が紹介されている一冊で、なかなかに興味深かった。出先の書店で見掛けて入手し、ゆっくりと読んだ。
江戸時代の長崎には長崎奉行所という官署が在った。江戸時代には幕府が直轄した各地の主要な都市での仕事を行う「遠国奉行」と総称される奉行が任命され、その奉行が現地に入って仕事をする場所が奉行所だった。
この時代の奉行所では、警察、刑事裁判も含めて地域の様々な事柄に纏わる業務が行われていた。奉行所というのは、現代で言えば、地方の様々な役目の役所や官署を幾つも兼ね備えたような機関であったのだ。その割には奉行所の機構は小規模なのだが、その辺は町に色々な役目を担う人達が在って、奉行所はそういう人達を指導して色々な仕事を進めたということである。長崎奉行所の場合は、その場所柄の故に貿易の取り締まり、厳格な管理を図っていた外国船関係や外国人が滞在した場所(「出島」や「唐人屋敷」)でのモノや人の出入りを巡る事柄等も扱ったという。
その長崎奉行所には、様々な取締に纏わる事項を記録した文書が遺された。17世紀半ばから幕末期の19世紀半ばに至る迄の約200年間に亘る記録が伝えられているのだという。重大な犯罪、種々の規則に関する違反、人々の揉め事の始末、その他色々なことが在って、犯罪とその捜査や処罰の顛末が主要な記録内容となっている。綴り続けられ、編纂され、編纂されたモノが後代に再度編纂される場合も在って、幕府の体制が終焉した後も大切にされて様々な研究の材料となっている。それが<犯科帳>である。
本書はその<犯科帳>を紐解き、「江戸時代の長崎という都市と人々」の姿を読み取ろうとしている。都市と人々とを読み取る際のツールとして犯罪事案の記録を利用しているのである。色々な人達が在って、彼らの間での摩擦、抱えている悩みや色々な事情が噴出する時に犯罪事案が発生するというものであろう。そこに着目する訳だ。
本書では江戸時代の長崎で起こっていた様々な出来事が取上げられている。「抜荷」と呼ばれる密貿易、唐人屋敷等からのモノの持出しや持込みというような、長崎という場所柄の故の事案、その関連が多いのだが、様々な内容が在って興味深い。現代とは価値観や、価値観に関連する行動様式の違いが在る時代なので「そういうようになる?」という部分も多い。が、時代は変わっても人間は変わらないのかもしれないと変に納得するような部分も多く在った。
実は長崎を何度か訪れた想い出も在る。本書の中に出て来る地名を見て「あの辺りの江戸時代?」と思いも巡らせた。本書の末尾には江戸時代の街や周辺が少し判る折り畳み式の地図も付いている。こういうのを少し見ながら本書を読み進めるのも面白いと思う。
江戸時代の各地の都市だが、人の流動性が現代よりも低かったと見受けられる中、各々の地域の様々な事情が目立った筈である。長崎というのは「通商」が生業の核を成すような都市で、関連する様々な仕事を担う人達の流動性が非常に高い地域というのが特徴でもあった。そういう中での様々な人達の生き様が<犯科帳>からは垣間見える訳だ。
偶々出くわした本だが、なかなかに興味深かった

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2025年02月28日

Posted by ブクログ

長崎奉行所の裁きの記録「犯科帳」。
江戸時代における社会の実情と犯罪について、
長崎という場所での特異性をも含め、分析し、紹介する。
序章 江戸時代の「リアル」を知る
第一章 長崎における「罪と罰」
第二章 人間模様さまざま――酒、男女の仲、喧嘩口論
第三章 犯罪者たちの素顔
第四章 法をくぐり抜けようとする者たち――「抜荷」を事例に
第五章 「隔離」された人びと
終章 「犯科帳」とはどんな史料か
・おわりに ・主要参考文献・参考資料 ・あとがき
・巻末地図「江戸時代の長崎」

事実は小説よりも奇なり。
長崎奉行所の202年間の「犯科帳」145冊から見える
裁きの記録は、江戸時代の、長崎という場所での
社会に潜む「罪と罰」を明らかにする。
江戸時代の法と裁きの基礎知識、刑罰、管理社会の中での
自訴や密告、長崎奉行の統治等を分かり易く説明する中にも、
裁きの記録が登場する。
日常生活に溢れる酒での事件、三人相手の密通からの重罰。
酒での過ちや男女の迷走は現代にも起こりうる事。
血縁・地縁・職縁の繋がりと、処罰は家族や子どもまでも縁座。
無宿人の問題。遠島先での事件。
刑罰によっては、男は非人原へ。女は遊女屋へ。
人間模様と人間ならではの悲喜こもごもが伝わってくる。
圧倒されるのは、唐船・オランダ船に関わる記録の多さ。
盗難や密輸、偽銀札に海外渡航、役人の輸入品横流しなど、
長崎ならではの事件の多さ。特に、あの手この手の抜荷の様子。
抜荷のために沖に停泊の船まで泳いでいくとは~。
追放刑を重ねても長崎に帰ってしまう理由。
死を覚悟してまで抜荷をする儲けのうまみ。
但し、史料としてはすべての判例が記されているわけでは
ないし、後世の編纂があるようなので、歴史資料としては
使いづらいとのこと。それでも当時の犯罪への興味は深まる。
なので、小説とかドラマのネタにもなりそうだなぁと
思っていたら、これらをもとにした「長崎犯科帳」という
時代劇TVドラマが過去に存在していたそうです。

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2024年12月01日

Posted by ブクログ

鬼平犯科帳でおなじみの「犯科帳」
それ自体は歴史資料なので結構読みにくいもの。それを時系列でまとめて読ませてくれる本。

長崎という貿易都市の土地柄か、抜け荷に関わる犯罪が多い。
また、万人平等の時代ではもちろんないので、罪の軽重はお上に脅威を与えたかどうかという感じ。お上的にどうでもいい犯罪はわりと軽い刑である。
でも、男女間のゴタゴタは厳しくいきがち。

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2025年10月30日

Posted by ブクログ

時代を知る資料としてよく調べて書いていると思うが、事件の内容がなかなか頭に入ってこなくて読みづらい。
【目次】
序章 江戸時代の「リアル」を知る
第1章 長崎における「罪と罰」
第2章 人間模様様々-酒、男女の仲、喧嘩口論
第3章 犯罪者たちの素顔
第4章 法をくぐり抜けようとする者たち-「抜け荷」を例に
第5章 「隔離」された人たち
終章 「犯科帳」はどんな史料か
おわりに
主要参考文献・参考資料
あとがき

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2025年01月28日

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