【感想・ネタバレ】ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」のレビュー

あらすじ

人手が足りない!
個人と企業はどう生きるか?
人口減少経済は一体どこへ向かうのか?

なぜ給料は上がり始めたのか、経済低迷の意外な主因、人件費高騰がインフレを引き起こす、人手不足の最先端をゆく地方の実態、年間労働時間200時間減のワケ、医療・介護が最大の産業になる日、労働参加率は主要国で最高水準に、「失われた30年」からの大転換……
10万部突破ベストセラー『ほんとうの定年後』著者がデータと取材で明らかにする、先が見えない今こそ知りたい「10の大変化」と「8つの未来予測」――。

【目次】
プロローグ――人手不足の先端を走る地方中小企業の実情

第1部 人口減少経済「10の変化」
変化1 人口減少局面に入った日本経済
変化2 生産性は堅調も、経済成長率は低迷
変化3 需要不足から供給制約へ
変化4 正規化が進む若年労働市場
変化5 賃金は上がり始めている
変化6 急速に減少する労働時間
変化7 労働参加率は主要国で最高水準に
変化8 膨張する医療・介護産業
変化9 能力増強のための投資から省人化投資へ
変化10 人件費高騰が引き起こすインフレーション

第2部 機械化と自動化――少ない人手で効率よく生産するために
建設 現場作業の半分はロボットと
運輸 自動運転は幹線輸送から
販売 レジ業務は消失、商品陳列ロボットが普及
接客・調理 デジタル化に伴いセルフサービスが広がる
医療 非臨床業務の代替と専門業務への特化
介護 記録作業から解放し、直接介助に注力する体制を

第3部 人口減少経済「8つの未来予測」
1.人口減少経済でこれから何が起こるのか
2.人口減少局面における社会選択

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Posted by ブクログ

ネタバレ

良書。
数値を解析、分析して説得力がある。
日本の人口減少は避けられない。そこでどうするか。
高齢者の消費は増加するので需要はそんなに減らない。人不足で企業は窮地に落ちる、今までとは違う局面に対応がせまられる。

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2025年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」』(坂本貴志著)読書メモ

【概要】
本書は、日本経済の現状とこれからを「人口減少」という最大の構造変化を軸に、豊富な統計データと現場取材をもとに読み解く一冊。著者は官庁エコノミストとしての経験を活かし、労働市場、産業構造、技術革新、地域経済、社会保障など多様なサブシステムを横断的に分析している。特に地方中小企業の現場事例を重視し、マクロデータと現場のリアリティを橋渡しする構成が特徴。

【主な論点と要点】
・日本は人口減少と高齢化が同時進行し、労働力不足が深刻化。
・労働参加率は女性・高齢者の就労拡大で過去最高水準。
・一方で年間労働時間は減少傾向、賃金は上昇しつつも物価上昇に追いついていない。
・医療・介護産業が今後さらに拡大し、社会保障の持続可能性が大きな課題となる。
・人手不足を補うため、省人化・自動化投資が産業横断的に進むが、中小企業では資金調達や技術習得の負担が大きい。
・地方経済では賃金格差が縮小傾向にある一方、後継者不足や人口流出などの課題も顕著。
・社会全体として「許容可能な均衡」を模索するジレンマが随所に見られる。例えば、労働力確保と労働者の負担増、技術革新による効率化と雇用の質的変化、社会保障拡大と財政制約など。

【ファクトチェック・現実との整合性】
・労働参加率や労働時間、介護人材不足などの主要データは公的統計と整合。
・建設業や物流の自動化目標も国の政策目標と一致。
・ただし、賃金上昇と物価上昇のバランス、地方中小企業の自動化投資の実効性など、現実には課題が残る。
・社会保障財源や移民政策の抜本改革など、政治的には踏み込みきれていない部分も多い。

【本書の構成意図・特徴】
・統計データだけでなく、地方中小企業の現場事例を冒頭や第二部で詳述。
・これはデータと現場のギャップを埋め、読者が変化のリアリティを実感できるようにするため。
・人口動態を主軸に据え、他の要因(イノベーション、企業ガバナンス等)はあえて脇に置くことで、構造変化の本質を明快に伝えている。

【印象と考察】
・本書はデータ重視で、感情的な議論やイデオロギー色は薄い。
・人口減少を「不可避の前提」として、現実的な対応策や均衡点を探る姿勢が一貫している。
・ただし、人口減少以外の要因や、より大胆な政策転換の可能性についてはやや踏み込みが浅い印象も。
・労働市場や社会保障の現実を直視しつつ、今後の日本社会の選択肢を冷静に考えたい人におすすめ。

【今後の課題・問い】
・賃金と物価のバランスをどう取るか
・社会保障の財源をどう確保し、世代間の公平性をどう実現するか
・中小企業や地方経済の持続可能性をいかに高めるか
・技術革新による雇用や働き方の変化にどう対応するか

データと現場の両面から「これからの日本」を考える上で、現実的な視点と課題意識を与えてくれる一冊。

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2025年05月11日

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