【感想・ネタバレ】その果てを知らずのレビュー

あらすじ

日本SF第一世代として活躍した眉村卓が晩年の病床で書き継いでいた遺作。SF黎明期に起こったこと、そして未来はどうなるのか――

今から60年以上前、大学を卒業して会社員となった浦上映生は文芸の道を志し、SF同人誌「原始惑星」や創刊されたばかりの「月刊SF」に作品を投稿し始めた。サラリーマン生活を続け、大阪と東京を行き来しての執筆生活はどのように続いていったのか。
晩年の彼が闘病しつつ創作に向き合う日常や、病床で見る幻想や作中作を縦横無尽に交えながら、最期に至った“この世界の真実”とは。

これぞ最後の「眉村ワールド」!

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Posted by ブクログ

〈いいのだ、いいのだ、それでいいのだ。
 というより、何だっていいのだ。
 どうせ近々この世からおさらばするのである。となれば、おさらばしない現実の存在を認めたっていいだろう〉

 リアルタイムで読んできたひとならば、あるいはその当時を知るひとならば、まったく違った感慨を覚えるのかもしれませんが、私は詳しくないので、読んだ素直な気持ちを綴ることしかできません。
 著者自身を思わせる作家、浦上映生がたゆたう現実と幻想、生と死の境。ただの回顧ではなく、小説への、フィクションへの強烈な愛と意志を感じました。SFのひとつの時代を支え、そして長い年月、書き続けた小説家が、小説家としての軌跡を、小説として表現した偉大な作品に圧倒され、畏敬の念を覚えました。

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2024年10月17日

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