【感想・ネタバレ】Z世代の社員マネジメント 深層心理を捉えて心離れを抑止するメソドロジーのレビュー

あらすじ

本書は「新入社員が会社に定着し、軌道に乗って戦力となるまでのプロセス」を研究・分析し、そのソリューションを数多くの企業に提供してきた著者が、若手の離職に頭を悩ませる企業のマネジメント層に、その解決策のヒントを与えるものです。

著者は「新卒の社員は30歳まで会社に居てくれたら、その後も残る可能性が高い」と分析しますが、現在問題となっているのはさらに下の世代の社員の定着であり、その課題は近年、重要度と難易度が急速に高まっています。加えて、「企業経営、さらには事業継続のためにも、若手社員に対する自社の体系的なアプローチ手法の確立が急務」と、著者は語ります。

本書は、新入社員を定着させるマネジメントの専門家である著者が分析した、「旧来の従業員よりも、最近の若手は個人の感情を出しやすくなっている」という傾向も鑑み、心理レベルでの社員の動向・意思決定の検証も交えた解説。具体的には、「どうすれば若手社員が退職という意思決定をしなくなるのか」という視点で、そこに導くためのプロセスを「若手社員の表層の言動」ではなく「深層の心理にアプローチする手法」を用いて、「真の会社定着を実現するための手法」を紹介します。

特に注目すべきは、社員の動向を3つのステージに分け、各々の段階における「離脱要因」や「懸念事項」を分析・検討したうえで、各々の対応策を提示する独自の手法です。これは多数の企業で実践され成果を上げているもので、実例を提示しながらマネジメントの要点を解説します。

部下をマネジメントするリーダーやマネジャー、経営者や人事担当者、また若手の育成を任された中堅社員のメンターとって、示唆に富む一冊です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

数年前に後輩ができ、その指導に当たっているものの、世代間ギャップやコンプライアンス意識の変化に伴って、腫れ物に触るように踏み込んだアクションが起こせていなかった自覚があったため、その溝を埋めるきっかけになればと思いこの本を読んでみた。

Z世代と呼ばれる若い社員の仕事対する意識の違い、つまり「組織人格」と「個人人格」のバランスの変化については、ゆとり世代に該当する私も共感できるものだったが、その割にZ世代社員との意識の乖離が目立つのは不思議だ。私自身、社会人になりたての頃は仕事よりプライベート優先で同じような考えを持っていたし、なんなら今だってそう思っている。おそらく私は経験を重ねることで個人人格優先ではあるものの、組織人格のウェイトが増加してきたのだろう。

私の個人的な感覚だと、Z世代社員は個人人格に全振りしている印象を受ける。それが悪いことだとは思わないが、組織に属することには恐ろしく向いていないので、そこをどう矯正していくべきなのか。この本ではそれに対するアプローチ方法を実例も交えて指南してくれている。会社のマネジメント層の社員の方はぜひこれを読んで実践してみてほしい。ただ、書かれているアプローチ方法の一部は、若手の指導に回すことができるくらい人材が豊富であることや、社員教育の予算が潤沢でないと簡単に出来そうにないものもあるので、もう少し中小に寄り添った対策にも焦点を当ててほしかった。

いずれにせよ、今の時代の若者は転職活動に抵抗が少なく、そもそも今勤めている会社を通過点、言い方は悪いが自分のキャリアのステップアップとしての踏み台くらいにしか思っていない、という大前提があり、ひとつの会社に繋ぎ止めるには個人と組織との一体化、会社に対する信頼感、つまり「We感覚」を持ってもらうこと。こういう書き方をすると、なんか宗教みたいに盲目的に崇めるみたいな構図が想像できるけど、何かを継続・定着するって結局はそういうことなのかもしれない。そういう境地に至らせることがマネジメント側の最高到達点だということだろうか……

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2025年01月02日

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