【感想・ネタバレ】介護格差のレビュー

あらすじ

団塊世代が全て75歳以上の後期高齢者となり,団塊Jr.世代は50歳を超える2025年.介護問題がさらに深刻化していくのは必定とされる.経済,医療・健康,情報,地域,親類・縁者,世代間,意識の7つをキーワードとして,介護保険の実態や課題を余すところなく解説.誰もが安心した介護生活を送るための決め手を探る.

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Posted by ブクログ

これは期待以上にいい本だった。初めのうちはちょっと気になったことをメモ用紙に書き抜いていたが、すぐにノートを用意しての勉強になった。
「学校統廃合」に関する本を読む時にノートに書き記しながら進めた経験を辿るようで、なかなかやりがいのある楽しい時間となった。
結城康博さんは多くの現場経験のあと大学教授になった人で介護の制度から現場までよく把握されている。
介護保険制度が破綻しかけている現状がある中で、私はもっともっと介護のことを真剣に学べと尻を叩かれた気がする。

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2025年03月30日

Posted by ブクログ

2025年問題は、団塊世代が75歳の後期高齢者となり医療・介護・福祉の問題として世間の注目を集め、団塊ジュニア世代が高齢者に突入する2040年問題も提起されている。医療・介護を受ける高齢者は今後も一定数を維持し、生産年齢人口の大幅減による医療・介護専門職の減少は、保険あって、医療・介護なしは目の前の課題。さらに政府の低福祉政策による経営や労務倒産・休廃業に激増に歯止めがきかない。暗い話しか出てこない、医療・介護業界にあっても、現状を「格差」をテーマに、親類・親族などの人のつながりの格差、経済格差、健康格差、情報格差、世代間対立などのテーマに、縦横に介護格差を紐解く。介護格差の問題提起に終始せず、最終章では介護格差是正の処方箋として、政府の政策の課題や財源論など、民主的で公正な社会の実現に向けて提起する内容は、重厚で納得の内容。医療・介護の専門職に限らず、誰もが安心できる介護生活を送るための決め手を探り、介護の問題を広く、深く学べる良書との出会いとなった。

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2025年01月09日

Posted by ブクログ

介護の現状について幅広くコメントしている著書だが、多方面へ目を向けて幅広い調査をしているのが素晴らしいと感じた.最終的には介護人材が不足しており、これから団塊世代が介護対象になるとさらに深刻な状況になることが確実だろう.対応策として公務員ヘルパーを作って、処遇困難なケースの対応をし、民間介護事業所はノーマルケースの対応をすることで、公私の棲み分けを提案している.さらに一定の医療行為が出来る「療養介護福祉士」制度を創設して、地方での雇用対策も兼ねた施策を発想している.介護をかっての公共事業に見立てて、新しい構想の新事業と位置付ける.有望な発想だと感じた.

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2025年08月19日

Posted by ブクログ

介護サービスの従業員基盤が、弱っており、大都市でお金がないと満足なサービスを受けにくくなっている。政府の支援政策も既存従業員の多少の賃上げにとどまり、行き届かず。そもそも介護行政は市区町村に任されているため差が出る中で、地方の税収が弱っている。
著者は、モンスターカスタマー、家族への対応が民間では難しいことも踏まえて、介護事業の一部公務員による引き受け、国が交付金を出すことを提案している。
介護は人対人のサービス業であるので、相手をリスペクト出来る人が施設の利用者、サービス提供者にもよりよい扱いを受けることができる。

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2025年04月19日

Posted by ブクログ

親が介護サービスを利用し始めて、ようやく介護の問題に関心を持つようになり、本書を読んでみることにした。
現時点ではサービスには親ともども満足し、自分も安心して働ける。
ただ、この状態は続く保証はどこにもないことが、本書によってわかる。

簡単に言ってしまえば、安心して介護を受けられるためには、経済力と周囲との人間関係というのが主旨。
本書は昨日(2024年11月30日)付けの新聞書評にも取り上げられていたが、今中年世代が本書を読むと、もう絶望的な気持ちになる。
社会全体の人材不足により、介護職がどんどん減っている。
来てくれたヘルパーさんが、要介護者より年上などということも起きる。
ケアマネは制度創設時に就業した人たちが退職期を迎え始め、若い人ではなり手がいないとか。

おまけに、行政は民間委託を進め、介護の現実がわからなくなっていく。
では民間業者ならいいかというと、物価高や人手不足で撤退・倒産する事業所も増えているという。
私たちの世代では、介護保険料は払っていても、サービスの供給者がないという状況になりそうだというのだ。

現状に対し、筆者はたん吸引や注射などの医療行為もできる「療養介護福祉士」を新設することや、ヘルパーを公務員化することなどを提言している。
どういう施策が必要なのかは自分にはまだよくわからないけれど、待ったなしの状況であることはよくわかった。

本書最後に、介護格差を乗り切る「介活」が掲げられていた。
・感謝の念を忘れず、ハラスメントの加害者にならないこと
・良質な介護サービスや施設を探すには、地元の口コミが大事
・介護の相談機関を、介護が必要になる前に調べておくこと
・かかりつけ医を持っておくこと

これでもか、と深刻な状況を知った後だと、これで十分なのかという不安はぬぐえないが、逆に言えば、これくらいなら自分で何とかできるのではないか、と思われる。

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2024年12月01日

Posted by ブクログ

現在の介護の抱える諸問題を実際の統計や数値をもとにわかりやすく説明している。行政は当てにならないけれど、情報を得て利用できることは利用しないといけないと思った。ただ、先行きどんどん不安です。

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2025年05月22日

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