【感想・ネタバレ】隅田川暮色のレビュー

あらすじ

呉服問屋生まれの冴子は、内縁の夫の実家が営む組紐づくりに魅せられ手伝う日々。職人として技量は認められるものの、肩身は狭い。そんなある日、八百年前の厳島組紐復元計画に誘われる。手仕事の歓び、前妻の影、幼なじみとの再会……。隅田川端に暮らす人びとの心の襞を哀歓込めて描く、日本文学大賞受賞作。〈解説〉堀川理万子

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Posted by ブクログ

呉服問屋生まれの冴子は、幼き頃は小児喘息で身体が弱かった。大人になり妻子ある夫と内縁関係という不安定な立場ながらも、夫の生家の商う「香月」で組紐を作っている。

序盤は、冴子が幼馴染の俊男に再会するところから始まっている。
今の生活や組紐を作ることに魅せられている様子を描いているのがあまりにも緩やかなので、少し物足りなさを感じていたのだが、3分の2を過ぎた頃から冴子の心の内が熱を帯びたかのような烈しさになってゆくので、こちらまで熱くなる。

葛藤と大胆さが交互になり、それに加えて幼馴染の俊男の読みにくかった感情までも見えてくる。


俊男の染める糸には艶と色気があると言ったのは、夫の父真造であるが、甥の響一も、もちろん夫の悠も夫の祖母加津も何かを感じていたのかもしれない。


紐への情熱と男に対しての情愛の凄さを感じ、生きるってのは罪深く命がけなのだと思わずにはいられなかった。




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2024年11月03日

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