あらすじ
理性偏重の啓蒙主義への反発から、18世紀末、ヨーロッパで感情を重視するロマン主義運動が興隆した。その先陣を切ったドイツロマン派は、不合理なものを尊び、豊かな想像力を駆使して、怪奇幻想の物語を数多く紡ぎだした。本書はそんなドイツロマン派の作品群の中から、ティーク「金髪のエックベルト」、コンテッサ「死の天使」、フケー「絞首台の小男」、アルニム「世襲領主たち」、ホフマン「砂男」など選りすぐった9篇を収録。不条理な運命に翻弄され、底知れぬ妄想と狂気と正気の狭間でもがき苦しむ主人公たちの姿を描く、珠玉の作品集。/【目次】ルートヴィヒ・ティーク「金髪のエックベルト」/ルートヴィヒ・ティーク「ルーネンベルク」/K・W・ザリーツェ=コンテッサ「死の天使」/K・W・ザリーツェ=コンテッサ「宝探し」/フリードリヒ・ド・ラ・モット・フケー「絞首台の小男」/ヴィルヘルム・ハウフ「幽霊船の話」/アヒム・フォン・アルニム「世襲領主たち」/E・T・A・ホフマン「からくり人形」/E・T・A・ホフマン「砂男」/訳者あとがき
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Posted by ブクログ
18世紀末ヨーロッパのロマン主義運動の中でも中心となったドイツロマン派。ホフマンをはじめとする怪奇幻想小説は好物なので読んでみた。
9つの短編が収録されているが、やはりホフマンの「砂男」が傑出している。それ以外で面白かったもののひとつはルートヴィヒ・ティーク「金髪のエックベルト」。エックベルトと妻との幸福な生活が、友人に話してしまった秘密をきっかけに、不安が生まれ恐怖に変わり、幸福が崩れていく。恐るべき真実が明らかになる。お伽話のような体で気が狂わんばかりの戦慄のラスト。いや、ラストで彼は実際に発狂する。
もうひとつ挙げるならフケー「絞首台の小男」。絞首台の小男とは絞首台の下に生えるマンドレイクの一種で所持する者に富をもたらすといわれるものだそうだ。ベネツィアを舞台に瓶に封印された不気味なものを売り買いするドイツの若者の物語。話が進むにつれて彼は取り憑かれたかのような恐怖に支配される。
どの作品も正気か妄想か狂気かという感覚が心地よい。