あらすじ
多くの動物にあって、ヒトにはないしっぽ。遠い祖先はしっぽが生えていたというが、いつの時点でヒトはしっぽを失ったのだろうか。はたまた長い歴史の中で、人は八岐大蛇や九尾狐など多くのしっぽを描いてきたが、そのしっぽの向こうに何を見ていたのだろうか。しっぽを知れば、ひとが分かる――。文理の壁を越えて研究を続けるしっぽ博士が魅惑のしっぽワールドにご案内!
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Posted by ブクログ
しっぽを、日本書紀から発生学まで、非常に多様な分野をご自身で学ばれ追求されているのはすごい。
こういう越境的な側面が、総合診療医に似てるなと思いながら読み進めた。
越境は楽しい!
Posted by ブクログ
文系、理系の垣根を超えた研究。筆者の専門しっぽ学。人間がしっぽを無くした理由の考察や骨の形状からしっぽの長さを考察したり。また世界に多くあるしっぽを失くす民話など。
筆者の試行錯誤していく課程が多く描かれるところが独自の魅力。
Posted by ブクログ
まだまだ研究途上のことも多く、これからの展開も期待される「しっぽ学」。その研究内容を素人にもわかりやすく紹介しながら、自身の研究者としての日常も綴り、筆者丸ごと親近感を持てる内容になっている。やわらかい頭で、学域を超えて縦横無尽に研究を進める中で、どんどん新しい見解も出てこようと思うので、いつか「しっぽ学2」もまとめていただきたい。京大が将来有望と太鼓判を押した若手研究者が所属するという「白眉センター」。白眉なその名称にも拍手!
Posted by ブクログ
モンキーはしっぽがある〝猿〟ニホンザル
エイプはしっぽがない〝類人猿〟ゴリラ、ヒト
テナガザルはしっぽがないエイプ…まぎらわし!
『猿の惑星』=『Planet of the Apes』
チンパンジーとオランウータンはしっぽがない類人猿だから…ってじゃあ『類人猿の惑星』じゃん!
語呂の問題?日本語の〝猿〟拡大解釈すぎ
えーーー!
Human tail、えーーー!
まじじゃん!しっぽじゃん!
おしりからしっぽ生えとる!すげーーー!
かっこよ…くはない!まったく!
これならいらんわ!
悪魔にはしっぽが描かれるが、天使にはしっぽがない
たしかに!
ばいきんまんにはしっぽあるけどアンパンマンにはない!やなせ先生さすが!
ドラえもんにはしっぽあるがしかし!コロ助にはない
なんでや!
Posted by ブクログ
幼い頃、わたしは、しっぽが欲しかったw
で、母のキツネの襟巻(もちろんフェイクファー)をスカートの後ろにつけて、誇らしげに家の中を歩きまわって、母に叱られたw
「だって、カワイイじゃない!」と言い訳したけど、あきれられただけだった。
この本のタイトルを見た瞬間、わたしのしっぽ熱は再燃した。けど、しっぽの可愛さを探究する学問ではなかった(残念)
著者 東島沙弥佳(とうじま さやか)さんは、京都大学白眉センター特定助教。東島さんの取り組んでいる研究は、「しっぽという一つの研究対象を様々な角度から見てみること」で、その先に「ひと」がどのように「ひと」になったのかを見出そうという研究だそうである。
例えば、「ひと」の遠い遠い祖先にはしっぽが生えていたが、およそ1800万年の化石を見ると、すでにしっぽを失っていた。その事実などに基づいて、「ひとは、しっぽをどのように失っていったのか」を研究している。
しかし、日本では「専門は○○学(天文学や生物学など)です。」と言わないと納得してもらいにくいそうで、また、様々な学問(「〇〇学」)の成果をしっぽ学研究のツールにしていることについて、「中途半端」だと批判されることもあるのだと言う。
だが、東島さんは、しっぽから「ひと」を探るために、人類学や形態学、解剖学を研究し、さらに発生生物学の知見から、「ひと」は胚の段階ではしっぽが生えているのに、発生が進む(胚から胎児になっていく)につれて、完全にしっぽが失われていくことを突き止める。
そして、発生生物学研究室で研究を進め、胚の段階での体節(たいせつ)と呼ばれる構造が大切であることに気付く。
また、2024年2月にNature誌に「ヒト科におけるしっぽ喪失の遺伝的な原因」を突き止めたという他の研究者の論文が掲載されたことについて、東島さんは納得していないと言う。
しっぽ学の道は、かなり先が長いようだ。
この本には、日本書紀には、しっぽが生えた人間の記述があることも書かれている。東島さんが理系のみならず文系分野にも視点を広げて研究しているのが分かる。
加えて、京都市内のある中学校で、出前授業をした際に、中学生から出された質問に対する東島さんの答えからも、研究姿勢が伺える。
中学生 「先生にとって、しっぽとはなんですか?」
東島さん「しっぽは、私の人生にとって相棒です。」
さすが! お尻に襟巻をぶら下げて悦に入っていたわたし(みのり)とは比較にならない思い入れである。
そうなると、わたしとしては、しっぽを巻いて逃げるしかないw
Posted by ブクログ
●しっぽについてあらゆる角度で研究していこうとしているのがよくわかる。生物の部位のことなのだから、生物学の分野なのかなと考えてしまうが、人文学的視点からも研究しようとする著者の頭の柔らかさはすごいと思った。
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 「ひと」を知るためのしっぽ学
第2章 しっぽと生物学~しっぽがしっぽたりうる所以
第3章 しっぽと人類学~「ヒト」へと至る進化の道のり
第4章 しっぽと発生生物学~ヒトはしっぽを2度失う
第5章 しっぽと人類学~しっぽから読む「人」へのみちのり
<内容>
世の中にもあまりいない、生物の「しっぽ」を専門に研究する著者の本。初めての単著であることを考えると、「まあ、こんなもんか」と思う。最低限のしっぽの知識を、あらゆる角度から紐解く。著者紹介にも、「ヒトがっしっぽをどのように失くしたか、人はしっぽに何を見てきたかなど、文理や分野の壁を越えてしっぽからひとを知るための研究」=「しっぽ学」と書かれている。ちょっとジャンクな感じをする。自分的には個々の生き物のしっぽの特徴や使い方、文系ならこんな作品にしっぽがかいてある(あとがきに「九尾の狐」がちょっと出てくるが…)と良かったかな?