【感想・ネタバレ】ウミガメを砕くのレビュー

あらすじ

「今夜、国際宇宙ステーションが降ってくるんだって」。北海道が全停電した日、わたしは剥製のウミガメを放つため、真夜中の公園を彷徨う。響き合うアイヌの血脈。癒やし難い生の痛み。地面から滲む歴史の声。〈内なる北海道〉と向き合い、恩寵の一瞬を幻視する大型新人デビュー! 新潮新人賞受賞作「彫刻の感想」を併録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

現代に暮らすアイヌの系譜の話です。アイヌと和人の歴史の間で揺れ動く「自分」が一体何者なのか、春子おばさんとの交流を通じて探していく。
壮絶ないじめシーンがあるうえに肉体的にむちゃくちゃ痛そうすぎるシーンが頻繁に出てきて読んでいて痛かった。
他者から見てアイヌか和人かは判別がつかない、その人が抱えている事情はわからない、自分のことは自分でさえよくわからない……他者との断絶がもたらす苦しみが絶えず物語の中で続いている。
読んでいて苦しかったが、最終的に春子おばさんと和解(?)し、主人公なりにけりをつけることができたあたりでようやく清々しい心持ちになった。

もうひとつ収録されている短編には性交渉シーンがあるのでおいそれと人に勧められないぜと思った

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2025年06月20日

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