あらすじ
「本格ミステリ・ベスト10」2年連続1位! ランキングを席巻する鬼才の最新短編集! クラスメイト襲撃事件を捜査する小学校の名探偵。滅亡に瀕した人類に命運を託された“怪物”。郭町の連続毒殺事件に巻き込まれた遊女。異星生物のバラバラ死体を掘り起こした三人組。見世物小屋(フリークショー)の怪事件を予言した“天使の子”。凶暴な奇想に潜む、無垢な衝動があなたを突き刺す。白井智之は容赦しない。
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Posted by ブクログ
・最初の事件
新しいテイストでありつつも筆者の特徴が出ていて最良の1本目
・大きな手の悪魔
今までの作風に比べると結構SF色強めで新鮮でありつつ、トリックは流石
・奈々子の中で死んだ男、モーティリアンの手首
時代劇風、宇宙人ものとかなり筆者の作品にしては読みにくく肝心のトリックよりもそれが印象に残ってしまった
・天使と怪物
執念深いペテン師の話術に驚愕し、真実に驚く怪作。最後にふさわしい完璧な作品。これだけでお釣りが来るレベル。
次回作にも期待!
Posted by ブクログ
たぶんお初の方。五つからなる短編集。どれも時代や舞台、探偵役が違っている上、そもそも人間じゃない奴まで出てくると来た。何でそこまでバラエティ豊かな設定が思い付くんだろう。特に地球外生命が、絶滅した人類の化石を掘り起こしたことから始まる話が面白かった。あとは遊女を探偵に仕立て上げた話も良かった。どれもきちんとミステリではあるんだけど、それだけでは終わらせない、きちんと恐ろしいオチまで用意してて、タイトル通りだなあと思った。
Posted by ブクログ
はじめの方は「2年連続大傑作を拵えてきたシラユキ先生でもたまには凡作も書いちゃうよね…(安心)」と油断していたら………
『最初の事件』
掴みとしてはかなり良い、なんたって小学生名探偵の最初の事件だからね。ここからアフリカ・韓国・時間兵器…etcとお話が広がっていくかと思いきや、ぶつ切り!もったいない!!
『大きな手の悪魔』
「尼崎事件」が元ネタか。狡猾な老婆と紳士な悪魔の頭脳戦。いくらなんでも紳士すぎるでしょ山羊さん…
『菜々子の中で死んだ男』
犯人探しの遊郭巡りと飛躍ロジック楽しく、最後に浮かび上がるタイトルの意味もお見事。
『モーティリアンの手首』
まさかの地学ミステリ。化石に執着する男とその貴婦人、それぞれの思惑は3万年の時を超えて地層に生き続ける。設定がいつもよりSF特化。いつかハードSFとかも読んでみたいね。
『天使と怪物』
1つ1つの密室は既出のアイデアであるが、本作の凄さは3通りの不具者に適した3通りの真相、多重解決に対する新たな試み、異様な現場の状況に筋を通す真犯人の動機。何から何まで計算され尽くさている。密室に対して数通りの解を出し、多重解決を意味のあるものに昇華させた。ああ、怪物とは白井智之だったんだな…
短編でここまでの完成度の作品は正直見たことがない。
ただ、短編集としてみると『死体の汁を啜れ』の方が上かな。
Posted by ブクログ
・最初の事件
主人公が「名探偵」に「なりたい」「小学生」
タイトルも含め、どれもが結末へのミスリード
推理バトルもネタがみっちり詰まっている
・大きな手の悪魔
舞台設定が奇才でディテールも笑える
二転三転する終盤
・奈々子の中で死んだ男
ここまでの3つでダントツの傑作
確かに君も該当するわ!というタイトルにもやられたが、これ見よがしに置いている伏線をすっかり忘れさせてしまうのは多分筆力なんだよなあ(ファン目線
それを短編でやってるのがまた
「げろ」も健在
死んで生き返った男は「そして誰も死ななかった」の主人公を思い出した
・モーティリアンの手首
・天使と怪物
この2つはイマイチだった
舞台設定は良かったけど
Posted by ブクログ
短編集!勝手に長編だと思っていたので連作じゃないことにがっかり。グロ控えめで読みやすい!
・最初の事件
淡々と被害状況をニュースとして扱っておいて、最後そこに落とし込むの好き。死体の汁を啜れのやり口。名探偵が何人もいたらおかしい、が動機なの小学生らしくて可愛いし恐ろしい。
・大きな手の悪魔
貴美子が一番恐ろしい。殺し損なって逃げられた挙句に仲間を逮捕させるきっかけになったやつを恨むならわかる。自分や仲間の手で殺すのもわかる。にこにこしながら娘に殺させる(殺される)のを選ばせるのはあまりに鬼畜。ゴートの殺し合いが霞む。
・奈々子の中で死んだ男
全部がうまく噛み合ったミステリ。ご都合主義をうまいこと飼い慣らして最後のオチに持っていくのが見事。幸せから突き落とすのがいちばん、って言葉はまさにそうなんだけれど、それを自ら選んでしまったというのがバッドエンドすぎる……。
・モーティリアンの手首
アンソロジーで既読。少しずつ明かされていく彼らの見た目がおぞましくて、読み返したときの「黙れ、虫けら」「口だけ虫」「ミミズ野郎」がぞわぞわくる。二段オチで最後まで満足。
・天使と怪物
このくらいの長さがあって世界観作り込まれてるほうが面白い。伏線回収と多重解決、これでこそ!という楽しさ。多重解決が起こった原因に触れているのもすごくて、作中でモブが世界の分岐に触れてSF要素を想起させておいて、現実的な選択理由が語られるのが美しかった。ウォルターがウォーターで水なんだと思ったんだけど……。
帯の仕掛けも好き。特典の掌編読みたかったなー。
Posted by ブクログ
表紙、俺が読んだのと違う!と思ったら、俺のは帯がついてなくて…ってことやったんか。
白井智之、ミステリー界隈では有名らしいが、俺は今回初めて読む作家。なんというかクセ強いなぁ。トリックと謎解きは王道できっちりしているのに、物語の背景や設定がエロかったりグロかったり、人間のイヤなドロっとしたとこを表面に押し出してきて…怪奇幻想界やフリークス界にもファンが多いんだろうなと。俺はちょっと苦手やけど。
尼崎のクソババアVS地球侵略異星人の第2話はオモロかった。アマは世界を救うけどご近所を滅ぼす
Posted by ブクログ
【ネタバレなし感想】
5つの短編集からなるミステリー作品。
それぞれ全く異なる設定で、時代劇ものもあればSF的なものもあったり。同じ人が書いたのかと不思議に思うくらい多彩な設定ではあるが、同じ人が書いたんだろうなと思える、どの話もミステリーの内容が濃い。もはや誰におすすめしたらいいかわからない笑
【ネタバレあり】
個人的にはSFや現実とかけ離れた設定の中でのミステリーはなんでもあり感が拭えなくてイマイチハマらなかった。
ただ、設定のぶっ飛び感、多彩さはどこから発想が生まれるのか非常に感心する。
ミステリーの内容も、一つの事件をいろんな解き方でいくつのも推論が出てきて、作り込み方は深くてすごいなと思ったけど、やはりSFは苦手…