あらすじ
生きる理由に解答がありえないように、書く行為にも理由などあるはずがない――。長年、内面を明かさなかった作家が明かしたその思想。1980年代に語られた言葉の数々は、今なお社会の本質を射抜き、我々への啓示へと変貌する。国家、言語、儀式、芸術、科学、果たして安部公房は何を考えていたのか。エッセイ、インタビュー、日記など多様な表現を通して、世界的作家の隠された素顔に迫る。(解説・養老孟司、鳥羽耕史)
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Posted by ブクログ
安部公房の数少ない評論集。長らく入手困難だったが、装いも新たに重版され、再び日の目を見ることとなった。そして旧版から引き続き、養老先生が解説を書いている。養老先生は昔NHKで安部公房と対談したことがあり、「私(=養老)が小説を書き、安部氏が研究室で実験をするべきだという結論になった」という。そのエピソードとともに、彼の文章を「理科的」と評している。
Posted by ブクログ
かなりおもしろかった。気難しいおっさんの独り言に付き合ってるような感じ。難解なところもあるけど『方舟さくら丸』以降安部公房が何を考えていたのかよくわかる。
ナショナリズムを憎み、この世から戦争を無くしたいと本気で考え、それは《言葉》にしかできないのだと本気で語る作家の姿には感動すら覚えた。