あらすじ
河合瞳子が大阪郊外のホテル七階から飛び降りた。周囲を魅了した彼女の突然の死。大学卒業から五年、その報せは仲間に大きな動揺を与えた。そんな折り、友人たちに瞳子からのはがきが。そこには、わたしのことを殺さないで、とあった。彼女を死に赴かせたものは? 答えを自問する残された者たちが辿り着いた先は? ほろ苦い青春の終わりを描く感動のミステリー。
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Posted by ブクログ
※登録したのは文庫版だけど読んだのはカッパノベルス版(2002.10.25)
すごくグサグサと刺さる話だった。今は結構客観的に読めたけど、登場人物たちの年代の頃、学生時代〜20代って1番色々苦しかった気がするし、出版された時に読んでいたらかなり辛かったか、逆に救われたかもしれない。
作中の言葉「愛情という形で押しつけられるものは、拒むことができない」ってその頃一番言って欲しかったような気がする。
カバー見返しの「著者のことば」
どんなに平凡に見えたり、幸福そうに見える日常にも、
痛みは必ず潜んでいるものだと思っています。
それをうまくやりすごせることが、
大人になることなのかもしれません。
だから、この小説は、その狭間にいる人たちの話なのです。
Posted by ブクログ
瞳子が大阪郊外のホテルの七階から飛び降りた。大学卒業から五年、その知らせは仲間に大きな影響を与えた。大学時代の仲間、弦・法子・幸・加世・猛は、瞳子の自殺を知ってそれぞれ苦悩する。
何人かに届いたはがきには、「わたしのことを殺さないで」ただ一言書いてあった。自殺する兆候もみえなかったのになぜ?彼女を死に向かわせた物とは?彼女は、何を思い自殺したのか?
答えを自答する残された者たち。そしてたどり着いた答えとは?
ほろ苦い青春の終わりを書いたミステリー(たぶん)です。人間関係の危うさと切なさが伝わってくると思います。やっぱこのくらい面白くないとね
Posted by ブクログ
大学時代の仲間の女性が飛び降り自殺を図った。
死んだ彼女からハガキが届く。
《私のことを殺さないで》
いつも一緒にいた中に渦巻いていた感情。
憧憬、羨望、嫉妬、庇護…。
彼女を死に追いやったものは何なのか。
彼女を《殺した》のは誰なのか。
個人的には彼女の選んだ結果は到底納得できない。
Posted by ブクログ
近藤さんの話はいつも淡々としていながら美しい。
大学時代の友人、河合瞳子の自殺により動揺する仲間たち。
それぞれの視点から描かれた瞳子との関係。
登場人物のキャラクターが確立されていたので、すごく読みやすかった。
ただ疑問点が二つあり。(以下少しネタばれあり)
1.ブリュッセルで写した4人の写真が残っていること。
→普通あんなことが起こったあとでは、そんな写真は現像さえもしないのではないか。なんで持っているの?加代ちゃん。
2.どうして瞳子は彼らとの旅行を嫌がらなかったのか。
→自殺につながる事件に発展するだけに、ここはハッキリさせてほしかった。
読書中この二つが気になって仕方がなかった。
しかも、私は瞳子という人物が好きにはなれなかった。
優柔不断な弦も、ハッキリ言うと嫌いだった。
自殺の真相も・・・ミステリとしてはどうよ?と思った。
でも★4つ。
この作品の持つ独特な雰囲気と美しさに。
Posted by ブクログ
「愛情という名で押しつけられるものは、決して拒むことができないのだ」っていう文章が、やはりこの作品全体を通じて貫かれているテーマだとは思うのですが、やっぱり人って愛情なしではなかなか生き抜いていくこと(いきることではなくて)って難しい一方で、愛情によって傷つきやすいっていうのは人の心も脆さというか儚さのようなものを感じさせますね。
一番印象に残っているのは、自分が瞳子に対して示していた態度や見方が、彼女が巻き込まれたフランス旅行中の事件の犯人である日本人の男二人と同等に位置づけた瞬間ですね。ここまでの発想というか、思いを巡らせる展開は驚きでもありました。読み終わって感動する作品ではありませんし、書籍の表紙にかかれているような推理小説とは違うような印象も受けますが、大学時代の楽しいひと時と仕事に忙殺されはじめるこの年齢の人たちが直面する葛藤とまではいかないけれども、気持ちの揺れ動きのようなものは共感できる部分があるのではないかと思います。
中国神話で登場する四方を守護する聖獣が、青龍、朱雀、白虎、玄武というのは皆さんも聞いたことがあるかと思います。この四聖獣は季節にも対応しているので、それぞれの聖獣の名前を春夏秋冬と掛け合わせると、青春、朱夏、白秋、玄冬となります。
青春の次には、暑くても澄み切るように晴れ渡る夏がくる。夏の異称でもある朱夏の存在を瞳子は気づけなかったのでしょうか?青春だけでは終わらずに、朱夏を向かえ、子どもの成長とともに白秋の季節を迎えて、子どもを育て終えた後の時期である玄冬も、青春を謳歌した仲間達と一緒に生きていたい。この流れに逆らわずにスムースに時代の変化とともに仲間や友人と生きていける自分でいたいな、と朱夏を迎えることなく自分でその道を閉ざしてしまった瞳子のことを考えて思ったのでした。
Posted by ブクログ
人間関係の内に秘めたものをテーマにした作品が多い近藤史恵。彼女を自殺によって、いままで保たれていた友情がゆっくりと崩れつつある。そして残された者たちの自問は答えを見失い迷宮に入る。そもそも、この答えに明確な着地点などはないのだろう。そんな作品。
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<再登録>学生時代のマドンナだった瞳子はなぜ自ら命を足ったのか?別々の道を歩いていたかつての仲間達は過ぎた日々を思い出す…
作品の鍵を握る瞳子の印象がバラバラでつかみにくい。そういう不安定なところがマドンナだった由縁かも知れませんが。
Posted by ブクログ
ミステリー風青春小説?
主人公たちは「青春時代」からは少し大人になった年代。
私は若葉どころか更に枯れかけている年齢で、読む前から危惧していたとおりあまり深く感情移入はできませんでした。若き日に立ち返るようなノスタルジーも感じられず……。
登場人物全員面倒くせー!(笑)
しかしそれが若さというもので、思い起こせば自分も確かにそういう面倒臭い若者だったような気もします。
「わたしを殺さないで」との言葉を残し、突然ホテルの7階から飛び降りてこの世を去った瞳子。
彼女は本当に自殺なのか、もしかしたら殺されたのか?と引き込まれはしたけれど、結末にもスッキリせず。
言いたい事は解らなくもないですが、全体的に中途半端な印象でした。
主人公たちともう少し近い年齢だったら理解できるところがもっとあったのかもしれないと思うと、出会うのが遅すぎた作品としか言えません。
Posted by ブクログ
何気ない日常のちょっとしたことの積み重ねが
大きな事件に結びついている感じ?
些細なことなんだけど
それを大きくとらえるか気にしないかは
その人、その時次第で。
何事もタイミングなんですねきっと
Posted by ブクログ
大学の時の友達が投身自殺した理由を探す青春ミステリ
なのか?これは
う~ん、個人的にはミステリではないです
青春小説かと言われると、最後の展開も含めてそんなに青春っぽくない
まぁ、登場j品物達が自意識過剰なので、そんな青臭さは感じるけどね
それはそうと、瞳子さん
現実にこんな人がいたら、多分僕は嫌いだと思う
もしくは、弦くんのように心の中に想いを忍ばせて神格化するかもしれない
でも、「あ~、はいはい、僕とは住む世界が違う人なのね」って割り切ってまったく関わらないようになるな、きっと
小説の中で推測されている自殺の理由も到底納得出来ない
もしかして、本当の自殺の理由で他にあって、僕が読みこなせていない可能性もあるけど・・・
なんか、消化不良な終わり方なんだよなぁ
Posted by ブクログ
美しく、何不自由なく育ったお嬢様の瞳子が突然飛び降り自殺をする。
大学時代の同級生たちはそれぞれ瞳子との思い出を振り返りながら、なぜ彼女が死んでしまったのかを想像する。
連作短編の形で主人公を変えながら、瞳子の自殺の真相に迫っていく流れ。
瞳子に恋い焦がれながらも、思いを伝えることができず別の同級生と付き合っている男、瞳子への嫉妬と憎悪が抑えられないその恋人、瞳子の親友など、誰しもが瞳子の死に自分も原因があると考えている。
結局瞳子という女がどんな人物だったのか明瞭でなく、結論ありきの物語に感じて腹落ちしない。
ミステリとしてもイヤミス系の人間ドラマとしても中途半端で、いまいちなんだけれど、こういう長い下積みを経て今売れている作家になったことを考えると色々感慨がある。
ただ、やはりミステリ向きの人ではないんじゃないかな、と思ってしまうのだった。
無理に事件へ持って行かなくても、人間ドラマで充分ではないか。
Posted by ブクログ
人の思いは難しい。
すこし歪んだり強すぎても凶器。
読んでいるときは、どんな展開になっていくのか
非常に気になりどんどんハマったけれど
終わり方は、なんか消化不良。
でもこの人の作品は興味がそそられる。
Posted by ブクログ
物語自体は、悪くないけれど、
登場人物「瞳子」に嫌悪感が生まれる。
なので後味が悪い気分。
私が、外見が良くなく、
中身も魅力的な女ではないからだろう(笑)
物語的には、すごく面白く、
先が読めない分、次々と読み進めてしまって、
あっという間に完読にいたりました。
Posted by ブクログ
大学卒業から5年後、仲間の中では特別な存在だった瞳子が死んだ。
しかし彼女の死後、「わたしを殺さないで」と書かれたハガキが届く。
決して爽やかではない青春小説とでもいうのか?
大人になりきれない26、7歳の若者?たちのあがき?
一応、こうだったのだろうって結論には達する。
その結論もどうかと思ったりもするんだけど
なんせこの著者の文章って読みやすいのよ。
途中、ドキドキするシーンがあったりもして
あっという間に読んじゃったんだけど
ここに出てくる登場人物達は個人的に好きじゃない。
っていうか、これってミステリじゃないよね?
Posted by ブクログ
大学時代に仲のよかったグループの一人が自殺する。
その彼女の死後、仲間のもとにはがきが届く・・
仲良くしてるなかにも、嫉妬や羨望
いろんな感情が底辺にはあったのかな。
あまり引き込まれる感じがなくて残念。
Posted by ブクログ
結末までどうなるのかわからなくて、つい一気に読んだ。
この作者独特の淡々とした文体は、つい時間を忘れてさらっと読んでしまう。
結末云々よりも、それまでの辿りつく道筋がおもしろい。
賛否両論分かれそうなミステリだが、好きかな。
Posted by ブクログ
中盤、意外な展開なんかもあり引き込まれたけど
結局死んだ理由よくわからんかった。
死ぬ前に手が込んだことしすぎやし。
登場人物に好感が持てず…残念。
Posted by ブクログ
心理描写は決してリアルではないのだけど
一つひとつがとても綺麗
もやーっと全体にかかった謎が
最後にするっと解けるのはよかった
でもとても救いようのないお話
Posted by ブクログ
河合瞳子という女性が大阪郊外のホテルの7階から飛び降りて亡くなった。彼女の死は大学時代の仲間であった筒井弦、室井法子、鮫島幸、谷木加代、高橋猛の5人にも衝撃をあたえる。誰一人、彼女が自殺する理由には思い当たらないというが・・・。彼女は本当に自殺だったのか?そんな時、彼女から「わたしを殺さないで」というメッセージの書いたハガキを受け取った者がいた。
表面上は仲の良い6人、だがその内情は・・・誰かが誰かを好きで、誰かが誰かを疎ましく思い、そして誰かが誰かを裏切っている。青春時代の男女の微妙な人間関係はよく描かれていたなぁと。ただ、この瞳子が魅力的な女だったとは、この描き方では全く思えない。私が女だからそう思うのか?(^^;