あらすじ
いつかの記憶の扉が開く。
東京、大阪、上高地。3つの帝国ホテルを舞台に織りなす42の物語。
クロークに預けたままの、亡父の荷物。夫の秘密がそこに――。
開いた鍵の先に、妻が見たものは(「秘密を解く鍵」)
半年に一度しか会えない小学校6年生の娘。
ブフェに行くが、娘はなかなかマスクを外さない(「父と娘の小旅行」)
窓から射しこむ朝の光、錆びた流し台にしたたる水滴の音――
ホテルで眠る夜、どこかで出会った部屋たちの夢を見る(表題作)
1行でこころ揺さぶられる、珠玉の小説集。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
何と42編もの短編、星新一のショートショートより短い話も多いのではないだろうか、ホテルや上高地の話が多かったが、きっとコロナ禍でどこにも取材に行けなくなって、過去の記憶をたどってブレインストーミングしたんだろうなと思った、他の女性作家もやたらとこの時期は短編が多かった、わたせせいぞうが絵をつけたら良いだろうなあという物語も多かったが、やたらと死や別れの物語も多く42編という縁起の悪い数字もあり最近身近な有名人が亡くなっていく中どうか身体にご自愛くださいと言いたい。
Posted by ブクログ
帝国ホテルにまつわる短編集。
50代以上の女性主人公率が高めで、そこまで面白いとは思えなかったものの、家族の思い出や自分の若い頃の思い出が詰まっている帝国ホテルという存在を強く感じた。
浮気をしているかと思われた夫が、実はホテルのフィットネス会員であり、泳ぎに行っていたことが分かる話が印象的だった。浮気をしていると思うほど、きっと本人は生き生きとしていたのだろう。ホテルは宿泊しなくても、活力を与えてくれる場所なのだな。
表題作も良かった。私も今まで自分が泊まった部屋を一つずつ思い出した。良い部屋もあれば悪い部屋もあった。でもすべて、大切な思い出だ。
仕事でホテルを使うという人もいると思うが、私にとってホテルは非日常を提供してくれる素敵な空間だ。これからも色々な部屋と巡り合えるかと思うとわくわくする。