あらすじ
第四回創元SF短編賞を受賞した表題作をはじめ書き下ろし一編を含む五編を収録。人類の存続を賭けて別の銀河をめざす、人格を持った宇宙船たちを襲う試練(銀河風帆走)、地球に衝突するコースをとった小惑星の軌道をそらす計画に挑む高校生たち(もしもぼくらが生まれていたら)、史上初の恒星間宇宙船同士による“一騎討ち”の行方(星海に没す)……ハードSFの俊英が放つ、瑞々しい感性に満ちた第一短編集。【目次】「もしもぼくらが生まれていたら」地球に衝突する小惑星の軌道を逸らす計画に挑む高校生たち/「されど星は流れる」パンデミックの最中に系外流星を観測しようとする天文部の挑戦/「冬にあらがう」破局的噴火がもたらす食料枯渇に化学部の二人+AIが立ち向かう/「星海に没す」(書き下ろし)史上初の恒星間宇宙船同士による“一騎討ち”の行方/「銀河風帆走」(第4回創元SF短編賞受賞作)人類の存続を賭けて別の銀河をめざす宇宙船たちを襲う試練/解説=鈴木力
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Posted by ブクログ
主に宇宙・天文系のハードSF短編集
短編集が出たのが2024年なので、とても寡作な作者だが、次の作品を楽しみにしたい。
表題作:2013年の創元SF短編賞受賞作品だが、古臭さは感じない。銀河を航行する宇宙船形態になった人類は太陽風にのって遺伝子情報を他の星系に運ぶ壮大な設定。宇宙船には人格があり、宇宙船通しがおしゃべりをするのがストーリーの根幹。
星海に没す:AI搭載の船のAIを破壊すべく人類が送った刺客との闘いをAI搭載の船の視点で描く。AIの進化も考えさせらるが、宇宙における敵との攻防も面白く読めた。
もしもぼくらが生まれていたら:隕石が地球に落ちるのを阻止する話を高校生の視点で描く。ヤルコフスキー効果という現象は勉強になった
されど星は流れる:流星同時観測のはなし。天文クラブが好きな人はどうぞ
冬にあらがう:火山噴火で地球温度が下がり食糧不足になった日本で、合成食糧を量産する方法を考える高校生。硫酸法、酵素法、微生物糖化法、これだけ天文学よりもバイオの近未来SF.パーソナルAIのパインちゃんがかわいい。CHAT-GPTの受け答えに似ているので、近い将来にはパインちゃんは実用化されるかも。