あらすじ
第四回創元SF短編賞を受賞した表題作をはじめ書き下ろし一編を含む五編を収録。人類の存続を賭けて別の銀河をめざす、人格を持った宇宙船たちを襲う試練(銀河風帆走)、地球に衝突するコースをとった小惑星の軌道をそらす計画に挑む高校生たち(もしもぼくらが生まれていたら)、史上初の恒星間宇宙船同士による“一騎討ち”の行方(星海に没す)……ハードSFの俊英が放つ、瑞々しい感性に満ちた第一短編集。【目次】「もしもぼくらが生まれていたら」地球に衝突する小惑星の軌道を逸らす計画に挑む高校生たち/「されど星は流れる」パンデミックの最中に系外流星を観測しようとする天文部の挑戦/「冬にあらがう」破局的噴火がもたらす食料枯渇に化学部の二人+AIが立ち向かう/「星海に没す」(書き下ろし)史上初の恒星間宇宙船同士による“一騎討ち”の行方/「銀河風帆走」(第4回創元SF短編賞受賞作)人類の存続を賭けて別の銀河をめざす宇宙船たちを襲う試練/解説=鈴木力
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Posted by ブクログ
著者の初の単行本で、日本SF大賞特別賞を受賞している。「SFが読みたい2025年版」では、ベストSF2024国内編第4位にランキングされている。ちなみに第1位が春暮康一氏の『一億年のテレスコープ』である。また、表題作の「銀河風帆走」は創元SF短編賞受賞作である。
全5編からなる短編集で、初めの3編は高校生が主役となっており、いづれも課題や難問「挑戦する高校生」を描いている青春SFだ。ほか2編は、宇宙船に搭載された超AIが主人公となっており、彼(?)の一人称(弊機とは言わず私)になっている。どちらも人類の未来にとって重要なミッションを担っているのだが…
いずれの作品も変なひねりがなく、SFらしいSFといえる。最近は、こういうストレートなSFが少なくなってきたように感じる。
Posted by ブクログ
ハードSFの短編集。最初の3編は高校生が主人公でYA風味もあり、好みのど真ん中だった。
「されど星は流れる」はパンデミックに閉じこめられる中で流星の同時観測ネットワークを立ち上げ、それが広まっていく話。胸が熱くなる。
「冬にあらがう」は超巨大火山の噴火に伴う食料危機の話。昨秋、米の流通が回らずに米価が高騰したり、台風・地震が日常となった今の日本で読むとリアル過ぎて、うすら寒くなった。それでも深く根を張った向日性が好きだ。
Posted by ブクログ
寡作のSF作家ということで、2013年の作品から最新の書き下ろしまで10年以上のスパンがある短編集。
解説にある「科学小説の初心が息づいている」といえのはそのとおりで、物語としての読みやすさもSFとしての歯応えもしっかりある。
高校生たちの青春SFから深宇宙を舞台にAGIを主役にしたものまで、物語の幅は広い。私は青春もののほうがよかった。
「冬にあらがう」という短編などは、終わり方が中途半端に思えて先が気になるくらい。むしろここからおもしろくなりそうな雰囲気を出しながら終わっていく。
ちなみにこの短編は2023年に書かれたものらしいが、いま現在(2025/6)話題となっている米騒動を予言したかのような一節があっておもしろい。
Posted by ブクログ
主に宇宙・天文系のハードSF短編集
短編集が出たのが2024年なので、とても寡作な作者だが、次の作品を楽しみにしたい。
表題作:2013年の創元SF短編賞受賞作品だが、古臭さは感じない。銀河を航行する宇宙船形態になった人類は太陽風にのって遺伝子情報を他の星系に運ぶ壮大な設定。宇宙船には人格があり、宇宙船通しがおしゃべりをするのがストーリーの根幹。
星海に没す:AI搭載の船のAIを破壊すべく人類が送った刺客との闘いをAI搭載の船の視点で描く。AIの進化も考えさせらるが、宇宙における敵との攻防も面白く読めた。
もしもぼくらが生まれていたら:隕石が地球に落ちるのを阻止する話を高校生の視点で描く。ヤルコフスキー効果という現象は勉強になった
されど星は流れる:流星同時観測のはなし。天文クラブが好きな人はどうぞ
冬にあらがう:火山噴火で地球温度が下がり食糧不足になった日本で、合成食糧を量産する方法を考える高校生。硫酸法、酵素法、微生物糖化法、これだけ天文学よりもバイオの近未来SF.パーソナルAIのパインちゃんがかわいい。CHAT-GPTの受け答えに似ているので、近い将来にはパインちゃんは実用化されるかも。
Posted by ブクログ
青春を感じる事が出来るSF。素晴らしい。作品とは、内容がかけ離れているが、ホテルの価格設定をAIにさせていると報じていた。あまりに短期間で価格が大幅に変動していく。AIが生活に浸透していっている。
Posted by ブクログ
久々に正統派SF、というか、科学小説を読んだ!って気分になれた。五篇の短編からなり、最初の三遍はSF的設定における高校生たちの純粋な(青春!)科学的行動が生み出す物語が、未来に期待を感じさせる(その分逆に現実のヤバさも)。
後半二編はガラリと変わって深宇宙におけるハードSF的設定で、“主人公”達の行動はなんとも未来の示唆に溢れている。押し寄せる科学的蘊蓄群に押しつぶされそうになりながらも、頑張ってくらいついて読んでいくと、頑張りに見合う結末が待っている。
Posted by ブクログ
一話目と三話目が好き。青春物として良だし深い。政治家読めや、ンで何か言えや、とかとも思ってしまう。後半の二作は苦手分野で想像力が枯渇するも、よく広げてまとめて書いたよなあと理解しきれぬまま感心。
Posted by ブクログ
多分書いてることの半分以上わかってない
知らない言葉が並んでるけど、なんか面白い、特に表題作
どこかに向かって、到着できるかわからない旅をしている「人間」
哀しいけど美しいと思った