【感想・ネタバレ】夜しか泳げなかったのレビュー

あらすじ

切実な物語を誠実に描いた、その先にある救い。
軽率に手に取って、打ちのめされるこの感じ。
今もっとも読まれてほしい作家・古矢永塔子の勝負作!
——書評家・藤田香織氏、大推薦!!


「私が死ぬまでの一年間、くそみたいなこの世界に八つ当たりするのに付き合ってくれない?」
中高生に人気のベストセラー小説『君と、青宙遊泳』。それは、高校教師・卯之原朔也がかつて封印した物語に酷似していた。
今は亡き高校の同級生・日邑千陽と過ごした7年前の夏——あれは「僕たちだけの物語」だったはずなのに。
覆面作家ルリツグミの正体を探る卯之原の前に、当の本人が転校生として現われる。

「生まれ変わったら、深海魚になるのもいいよな」
愛とか死とか幸せとか、その言葉の本当の意味を僕たちはまだ知らなかった……。

乾ききった心を潤す、書き下ろし長篇小説。

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Posted by ブクログ

「君と、青宙遊泳」というベストセラー本の覆面作家「ルリツグミ」(男子高校生)と、その学校の男性教師。
「アオチュー」と呼ばれて映画化もされる予定のその小説の物語は、男性教師の高校時代の同級生女子との思い出が書かれていた。

自分の物語を奪ったルリツグミこと妻鳥を恨みがましく思う主人公卯之原視点で、なぜルリツグミはこの話が書けたのか?という、最初はミステリ風に始まる。
しかし、妻鳥がこの話を書けた理由は、卯之原以外の当事者が絡んでいるというのは誰でも容易に想像がつくものであり、その点は前半3分の1くらい。

後半で、卯之原と日邑の高校時代の秘密がわかったときは、共感性羞恥が炸裂した。
周囲から気に留められず、目立つことなく、地味に気配を殺して生きてきた子の、願望を込めた物語とでもいうのだろうか。
こういう事、誰でも考えたことがあると思う。
ヤンキーや教師に対して、臆せず、反射神経鋭くビシッと言い返す自分を想像してみたり(実際はその場では何も言えず、あとになってから「ああ言ってやりたかった」と悔しい思いをするだけ)。
想像上の自分は、いつも輝いていて、周囲をあっと言わせるようなセンスの持ち主なのだ。

そんな感じの、青春厨二小説です。
私は40超えてもうどこも尖ってないから、こういうのも刺さる。
個人的には、キミスイより刺さった。
存在しなかった二人のラストを妻鳥が物語として書いた。卯之原がその内容を受け入れて、最後に号泣できたことがよかった。
そして、号泣シーンの表現が美くて、それがなお良かった(ここが雑だと、最後まで読んでいた気持ちが打ち砕かれるんだよ・・・。)

余談ですが、読書中、この本のタイトルがすっと出てこなくて、出てくるのはいつも「君と、青宙遊泳」なのよ。
作中に「青宙遊泳」の一部抜粋はあるものの、現実パートでもずっと青宙遊泳の方を読んでいる気になる錯覚。不思議な感覚でした。

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2025年12月04日

Posted by ブクログ

オイラの「読みたい」に登録した作品。
その数700冊弱…。
その中の一冊。

それもタイトルに惹かれただけ。

でもなんか、タイムカプセルを発掘したような気持ち。
こんな読書の時間も悪くない。

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2025年09月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

君膵…??
そんなに短命女子&パッとしない男子の作品って多いの??確かに映画でも多いか…。
実際の2人が想像以上に地味、というかパッとしない、というのは面白いかな、と。
しかも、それを勝手にお話にされてる、ってなったらそりゃ怒るよなぁ〜とは笑

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2025年03月31日

Posted by ブクログ

人間のドロドロとした自分よがりな部分を描いた作品。日々の生活の中で、綺麗事で進む小説やドラマのような展開にはならないでしょう。でもそれこそ人間的であるし、その中にこそ心が通じ合う瞬間があるんじゃないか、と思わされた。

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2024年11月19日

Posted by ブクログ

巷にあふれる余命モノ。
エモーショナルな感動が約束されたお涙頂戴ラブロマンス…そう反発してしまう人に送りたい感動の余命物語。

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2024年11月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作中作もの。生まれ変わったら深海魚になるのもいちよな。本当の自分の過去の姿は必ずしもみんな明るいわけじゃない。見た目の中身も。恋愛よりも大切なもの。

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2024年09月29日

Posted by ブクログ

青い
現実は思ってるより美しくないけど
全てが美しくないわけじゃないよ

人の死を美化したくはないが、生きる者の希望にはなってほしい時がある

表紙に惹かれて買ったが、「ラブカは静かに弓を持つ」と同じ方(会社?)が手掛けられていた
自分の好みが丸わかり

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2024年08月14日

Posted by ブクログ

澄んだ青い宙、深く沈んだ碧い海。
本当の自分、他の人に見せたい理想の自分。
言いたいこと、言えないこと。
その歪みが本来とは違った物語を作り出す。
前半は読んでいて息苦しい。
旅をするあたりから、少し楽になった。

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2024年12月04日

Posted by ブクログ

余命青春物とミステリーがブレンドされ、リアル過去と美しく変化した小説と現在。妄想と嘘と創造と。最後は納得しました。

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2024年10月28日

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死を予告された者と見送る者の立場の隔たりや苦悩、葛藤、残された者の一生逃れることのできない後悔が痛々しかった

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2024年10月01日

Posted by ブクログ

タイトルに惹かれて。
ちゃんとタイトル回収もしてくれてます。
主人公の高校教師は一体何者なのか途中までわからず、また、わかってからも、定番展開の余命モノを作中作に従え、思わぬ方向に進みました。

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2024年09月05日

Posted by ブクログ

普通に面白かった。
最初、話が見えなくて、殺人鬼か変な妄想癖のある男の人の話かと思って焦った。

ネタバレ
誰も知らないはずの自分の過去の体験(夜だけ遊ぶ仲の同級生が病気で亡くなる)が、第三者によって美化されて小説として世に発表される話。

売る

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2024年08月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルに惹かれて読んでみた。
主人公の卯之原は高校教師。自身が勤める高校にルリツグミという名で執筆活動をしている生徒、妻鳥が転校してくる。妻鳥は若者にも人気で映画化も決まった『君と、青宙遊泳』という作品を書いて、人気作家となっているが妻鳥がルリツグミであることは秘密。妻鳥が書いたその作品には卯之原の青春時代が描かれていた。卯之原は高校時代に同級生で不治の病にかかった日邑とふとしたことから同じ時間を過ごすことが多くなっていた。受験に挑む卯之原、余命が僅かな日邑。ちょっとしたことで喧嘩し、卯之原と日邑はある時を境に会わなくなった。そんなある日、病院を抜け出した日邑が駅の線路に落ちて亡くなってしまった。日邑は病院を抜け出してどこに行こうとしていたのか、目撃者によると落とした何かを拾おうとしていたようだとも言う。日邑が持っていたのは受験のお守りにもなる砂だった。喧嘩しても、卯之原のことを思っていたに違いない。卯之原も日邑も、本当の自分を出せるのが、お互いしかいなかったんだろうなと思う。二人がよく会っていたのは夜。タイトルの『夜しか泳げなかった』は、夜しか本当の自分でいられなかった、ということなのかな。家や学校では猫を被ってしまったりして…あの高校時代にお互いが自分の思うことを自由に言い合える関係ってきっとすごく大切で知らないうちに支えにもなってたんだろうなと思った。
個人的に妻鳥の担当編集者さんが良い人なんだけど勢いがあってかわいいなぁと思って好き。

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2024年08月27日

Posted by ブクログ

タイトルと表紙に惹かれて読んだけれど、想像していた内容と印象が異なりハマりきれなかった。そういう時もある。

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2024年08月22日

Posted by ブクログ

『七度笑えば、恋の味』
『今夜、ぬか漬けスナックで』
『ずっとそこにいるつもり?』
と連続して面白い作品を生み続けている古矢永さんの最新作は、過去作とは趣が異なるミステリー要素を含んだ作品。

高校教師・卯之原朔也が、ふとしたきっかけで手にした中高生に人気のベストセラー小説「君と、青宙遊泳」。

こには自分が経験し封印していた物語が綴られていた。

卯之原の元に転校生として現れた覆面作家ルリツグミの正体は?
不穏な幕開けだが、物語は予想だにしない方向に転がり始めた。

作中作で描かれなかった真実を知ると切なさに打ちのめされる。

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2024年08月14日

Posted by ブクログ

中高生の多感な時期に死に触れたり死に近くなると長い間囚われる感覚を思い出した。ただの美しい物語で終わらないところに惹かれた。

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2024年08月13日

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