あらすじ
延暦十九年。駿河国司の家人・鷹取は、軍馬を養う官牧で己の境遇を嘆く日々。ある日、鷹取は富士ノ御山から黒煙が噴き上がるのを目撃し、降り注ぐ焼灰にまみれて意識を失う。一方、近隣の郷人や遊女などの避難民を受け入れた牧は混沌とする。灰に埋もれた郷で盗難騒ぎが起こり、不安、怒り、絶望がはびこるなか、京から蝦夷征討のための武具作りを命じられる。地方の不遇に歯噛みする鷹取は――。【電子版には直筆サインなし】
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Posted by ブクログ
澤田瞳子さんの歴史小説は歴史の流れをなぞるように物語が進んでいく。(まだ2冊目だけど汗)
延暦19年(西暦800年)富士山噴火。
焼石・焼灰、全てを灰色に染めてしまう降灰は横走に住む人々を襲う。
被災した人達を、降灰の被害にあいながらも岡野牧(朝廷に馬を献上するための牧場)の人達は受け入れる。
被災地に公的支援はなく復興に追われる中、1度ならず2度目の噴火。
心折れ生きる希望を失いそうになる中での、征夷大将軍坂上田村麻呂の東北征伐のための馬や馬具等の納入要請。
「富士山、噴火。それでも人は、生き続けねばならぬだ。」の言葉がつらい。
時代背景や社会制度、当時の言葉も頻繁に出てくるので調べながら読み進めていく。
時間はかかるけれど読み終えると、小説を楽しむというより、描かれた時代を追体験したような感覚になる。
内容が濃すぎて感想がまったくまとまらないけれど…、
被災した人たちの奮闘する姿から今を生きる私達が大切な事を学べる小説だと思った。
歴史が大嫌いだった学生時代の自分に読んだほうが良いよって伝えたい。