あらすじ
『フィナンシャル・タイムズ』『ニューヨーク・タイムズ』絶賛!
パンデミック、テロ、暴動、政治紛争、サイバー攻撃、気候変動、破壊的技術の出現。
市場を混乱に陥れる「予測できない極端な現象(ブラック・スワン)」にいち早く気づき、行動を起こした者だけが巨万の富を手に入れることができる。
不確実性が増し、存亡リスクさえも高まる世界にどう適応すべきか。
「カオス」を制したファンドの「帝王」たちから、その原則と思考法を学ぶ。
ユニバーサは暴落時に莫大な収益を上げるポジションを常にずっと取っていた。なぜなら市場はいつなんどきでも、前触れなく暴落する可能性があるからだ。暴落がいつ起きるかは誰にも予測できない。だからユニバーサに資金を預ける投資家は暴落を心配する必要がなかった。――第2章より
誰よりも早く「パニック」を起こした者がカオスを制する。
パンデミック、政治紛争、暴動、気候変動、破壊的技術の出現――市場を混乱に陥れる「予測できない極端な現象(ブラック・スワン)」にいち早く気づき、行動を起こした者だけが巨万の富を手に入れることができるのだ。
2020年3月、パンデミックに市場が揺れるなか、投資顧問会社ユニバーサ・インベストメンツは4000%を超えるリターンを叩き出した。多くの投資家が匙を投げ、多額の損失を被るなか、なぜユニバーサは莫大な利益を生み出すことができたのか。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の記者による本書では、ユニバーサの最高投資責任者マーク・スピッツナーゲルと、ミリオンセラー本『ブラック・スワン』の著者ナシーム・タレブが確立した投資戦略とその哲学に迫る。さらに、バブルの崩壊は予測できると主張する複雑系研究者や気候変動専門家などへの取材をもとに、複雑化し脆弱性が増す社会における生き残り戦略を探っていく。
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Posted by ブクログ
タレブらのファンドはFar out of the moneyのプットオプションをひたすら買い続けてブラックスワンが来るのを待つ、というだけ。
市場は正規分布よりもファットテールになっているので理論的にはこの戦略は正しいのだろうけど、買っても買ってもExpireし続けるのは精神的にキツイ。実際、タレブ自身もこれに耐えられずに文化人への道を選んだようだし。
本書はタレブの著作の実践編という感じで面白かった。
アメリカには文化人のサークルのようなものがあり、大富豪たちがノーベル賞級の科学者を呼んで話を聞くような場も多いそうで、こういうのはいいなぁと思う。
指数関数的な爆発をし、人類滅亡の可能性があるものはいわゆる「破産問題」として扱うべきで、気候問題なども間違っているかもしれないが、ブラックスワンとして発現したときのリスクを考えると丁寧に対処すべきだとのこと。なるほど。
・不安定さを増す世界は、人類がテクノロジーと数量モデルと至るところにあるジャスト・イン・タイム方式の最適化によって世界をコントロールしようとした逆説的な結果である、とタレブは主張してきた。そのせいで社会はますます複雑化し、人為的になり、衝撃の影響を受けやすい脆弱なものになった。「現代では、複雑性、部品同士の相互依存性、グローバル化、そして人々に綱渡りを強いる、くだらない『効率性』のせいで、必然的にブラック・スワンの影響は増していっている」
・「今パニックを起こせ──早い段階でパニックを起こせ」、これはタレブと小論の共著者たちが新型コロナ危機の間ずっと使い続け、カオスの帝王の戦略を代表する言葉になった。