【感想・ネタバレ】島はどうしてできるのか 火山噴火と、島の誕生から消滅までのレビュー

あらすじ

世界でも珍しい新たな火山島の出現は、島を知り地球を知る研究材料の宝庫。小笠原諸島で2013年、旧西之島沖の噴火によりできた島はどんどん大きくなり、旧西之島をのみこみ成長中であることがニュース映像などで紹介された。島ができていく過程を見られる貴重な場所として、様々な分野の研究者からも注目されている。本書では、西之島をはじめ多くの島の上陸調査も行ってきた著者が、できたての島でなくては見ることのできないこと、そこからわかる地球のダイナミズム、今後西之島はどのように変化していく可能性があるのか、などを解説する。また、西之島以外の国内外の特徴的な島について噴火や成長の過程での地質現象についても紹介する。
前半では島の誕生から成長までにどういう現象が起こっているのかを中心に、後半では島の成熟から崩壊などの過程を中心にさまざまな島の事例をあげながら話を進めていく。

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Posted by ブクログ

海底火山の噴火により、新たな陸地が誕生することによる地球の神秘を感じつつも、噴火や津波、山体崩壊による災害の恐怖の面もある。火山は日本に住んでいる以上身近にある存在であるが、海底火山や離島の火山についてはどうしても関心が薄い。南方で火山の巨大噴火とニュースで騒がれても、どうしてもポカンとしてしまうがこの書籍を読んで、自分の住んでる周辺にも影響を及ぼす存在であることを認識させられた。やはり地球の活動は面白い。

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2025年05月26日

Posted by ブクログ

海域火山の解説書。分からないことが多い分野だけに、科学者としては非常に面白い対象なんだろうとは思う。しかし、著者が何度も強調しているように、稀かつ大都市からは離れた場所でのイベントだけに、危機管理、災害リスクの観点から、予算が付きにくそうな分野でもある。伊豆諸島や鹿児島の離島の自治体からすれば、重大な災害リスクであり、噴火メカニズムの解明を進める意義は大きいと感じる。みんなが富士山噴火の研究をしてても多分しょうがなくて、こういうニッチな(のかどうかはわからないけど)分野もちゃんと研究できる環境であって欲しいなあ。

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2025年04月10日

Posted by ブクログ

 西之島がまた成長したとの報道に接したり、またどこかの火山が噴火したというニュースを聞くたびに、地球のエネルギーの凄さに感心してきた。
 島も火山の一種で、山頂付近が海上に出ているだけではあるが、その島の誕生・成長・崩壊について日本付近および世界各地、また過去の活動痕跡を本書は紹介してくれる。
 筆者が自ら訪れて写真とともに様子を記しており、地図もあって分かりやすい。特に、渡島大島、昭和硫黄島、アナタハン島など初めて知ったことも多く、たいへん興味深く読むことができた。
 本書の読後、そのような火山島へ行って自ら見たいと思うようになったが、そう思う人も多いだろう。

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2024年09月07日

Posted by ブクログ

タイトル『島はどうしてできるのか』というより、火山島のでき方をその誕生から消滅までを臨場感あふれる文章で綴った本。
この本では著者が実際に訪れた火山を中心に、海域火山で何が起きているのか、火山島はどのようにできるのかを探る。
2013年に発生した西之島の火山噴火。この噴火で西之島の形、面積が大きく変わってしまうほどの大規模なものだった。この島に著者は上陸し、詳細を伝える。西之島は本州からはるか離れた南の島、小笠原所諸島にある「無名」の島であったが、この火山噴火を契機に一躍注目されることになる。
また、2022年に発生した南太平洋トンガ王国のフンガ・トンガ火山で大規模な海底噴火が発生。日本にも大気波動や津波の影響があった。
最近では、ネットの動画で火山発生時の動画を見ることができるが、百聞は一見に如かずというか、動画を見ると火山のダイナミックさを目の当たりにしてしまう。地球の内部に秘めた激しいエネルギーに接し、地球がまるで呼吸しているかのような生命体であるとの錯覚を抱く。
日本列島には多くの海底火山や火山島がある。このうち活火山は、10の海底火山、23の火山島で国内全活火山111の3割近くを占める。本州から遠く離れた海の孤島ででのことを他の世界のことと思いがちだが、地球表層環境を大きく変化させる可能性があることから無関心ではいられない。

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2024年08月24日

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