【感想・ネタバレ】決算分析の地図 財務3表だけではつかめないビジネスモデルを視る技術のレビュー

あらすじ

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企業が公開している情報には、有価証券報告書等を筆頭に決算短信、株価、決算公告、中期経営計画等があり、最近では統合報告書も注目されています。そして、そこまで広範囲の情報を注視して初めて、真のビジネスモデルに到達することができるのです。

★財務情報×非財務情報★

これこそがポイント。そこには間違いなく、決算書だけでは決して視えないdeepな世界が存在します。
本書を通じて、企業分析の「醍醐味と楽しさ」をぜひ堪能してください。
まさに全方位からの企業情報で、分析の解像度を極限まで高めよう!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

こんなにもストレスなく財務会計領域の知に触れられた経験は初めてである。
企業分析に向けて、財務情報・非財務情報の調理の仕方を正しく理解し、実践するための術を学び、新たな視野視座視点をもたらしてくれる良書。
財務会計領域の書籍は、専門用語が多く、前提知識がないと理解が困難なものが多い。あるいは、意味は分かったとしても、具体的にそれがビジネスの現場でどのように役立つのかは押さえきれず、読んでも自分の血肉へとつながらないケースが多い。
その点、本書は、初学者を置き去りにすることなく、各用語の意味は何なのか、その情報から分析者は何を把握できるか、具体的に企業の事例の落とし込むと各指標を比較することで何を掴めるのか、といった要点が丁寧かつ論理的に記されており、読むことにストレスを感じないどころか、読み進めるたびに知的好奇心が駆り立てられる。
また、本書の中には、各企業の一次情報をもとに筆者がまとめた図表が多く掲載されている。これらの図表は、ポイントが非常に簡潔かつ見やすくまとめられており、読者に対し理解促進の役割のみならず、実務において煩雑なデータを他者へわかりやすく伝える術を教えてくれる。
全体としては、全10章、411ページから成り、一見分量が多い書籍と感じるかもしれないが、上述のわかりやすさに加え、各章のページ数が適切な情報量に調整されているため、1日1、2章は無理なく読むことができるので安心してほしい。
 そして、タイトルに「ビジネスモデルを視る技術」と記されているように、各企業の事例では、ビジネスモデルにまで踏み込んだ内容がまとめられている。それらからは、あらゆる業界・企業の特性や、モデルの特徴のみならず「聞いたことはあるが、何を意味するかは知らない」といったようなビジネス用語も幅広く学ぶことができ、非常に有意義である。

 本書の筆者は、「自分で考えるという部分が欠落すると、教科書を暗記し、練習問題を黙々と解くという、単なる高等教育の消費者に終わってしまいます。」という大学院講師の言葉に衝撃を受けた経験から、「知の生産者」になることをモチベーションにされている。私は本書を読み進める中で、堅苦しい印象を抱いていた会計・ファイナンス領域の本を、なぜ自分が好奇心を絶やすことなく読み続けられているのか不思議に感じていたが、筆者のこの想いがそうさせてくれていたのだと実感した。
 私も本書の学びを消費者で終わらすことなく、生産につなげていきたい。まずは自社について、本書に記された調理プロセスに則り、分析を進めるところから始めたいと思う。

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2025年01月28日

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