あらすじ
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マーケティングにおける客観的判断に役立つエビデンスの作り方を解説!
マーケティングに携わる皆さんは「自社のマーケティング予算は妥当か?」「自社と競合ブランドの施策で効果にどれだけ差があるか?」といった問いに答えられますでしょうか。マーケティングでの失敗を回避するには、戦略検討時の指針になる「エビデンス」を確立することが重要ですが、日本ではあまり議論されていない状況です。そこで本書では、消費者をより理解し、たしかなエビデンスを構築するための手法の数々を解説します。
序章:本書のテーマと内容
第1章:なぜ市場浸透率が重要なのか?
第2章:性別年代ごとに顧客構造を把握する
第3章:コミュニケーション効果の構造を把握する
第4章:市場(顧客)の変化を的確に捉える
第5章:消費者を理解するための基本分析
第6章:新たな市場を発掘できる調査分析法
小川 貴史(マーケティングアナリスト/株式会社秤 代表取締役社長)
DAサーチ&リンクと電通ダイレクトフォース(本書初版出版時点では電通ダイレクト)でマスとデジタルの最適化をテーマにした分析と改善に注力。デジタルマーケティング支援会社のネットイヤーグループでコンサルティング経験を積み、2019年12月に法人設立。マーケティング・アナリストの役割で複数の企業で活動中。前著『Excelでできるデータドリブン・マーケティング』では、時系列データ解析による効果検証のMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)をExcelで行う方法など、マーケティング意思決定に役立つ分析を体系化して紹介した。
山本 寛(マーケティングリサーチャー)
オリエンタルランドでテーマパークのリサーチに従事したのち、パーソルキャリアで転職やキャリアに関するリサーチを担当。現在は総合エンターテイメント企業にて引き続きリサーチに取り組むと同時に、個人としても顧客理解を軸にしたリサーチアドバイザーや講師として活動中。リサーチを通じた意思決定支援に加え、事業者の顧客志向の強化プロジェクトや自律的なリサーチ人材の育成に従事している。
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Posted by ブクログ
買いやすいブランドになるか否かの鍵を握るのは、マクドナルドのような外食チェーンであれば店舗数やアクセスのよさなどの行き易さとデリバリーの利便性です。消費財や食品などの日常品であれば、スーパーやドラッグストア、コンビニといった小売店舗での配架率や店頭での視認性などです。昨今は、アプリやECサイトなどの利便性も重要です。アプリやECサイトの利便性など、デジタルな顧客接点でのユーザー体験を向上させることはマーケティング担当の介入余地が大きい一方、リアルな顧客接点での買いやすさの強化は一筋縄にはいきません。小売店で販売するメーカーであれば、配架率を高めるための営業力も必要です。店舗を運営するブランドが店舗数を増やすのは予算または時間などの制約があるため、ブランドの成長とともに地道に積み上げる必要があります。
MMMを機能させるために重要なのは「マーケティング戦略において期 「待する効果をどう定義し、それを検証するか」という要件の定義です。っまり、マーケティング・コミュニケーションの実務に必要な前提知識がない専門家に比べて、分析対象のビジネスの知識を身に着けており仮説を考えられる方がMMMを実装するのが成功の近道であることは間違いありません。
本書冒頭でコメントをいただいた、グローバルブランドのCMOである Jun Kaji氏は、自ら「Robyn」によるMMMやNBDモデルを使った需要予測を実装しています。「マーケティング投資をそもそもいくらにすべきか」という舵取りとなるMMMは、氏のようにCMOが自ら行うことが理想ですが、 現実的に日本でそのような方は非常に珍しい存在だと思います。しかし日本でMMMを機能させるためには、意思決定者と分析担当者双方が MMMのメリットだけでなく制約についても共通認識を持っておくことが重要です。MMMは分析上の制約も多く、それを知らない方の要求がそのまま実現することはほとんどありません。実際のプロジェクトでも、分析上の制約や活用できるデータの範囲内で実現可能な落としどころを見つけています。
【3章より再掲
書籍『ブランディングの科学 新市場開拓編」の第6章「リーチを拡大する(ジェニー・ロマニウク著)」では、スリーヒットセオリーは時代遅れの神話にすぎないとしています。重複接触を避けて、リーチを最大化することをメディアプランニングの第1の目的にすべきで、フリークエンシーを高めることは広告メディア費用の浪費につながるとしています。認知心理学とマーケティング学のメタ解析によって「単発の広告露出は効果的だが、間を置かない連続的な露出はそれに比べると効果は劣る」ことが証明されていることや、一定期間内では最初の広告露出が最大の売上効果を有することが先行研究から明らかであるとして、「良い広告は最初から効果を発揮し、そうでない広告は何回露出されても効果が薄い」と言及しています。
これは「何回リーチしても効かない広告は効かないが、効く広告は1回目のリーチから効き、カテゴリーバイヤーに持続的な影響を与えることができる。そして効果がもっとも高いのは1回目のリーチであるため、1回目で効果を出すクリエイティブを突き詰めてリーチの最大化を目指すことが重要。2回、3回と重複接触させることはコストの無駄につながるため、可能な限り避けるべき」という考えでした。リーチの最大化によって成功するためには、1回目で効果を出す広告になっていることが前提となります。そうするためには、効く広告クリエイティブと効かない広告のクリエイティブの効果の差をCPAやROASなどで数値化し、クリエイティブによる効果の違いを明確に把握するプロセスが必要でした。
MMMの制約
・細かい粒度での分析には向かない
・興味のある変数の効果を必ず推定できるものではない
・どんなに精度の高い分析モデルでも、一度の分析結果で効果を信じるわけにはいかない
・長期的な効果を考慮できない
POP
■カテゴリー類似化ポイント
消費者がブランドを選ぶ必要条件であるが、必ずしも十分条件ではない。 技術の発展、法整備、消費者トレンドなどによって時間とともに変化する。
■競争的類似化ポイント
競争相手の差別化ポイントを無効にするために作られる連想。競争相手が優位性を見出している領域で「引き分け」に持ち込み、別の領域での優勢を達成するためのもの。
■相反化類似化ポイント
当該ブランドにおけるプラスの連想から生じる、潜在的にマイナスの連想。 たとえばあるブランドが「低価格」であると同時に「最高品質」であると信じるのは難しい。
「他者理解」に必要なポイント
・正確な事実情報の把握 - 事実
・相手のリアルな人物像、価値観の想像、把握-洞察①
・「もし自分がその立場なら」「それには覚えがある」という自分事化 - 洞察②
・「覚えがある」気持ちへの共感 - 共感