あらすじ
「お前さんは真先に私の肥料(こやし)になったんだねえ」――『刺青』で鮮烈な文壇デビューを果たし、『痴人の愛』『卍』『細雪』と名作を多く遺した谷崎潤一郎。性の不一致を理由に妻を友人に譲渡、義妹といかがわしい交際をする等、私生活は世間の大顰蹙を買う一方、飽くなき妄執を巧みな筆致と見事な日本語で描き出した作品は耽美の極みと絶賛される。公私共に異常に乱れた巨匠の文学世界を徹底解説。(解説・たつみ都志)
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Posted by ブクログ
阿刀田高氏の「~を知っていますか」シリーズ
谷崎の著作は「蓼食う虫」と「痴人の愛」くらいしか読んだことがなかったので、文豪の作品と生涯を読みかじったような感覚でとても面白かった。
特に「細雪」
特筆大書すべき大事件はないかもしれないが、阿刀田氏の梗概と解説を読むだけでも引き込まれる感じがして、読んでみたいと思った。
この本を読んでる時期にジョジョのアニメ4部を観ていたのが、「春琴抄」を連想させるエピソードがあって
古典のエッセンスって思わぬところに活かされたり抽出されてるんだな、とタイムリーな経験でした。
Posted by ブクログ
以前岡山県の勝山に行った時に訪れた資料館で、谷崎が敗戦直前に勝山に疎開していた事を知った。
谷崎は1945年8月14日の晩餐を荷風と共にしている。食料難の中ですき焼きをつつく事が出来たのは二人のネームバリューのおかげか、はたまた恩ある荷風の為に谷崎が尽力したのか…
戦時最後の晩餐を取りながら二人は何を語り合ったのだろう。戦争の行方か、文芸論か、食べ物についてか、単なる昔ばなしか、想像を逞しくさせる。
ふとそんな事を思い出しこの本を手に取った。
関西に住んでいるのなら谷崎を読まないと勿体ない。
喜久屋書店阿倍野店にて購入。