あらすじ
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【内容】
「生きぬくために“買う”から“つくる”へ」
全国各地で「自給農」を伝えている無肥料栽培家が満を持して書き下ろした、これから役立つ新しい生き方論。少子高齢化や自給率、労働力の低下などが取り上げられるこの国の未来に一石を投じるような話題作です。
(本文「はじめに」より)
『この本のタイトルは「おひとり農業」と名づけられました。
誤解のないように書いておくなら、決して「独りきりで農業をやりなさい」と言いたいのではなく、かつ「独りで生きていきなさい」と言いたいのでもありません。
真意は逆です。自分の視点で、自分の感性で、食べるものの一部でもいいから作ってみてほしい。それを通して生きていることや感じていることを実感していただきたい。そんな思いが込められています。』
【目次より】
[はじめに]もうひとつの視点
[第1章]生きぬくための「買う」から「つくる」へ
[第2章]そもそも「野菜」って、どうやって作るの?
[第3章]まずは「土」のことを学ぶ
[第4章]巡る季節の野菜作り基本の“き”
[第5章]暮らしに合った「種蒔き」カレンダーを作ろう
[第6章]四季折々に作る調味料と保存食
[おわりに]生きぬくために自分でできること
(本文「おわりに」より)
『「おひとり」と言う言葉ですが、その言葉の中には、自分を見つめ直すという意味も含まれています。他人軸ではなく自分軸で動きながら生きていく。そして各々が得た知識と知恵と経験をもとに、お互いに助け合い、励まし合い、共有し合う、それが「おひとり農業」の真髄なのです。』
【著者】
岡本よりたか(おかもと・よりたか)
1958年、福井県出身。岐阜県郡上市在住。無肥料栽培家・環境活動家。「たねのがっこう」主宰。TVディレクター時代、取材を通して農業の環境や健康への破壊的ダメージを知り、またITエンジニア時代、効率化という名の非効率な経済社会のシステムを知り、40歳半ばで、社会に背を向け、山梨県北杜市に移住して山暮らしを始める。その後、自然農法を学び、それをヒントに、自分なりの農法を確立しながら農業に勤しむも、生活苦に陥る。しかし、そのお陰で、「人は水と太陽と空気と種さえあれば生きていける」という真実に出会うことになる。それ以来、経済社会の不自然さを訴える講演活動を開始。当時、自家採種を禁じる遺伝子組換え種子のことも知り、世界を制するバイオテクノロジー企業への警告の意味で、SNSにて、種に関する情報発進も始める。現在は、岐阜県郡上市に再移住し、自家採種の大切さを訴えるセミナーや講演を開催しながら、生き苦しいこの世の中を生き抜くための手段としての、自然農法の普及にも努めている。無肥料栽培セミナーや講演活動は年間150日ほど全国にて開催しており、その傍ら6反の畑で農業も続けている。また、民間のシートバンクである「たねのがっこう」を主催し、農業スクールなども開催している。最近は、次世代の農家を育成する「耕師(たがやしし)」制度を発案している。著書に『種は誰のものか』(キラジェンヌ出版)、『無肥料栽培を実現する本』(笑がお書房)、『野菜は小さい方を選びなさい』(フォレスト出版)などがある。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「生き物はそもそも何からできているのか?」
という話がとてもわかりやすく説明されていて、「なるほどなあ」が止まりませんでした。
農薬と化学肥料を使わない循環型農業の話ももちろん大いに参考になりました。
でも個人的にはそれより、
水と空気から始まって元に戻っていく有機物の循環とミネラル(無機質)がそれを助けてくれている話が本当に面白かった。
子どもが科学館に行った時のように、目をキラキラさせながら、寝る前の布団の中で楽しく読ませてもらいました。
Posted by ブクログ
縄文時代の収穫の方法や、自然の循環への敬虔な気持ち、生き抜く知恵と勇気ある暮らしなど、私自身が縄文時代に大変興味を持っているため、とても楽しめる導入から始まる本作に、あっという間に夢中になりました。
この地球は、大気は、土は、植物は、そして人体は、何で作られているのか。元素と関係浅からぬ、電子・イオンについても説明されていて、自然をありのまま見つめる、感覚的な、縄文的な、右脳的なものを大事にしつつも、人に説得力を持って伝え、分かりやすく理解してもらうための科学や、生活に伴った身近なものの喩え話など___大変に見事な内容だと思います。
実際に一人で生き抜いていくための知恵を身につけ、その自信を以て、他の人々と快く繋がっていく・・・そのためのきっかけとして、素晴らしいです。
そして、農業を始めるわけではないにしても、私たちが無関心ではいられても、無関係では決してありえない、空気、水、食べ物は、どこに存在していて、どういう風に作られているのか___そのことを知るだけでも、
「ああ、この味付けの天然塩はミネラルなわけで、そのミネラルは元々枯れ草が土に染みて、雨水に流されて、海水に溶け込んだからあるんだなぁ。なんだかすごいなぁ。しかもその枯れ草の分解を手伝っているのは、ミミズとかヤスデとか、微生物たちなんだなぁ。生態系って面白いなぁ」
だなんて、ぼんやり楽しめるのではないかと思います。
食事をするときに、しばしば生産者への感謝をこめて「いただきます」という癖を身につけることは、幼時分に、大人の方々から教わった人は多かろうかと思います。もちろんそれは素晴らしいのですが、もう少し視野を広げると、嫌がるはずの人も多かろう昆虫たちもまた、私たちの食べ物を助けてくれているのであり、ひいては私たちの命の恩人(恩虫?)でもあるということです。大袈裟な綺麗事かもしれませんが、きっと、そういう感覚に慣れていないというだけで、続けてそう思っているうちに、むしろあらゆる生き物に感謝、感動できるようになっていく気がします。
それこそが自らあるがままいられることであり、読んで字のごとく、「自然」であろうかと思うのです。
読み終えた後の満足感たるや、とても爽やかなものでございました。岡本よりたかさんは現在、岐阜に在住されているとのことなので、これは実際にお会いしてみたいと思いました。
なんとなく今の行き過ぎた文明と、そのために生活に苦しむ悪循環に「おかしい」「なんでだろう」と思う人には、是非とも一度読んでもらいたいです。興味を持っていらっしゃるという時点で、こうした出来事、関心には向いてらっしゃると思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。