あらすじ
幼い頃から和歌山の森と図鑑に遊び,アメリカでの学生生活やキューバでの冒険旅行後に渡英.大英博物館に通いつめ,帰国後は粘菌などの研究や,故郷の森の保護運動で知られる南方熊楠.残された豊富な一次資料から,「楽しさ」に満ちたその生涯を再現し,天才・奇才として捉えられがちな熊楠像を覆す,画期的評伝!
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Posted by ブクログ
南方熊楠に関する内外のいろいろな書物や論文、書簡から、平易な言葉でかの人となりを語り尽くしている。学問とは、学問への姿勢はかくあるべし、と考えさせられた。南方マンダラ、私自身、偶然や縁あって多数の線が交錯する萃点で学ばせてもらえていると感じることがあり、強く共感させられた。
Posted by ブクログ
南方熊楠の人物史、人物像を分かりやすく捉えられる一冊だった。
現代語訳での引用もこれから勉強しようという人にとっては非常にありがたいのではないか。
Posted by ブクログ
二〇一六年に慶應義塾大学出版会から出された同著者の『南方熊楠—複眼の学問構想』は博論を元にまとめられた大著だったが、こちらは一見児童向け伝記のようなコンパクトでかわいらしい本。著者は熊楠の文章を引用するたび自称を「ボク」にして現代語訳していて、最初は違和感を覚えながら読んでいたが次第に慣れてしまい、「おわりに」で「本書は、熊楠さんという人のもつさまざまな面について、筆者が主観的に感じてきたことを、読者と共有することを第一の目的としている」(p209)という一文を読んで、なるほどと思った。この本のなかでは、「ボク」は熊楠でもあり、著者の松居竜五さんでもあり、私たち読者でもあるのだ。