【感想・ネタバレ】明智恭介の奔走のレビュー

あらすじ

神紅大学ミステリ愛好会会長・明智恭介。小説に登場する探偵に憧れ、事件を求めて名刺を配り歩く彼は、はたしてミステリ小説のような謎に出合えるのか――大学のサークル棟で起きた不可解な盗難騒ぎ、商店街で噂される日常の謎、夏休み直前に起きた試験問題漏洩事件など、書き下ろしを含む全五編を収録。『屍人荘の殺人』以前、助手であり唯一の会員・葉村譲とともに挑んだ知られざる事件を描く、待望の〈明智恭介〉シリーズ第一短編集!/【目次】最初でも最後でもない事件/とある日常の謎について/泥酔肌着引き裂き事件/宗教学試験問題漏洩事件/手紙ばら撒きハイツ事件

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

屍人荘の殺人からはじまるシリーズの中で、魅力のあるキャラクターだっただけにあんなにも早く退場してしまい悲しかっただけに、明智さんにスポットが当たったことにとても喜ばしく思います。

短時間とはいえ深い爪痕を残したっだけあり、今作でもなかなかのクセの強さ。
ミステリーというものに真っ直ぐで貪欲すぎるがゆえ、周囲の人間とこじれてしまいながらもどこか憎めない明智さんの日常が楽しめます。

事件の内容も屍人荘シリーズよりはライトなもので、読みやすい作品でした。
微笑ましいことも、少しカチンとくることもありますが、この先は屍人荘の殺人にいつか繋がるのか・・・と多いながら、在りし日の姿を偲びました。

0
2026年05月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

剣崎比留子シリーズは3作とも読んでいるが、まさか早々に退場した彼の話が読めるとは嬉しい。
メインのシリーズも面白かったが、今回の短編集はホームズとワトソンのコンビのようで、読んでいて楽しい。派手な殺人やトリックはないが、大学の日常生活にある事件を2人が解決していく。王道ミステリで、尚且つ明智くんの活躍と、それに振り回される葉村くんが見れるのが良い。
メインのシリーズを読んでいるだけに、もう少し2人の活躍を見てみたかったなと感じた作品でもあった。

0
2026年04月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

明智先輩と葉村の日常の謎、5篇の短編集。最後は明智がまだ1回生の時のだから、葉村は出てこないけど。クスリと笑えるとこが入ってて面白かった。パンツ引き裂き事件とか。要所要所でこの明智がもう死んでしまったんだなぁと寂しく思う。これだけの月日を一緒に過ごしてきた葉村のショックを思うとそりゃ引きずるわな。

0
2026年03月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

屍人荘の殺人を読んで明智さんが好きになったけど一瞬で死亡…
明智さんが生き返った気分になって良かった。
明智さんの暴れ具合も面白かった。

0
2026年02月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

デビュー作の『屍人荘の殺人』が大ヒットした今村昌弘による同シリーズのスピンオフ作品に当たるのが本作、『明智恭介の奔走』だ。タイトルに登場する明智恭介はミステリにおける探偵役の典型的なキャラクターで、シリーズ最初の作品である『屍人荘の殺人』であっという間に退場してしまったという経緯がある。『屍人荘の殺人』を読んだ時には、ゾンビものと知ってはいたが、探偵役(実際にはコメディリリーフだったのだが……)があっさりと退場するとは知らなかったので、かなり驚いた記憶がある。

作者自身もそのことが不憫だったのか、あるいは読者から「明智恭介の活躍を見たかった」という要望が強かったのか、本作ではその明智恭介が探偵として活躍する五つの物語が収められている。とはいっても、本作で彼が解決するのは殺人のような本格的な事件ではなく、いわゆる『日常系』のちょっとした謎となる。大学生である彼は、学内で「ミステリー愛好会」と名付けられたサークルで活動をしており、その代表として謎を探し求めて日々活動しているのが主人公の明智というわけだ。

また、彼はあふれる探偵への気持ちが抑えきれず、探偵事務所でもアルバイトをしていることになっている。本作に収められた最後の事件は、その探偵事務所で彼が手伝うことになる本格的な「事件」だ。



本作で収められているそれぞれの事件はいかにも大学生らしい一風変わったもので、簡単に紹介しておこうと思う。


最初でも最後でもない事件
シリーズでは実質的な主人公となる葉村が、ミステリ愛好会に入会してから最初に明智と取り組むことになる事件。学内サークル棟での窃盗騒ぎに首を突っ込んだ二人が、「泥棒が泥棒に襲われる」という奇妙な状況を解き明かすために奮闘する。いかにも学生らしい事件ではあるが、著者の切れ味を存分に味わうことができる一作。

とある日常の謎について
明智と葉村が在籍する神紅大学の近くにある商店街の喫茶店の店主の視点から語られる日常の謎を描く物語。明智は推理をするというよりも、いわば狂言回しとして物語を見守る位置にいる。ドタバタコメディ色の強い本書の中では、一風変わった、しんみりとさせるような作品だ。




泥酔肌着引き裂き事件
酔いつぶれた明智のパンツがなぜか切り裂かれたという騒動に巻き込まれる週末の葉村を描く一作。ばかばかしいような設定ではあるが、真相に至るまでの道のりは極めてロジカルであり、明智のおかしな方向性と葉村の冷静さが漫才コンビのように物語を転がしていく。

宗教学試験問題漏洩事件
夏休みの直前、宗教学の教授の部屋から試験問題が盗まれるという事件が発生する。容疑者は二人の学生であるが、いずれも短い時間の間に盗難を実行することは不可能であり、事実上の「不可能犯罪」が成立してしまう。推理を組み立てては壊すといった、ミステリーの構造を楽しむことができる小編。

手紙ばら撒きハイツ事件
明智が大学生になって間もない一年生の頃、彼がバイトをする探偵事務所に一件の依頼が舞い込む。依頼主はマンションの管理人であり、彼によると住人宛にストーカーのものと思われる手紙が送り続けられているとのこと。後にミス愛で探偵となる彼が「助手」として事件に関わることになる、正真正銘の前日譚。

全体としては、著者が得意とするロジックとコメディが融合した雰囲気で統一されており、いかにも“名探偵然”とした明智のおかしな推理と、時たまのひらめきを楽しむことができる一冊になっている。

0
2026年01月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「屍人荘の殺人」の登場人物、明智恭介と葉村譲コンビの日常ミステリー短編集。

シリーズ番外作と言えばそうなのだが、この本だけでも全然楽しめる。それでも、上に書いた本編(第1作だけでもいいので)を先に読んで欲しいと思う。
どこにでもありそうな、大学生2人の日常を描いているんだけど、本編独特のあの感じは全く片りんすら窺わせず、「そうか、この頃はまだ日常ミステリーなんだなぁ」と、感慨深く思えるのは、本編を読んでこそである。

0
2025年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

明智恭介が動いているだけでうれしいです。
「とある日常の謎について」が好き(50円玉20枚の謎に新たな説を出してくれるところも含めて)

0
2025年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

屍人荘の殺人であっちゅーまに退場してしまった明智さん。
絶対主役だと思ったのに、いなくなってしまった明智さん。
好きなんですよ、剣崎比留子シリーズ。
でも、これからも長いお付き合いができそうだと思ってた明智さんがいなくなってしまうなんて寂しいじゃないですか。
という、私の為に(絶対違う)書かれた短編集です。
こんな人だったんだ。明智さん。
結構ひどいな。明智さん。
よかった、葉村君がいてくれて。
ツッコミ不在ではとても収拾がつかないよ。
私は明智さんと葉村君に平和な日々があったことがわかっただけで私は満足です。

0
2026年04月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まだ天才名探偵が目覚める前・・・あれ?目覚めた事実はないかw明智恭介は高校生時代からぶっとんだミステリ名探偵オタク、高校生時代でも葉室はいいように使いまわされている哀しい現実、事件はほゞ無く何かに疑問を持ち真相を解明する職人の様な日常が・・・楽しそう

0
2026年01月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2018年本屋大賞の続編、スピンオフ作品

『屍人荘の殺人』で強烈な印象を残しながら、物語の途中であっさりと退場してしまった明智恭介。
「あのキャラクターを、あそこで終わらせるのはもったいない」と感じた読者は多かったはずだ。本書『明智恭介の奔走』は、そんな思いに応えるかのように、彼が生きていた“過去”の事件を描いた短編集である。

舞台は神紅大学とその周辺。殺人事件は一切起こらず、扱われるのは盗難騒ぎ、日常の違和感、試験問題の消失、奇妙な悪戯など、ごく身近で小さな謎ばかりだ。いわゆる「日常の謎」ミステリであり、米澤穂信の古典部シリーズが好きな人には特に相性がいい。個人的にも、死人が出ないミステリはやはり読み心地がよく、本作はその点だけでも好感が持てた。

全五編の中核をなすのは、明智恭介と助手・葉村譲のコンビだ。明智は名探偵に強い憧れを抱き、事件を求めて名刺を配り歩く一方で、どこか抜けていて、調子に乗ると必ず痛い目を見る。そのアンバランスさが非常に魅力的で、葉村の冷静なツッコミが入ることで、二人のやり取りは軽快なテンポを生んでいる。

序盤の「コスプレ部盗難事件」では、学内サークルで起きた盗難騒ぎをきっかけに、人間関係の歪みと悪意が浮かび上がる。犯人は内気な医学部生に罪をなすりつけようとしたコスプレ部副部長であり、しかも濡れ衣を着せられた学生はすでに事故死しているという後味の悪さが残る。日常の謎でありながら、人の弱さや残酷さがしっかり描かれている点が印象的だった。

「とある日常の謎について」は、寂れた商店街の古びたビルが二千万円で売却された理由と、「五十円玉二十枚」の謎が語られる人情話だ。謎解きとしてはやや唐突な部分もあるが、亡き妻との思い出という真相には温かみがあり、読後感は悪くない。論理よりも情緒に重きを置いた一編と言える。

中でも最も印象に残ったのは「泥酔肌着引き裂き事件」だろう。明智が泥酔した結果、密室状態の自室でパンツだけが引き裂かれて玄関に置かれていたという、どう考えても馬鹿馬鹿しい(最大級の褒め言葉)謎を、真剣に解き明かそうとする二人の姿が最高に楽しい。トリック自体はやや甘いが、明智と葉村の掛け合いの魅力が最も発揮された一編で、本書の中では一番好きだった。

「宗教学試験問題漏洩事件」は、『屍人荘の殺人』冒頭で言及されていたエピソードの詳細編。真相は教授による自作自演で、部屋を丸ごと入れ替えるというトリックだが、伏線や発想は比較的分かりやすく、やや強引に感じる部分もあった。それでも、“ミステリとしての仕掛け”を真正面から楽しめる一編ではある。

最後の「手紙ばら撒きハイツ事件」は、明智が大学一回生の頃の話で、葉村が登場しない点が特徴的だ。叙述トリックも用意されているが、やや分かりにくく、爽快感には欠ける印象だった。もしシリーズ化するなら、やはり葉村とのコンビがあってこそ明智の魅力が最大限に活きるのだと感じさせられる。

総じて本書は、『屍人荘の殺人』シリーズに見られたオカルト的要素を排し、純粋なミステリとして明智恭介というキャラクターを掘り下げた一冊だ。謎解きの完成度には首をかしげる部分もあるが、明智という人物の魅力だけで、十分に読ませる力がある。

すでに“死んでいる”キャラクターである以上、彼を主人公に物語を続けるのは難しいかもしれない。それでも、こうして一冊を通して彼の奔走を描いたことには大きな意味がある。
『屍人荘の殺人』で明智恭介を好きになった人はもちろん、未読の人にとっても、本書は彼の魅力を知るための良い入口になるだろう。

0
2025年12月13日

「小説」ランキング