あらすじ
無一文から2兆円企業へ――ドン・キホーテを成功に導いた「運」の極意
三十四期連続で増収増益を成し遂げ、売上二兆円のドン・キホーテ。
無一文から日本を代表する創業経営者へ――そんな大成功の裏には「運」の存在があった。
私は「運任せ」という言葉が嫌いだ。自らの運をコントロールし、人生を切り拓け。
生涯をかけて学んだ、人生とビジネスにおける「勝利の法則」を惜しみなく伝授する!
●「はじめに」より
今でも私は自分の身の上話をすると、多くの人から、「安田さんは本当に運が強いですね」などとよく言われる。だが、私自身は特別に運が強いわけではない。災難を招いた「不運」を、「幸運」に変える力が強いのだ。
私は、人によって運の総量そのものに大差はないと考えている。現実を見れば、明らかに運のいい人とそうでない人はいるだろう。しかし、それは与えられた運をどう使ったかという違いに過ぎない。すなわち、運のいい人とは「運を使い切れる人」であり、運の悪い人は「運を使い切れない人」あるいは「使いこなせない人」だと言える。
詳しくは本文で説明するが、運を良くする行為、悪くする行為は必ずある。例えば、不運の時の悪あがき(第二章)や、他罰的な言動(第四章)は、運を著しく落とす要因となる。
つまり、運は自分自身でコントロール可能なものなのだ。
「人生の指南書として、常に傍に置いておきたい」(北尾吉孝・SBIホールディングス会長兼社長)
「あなたは『主語の転換』できますか?」(テリー伊藤)
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徒手空拳から二兆円企業を築き上げた、
創業者・安田さんによる「運」の自伝的な一冊。
二十代ではプロ雀士として糊口を凌いでいたという。
その破天荒な生き方に、強い興味を覚えた。
起業家としても雀士としても、圧倒的な実績を残した安田さん。
「運」を語るにこれほどの資格を持つ人はいないだろう。
語られる運の秘訣は、驚くほどロジカルで説得力がある。
世に「運をつかむ方法」を説く本は多いが、
「運を下げる行動」に光を当てている点は、まさに目から鱗だった。
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ドンキホーテの創業者の考え方。
運を信じる。
楽観して挑戦する。
サンプル数が多いほど、平均は母集団に近づく。
運におけるハウスになる。
お客様の立場になって考える。
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素晴らしい本でした。読み返す価値のある内容です。
「運は、本人の意思と努力次第で、ある程度はコントロール可能だということだ。」
「当たり前のことだが、運は天から降ってこない。自ら果敢に挑戦する者にだけ盛運が訪れる。失敗することや傷つくことを恐れて、何にも挑戦しない日々を過ごしていたら、いつまでたっても成功者にはなれないのだ。」
「究極の能力は何かと問われれば、迷わずに私は「人格」と即答するだろう。「この人のためなら一生懸命やってやろう」と、部下や周りの人たちに思わしめる能力に勝るものはない。そしてそれを突き詰めれば、最終的にはその人独自の魅力や人間味、言い換えれば人格そのものに行き着くのだ。」
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ドン・キホーテ創業者のとても興味深い人生75年✖️5倍の密度の実践を繰り返した軌跡。
それを当社においてまとめた『源流』と呼ばれる社訓がある、それを書籍にしたものである。
運と一口に言っても短期的なツキとは違う。
出来る最善を尽くして巡ってきた運(成果)を余すことなく使い切り、かつ最大化することができるかどうかである。
個人、集団にある順回転を自ら生み出すには、他罰的な人とは距離を置きつつ、時間の経過の中で見極めが進む中での人との距離感の達人となる必要がある。
それは適切な付き合いのほか、経営者と使用人、会社と顧客の関係にも生きる主語の転換という表現に表れている。
個人としての著者はわからないが、周囲や環境への洞察力が違うのだと思う。
あと店頭にあるアクアリウムが著者の捕まえてきた魚であるのは面白い。
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ドンキホーテがここまで成長できたのは、「集団運」があったから。集団を上げるにはまずは個人の「個運」を上げなければならない。
創業者である著者の経営に対する考え方を知ると、ドンキホーテ皆に愛され、ここまで大きく成長できた理由がよくわかります。
・ リスクを取らないのが最大のリスク
・ 「堅守速攻」ではなく「速攻堅守」。経営のスタンスとしては「守備7割、攻撃3割」ではあるが、まず「攻めの姿勢」を大事にしなければ、決して良い運はやってこない。
・ まずは挑戦しその上で「熟慮」する。挑戦して悪戦苦闘しながら、自分が立てた仮説を検証する。
・ 戦わなければ運は落ちる。
・ 「主語の転換」=「相手の立場になって考え、行動する」
・ 幸運な成功者と不運な成功者の差は「信用」の度合いが違う。常にビジネスの相手を立てて信用をせっせと蓄積していく。
・ 我欲と自我を消さないと、人は寄ってこない。「どうしたら、従業員たちを幸せにできるか」を常に考える。
・ 「曖昧さを許容する謙虚さ」を持つ。成功する経営者は、「いい加減なタイプ」が意外と多い。
・ 「私の成功」ではなく「私たちの成功」を考える。
・ 「経営者の一歩より社員の半歩」社員が1歩踏み出すために輝ける未来を予感させるような提案をし続けるのが経営者の務めである。
・ 「人格に勝る能力なし」→「この人の為なら一生懸命やってやろう」と周りの人たちに思わしめる能力が経営者には必要。
・ 「人間共感力」を高められるかが勝負。心の底から感謝することができるか。できないのならもっと寄り添うなければならない。
・「指示と命令」ではなく「感謝とお願い」いつも現場の人たちを最大限にリスペクトする。人は信じて頼まれれば、自ら考え動いてくれる。
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色川武大などの麻雀哲学で成功した方の作品
ほぼ内容が色川武大の………ではあるがそれをより具体的にかつ実践的に描いただけで価値がある
麻雀は実は人生ゲームだったのか!?!?
俗に言う成功者には麻雀プレイヤーの人が多い
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34期連続増収増益(2023年6月期現在)のドン・キホーテ創業者 安田隆夫さんの生い立ち
、創業~現在に至るまで、経営スタイル、業績絶好調のワケ、人との関わり方などが「運」と関連付けて書かれている。(「最強の遺言」とのこと!)
巻末付録に「経営理念」や「マネジメントの鉄則九箇条 上司編・部下編(上司・部下それぞれの立場からそれぞれに対する行動規範のようなもの)」やリーダーの心得などが記載されており、よくありがちな単なるスローガン的なものでなくて、どう考えるのか・どう行動するのか・どう他者と接するのかが具体的に書かれていたのが興味深い。
著者は人生経験に裏打ちされた自信を持ち、相手のことを考えている人情味とユーモアのある方なんだなという印象。そでの著者写真が素敵です。そして本そのものが安い(笑)720円+税。さすが驚安の殿堂。
「運」とは何か?どうすれば良くなるのか?逆に悪い時はどうしたらよいか?が掴めたと思う。また、「いいな」と共感できるキーワードも多かった。
・運の感受性
・集団運
・主語の転換(相手の立場になって考え、行動する)=顧客最優先主義=従業員に権限委譲
・「私の成功」ではなく、「私たちの成功」を目指す。
・仕事をゲームとして楽しめ
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盛運を得ることを知りたくて読書。
ドン・キホーテの創業者は、今までまったく聞いたことなかった。冒頭で紹介している通りメディア等に出ることがなかったようで、本書を遺言を位置づけている。
著者の経営理念、哲学、考え方を幼少期からの体験談とドン・キホーテ1号店から2兆円グループへの成長の過程に織り交ぜながら説明して展開する。
「個運」を「集団運」に転化させるためには、経営者の情熱の渦に従業員を巻き込まなければならない。(P181)
運の三大条件-「攻め」と「挑戦」と「楽観主義」(P73)
興味深く読んだのは、
運を落とすので避けるべき人として、他罰的な思考の人、曖昧さ、グレーを嫌う人、虚勢を張り、虚栄心が大きな人、嫉妬する人らと距離の置く達人となることが大切。
白黒はっきりさせる独裁は運を落とし、衰退へ向かう。グレーで曖昧さを生むから民主主義はベターな制度という主張は新鮮な視点。
嫉妬の対象にならないこと。無駄な敵を作らないように周りへ配慮して気をつけること。利己ではなく利他を常に心がけること。
本書で最も印象に残り、今の自分に必要だと感じたのは、主語を変えること。メタ認知+主語の転換。意味にすることは、相手の立場、気持ちになって考える習慣。
私ではなく、私たちで語り、他人の利益、目標達成を自分の目標に据えること。それでも他人は変えることができないことを認識しておくべきとも語る。
妬み嫉妬が占める割合を縮小させ続けることで、不運な時間を最小限にする。これも運をコントロールし、盛運を呼び込むことにつながる。
自己客観視を高めて、ビジネスや制度・仕組み、人間関係などの適切なロスカット(損切り)も重要だと再認識。
読書時間:約1時間
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個人と組織(事業)の成長を実現するには、どのような態度であれば運が増すのか。逆に運を下げる行動とは何か具体的に語られる。
多くのチャレンジをすることで、チャンスを掴む機会を増やし、チャンスが来たときには得られる果実を完全に収穫するように行動する。それによって本当に強い勝負師として強運に恵まれる。
最も良くないのは目の前にチャンスがありながら、それを掴みに行こうとしないことである。チャンスの時に対応しない人は、ピンチの時に適確な対応をしない人よりも運に恵まれないとの指摘
集団運という発想が斬新 この集団運を下げるタイプの人のタイプが語られる。他罰的なひと、口で戦略を語るのみで行動しないヒト
つまりは主語の転換ができ、自分ごとに出来る人が運を招く人たりうるという着眼点も秀逸
Posted by ブクログ
ヤル気と気づきをいただけたイイ自叙伝でした。
運は皆さん平等数あるが、それを自分で引き込む(使い切れる)ことが出来るか、見逃してしまうかの違いで人生に大きな差が出る。
当たり前の事柄を安田社長さんなりの言葉で書かれており、よく理解できた。
人生は挑戦なり、当たり前だか一歩先に出る事に躊躇する。しかしトライしなきゃ、運も捕まえる事ができない。
顧客目線に、なり変わり問題を考える。
個運、集団運、集団組織運、倍 倍の強さの組織に変身してイイですねぇ、、。
私の問題は、権限委譲ですね。仕事に関しては、我が我がでは難しいですね、、、それが悩みです。
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飛ぶ鳥落とす勢いのドン・キホーテ。本人も書いている通り、あまりメディアに出ない方なので、創業者である著者の考えを知ることができたのは非常に大きな収穫であった。仰っていることはシンプルだが、実績と熱い語り口が非常に説得力がある。経営者だけでなく、多くの方に参考になる内容であると思う。
Posted by ブクログ
ドン・キホーテを2兆円企業に成長させた創業社長が、その苦悩の実体験から辿り着き、導き出した真理(成功哲学)を最後の遺言として伝授してくれる1冊。中長期的な運は本人の意思と努力でコントロール可能である(自らの行動によって機能する変数のようなもの)と言う前提に立ち、運の感受性を研ぎ澄まし、主語の転換を駆使し、個運を集団運に転化させる。頭で理解しても(できても)、本気で実行できるかが肝。
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読み始めは、同じ内容の繰り返し、もしくは言い換えのようで、浅さを感じる。けど、迫力はすごい。自信もすごい。そりゃ、創業者だからね。自慢話でもあるが、自己PR臭はそれほどしない。だから自慢話感でうんざりしない。内容は自慢話ではあるのだが、これが不思議。前半と後半でえらく違う。前半はもっと要点絞って同じことは端折ってしまえば、最高だった。
Posted by ブクログ
運を使い切れる人
ボトルネックを考える
運は自らの行動によって変わる
運の感受性は人間関係 ピンチとチャンスの原因
運を実在するものとして感じる
幸運の最大化と不運の最小化
⭐️負けよりも勝ちに敏感になる圧勝 損失回避バイアスに負けない
損切りのシナリオ
運は攻めと楽観主義
守備7割 守りを固めるから思い切って攻められる
熟慮断行ではなく断行熟慮
⭐️徹底的な主語の転換 ➕ メタ認知
二項動態 orではなくand
⭐️権限委譲による集団運 自分でなくてもできる!
勝ちの未来を示す 集団運の醸成
Posted by ブクログ
・得られる果実を完全に収穫できなかったことを、地団駄踏んで悔しがれる人が、本当に強い勝負師として強運に恵まれる
・リスクをとらないのが一番のリスク
・果敢な挑戦の手を緩めず、かつ現実を直視した速やかな撤退を恐れない
・我欲と自我を消さないと人は寄って来ない
・主語の転換(顧客視点)とメタ認知(俯瞰視点)
・集団運の最大のカギは権限委譲
・複雑な事象の本質を見抜いて単純化し、その上で色んな人を巻き込み、理解から納得に落とし込んでその気にさせる。また、問題解決に向けての方法論を同時複合的に草案し、かつそれらを適時、変化対応して応用することのできる能力
・自分のことだけを考えてはいけない。エゴを捨てた瞬間に圧勝は加速する
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タイミーの小川社長が自身のバイブルとして紹介していたことをきっかけに購入。
久しぶりに経営者の自伝的なものを呼んだがやはり面白く、もう少しの読みごたえがあれば星5つけてた。本書の内容を科学的な証明はできないと前置きしながらも、自身の人生をかけて証明しているので胡散臭さが一切ない。
「なぜPPIHはミラクルを起こすことができたのか。十分条件は何かと考えると【運】というほかないのである。運のいい人とは【運を使いきれる人】であり、運の悪い人は【運を使いきれない人】あるいは【運を使いこなせない人】だと言えよう。」
「運の感受性には単なる頭の良さや勤勉さなどは関係がない。体験論的に言えば、運はつかむものでも支配するものでもない。自らが受け皿となり、寄り添うべきものだ。」
「人生は勝率ではなく得点と失点の差で勝利が決まる。どこまでも店の総量を競い合う。したがって何回失敗したかということは全く気にする必要がない。小さな失敗がずっと続いていたとしてもたった一回で良いから大きな成功を収めれば最終的に勝つことができる。圧倒的な【大勝ち】さえあればそれまでのマイナスはすべてチャラになるのだ。ところが実際大勝を目指すのはなかなか難しい。人は得てして【負け】には敏感だが【勝ち】には意外なくらい鈍感だからである。行動経済学で言う【損失回避バイアス】というやつだ。人間は利得と損失を比較する際、損失のほうをより重大だと感じやすく、損失を回避しようとする傾向がある。
これではだめだ。チャンスなのにほどほどにこなし、腹八分目で満足してしまうのは結果的に運を下げる要因となる。【得られる果実を完全に収穫できなかったことを、地団駄踏んで悔しがれる人が、本当に強い勝負師として強運に恵まれるのだ】」
ここはかなり勉強になった。運のよい瞬間と運の悪い瞬間の回数はほとんど同じだけある。人生は勝率の勝負ではないから運の悪い時の利益を最大化して、運の悪い時の損失を最低限で納める。それが大切。
ノーアウト満塁のチャンスは10点取りに行き、ノーアウト満塁のピンチは何とか2失点で切り抜ける。その気持ちが大切。
営業で言うと去年、5位を取った時に1位を本当に目指せていたかを自問自答すると自分の弱みはそこにあると思う。損切が得意な人生な分、勝つときに大きく勝たないと勝率も生涯収支もマイナスになるよ。
Posted by ブクログ
マネジメントの本質を実践し、その効果と実証されて躍進した会社のエネルギー源を学べる本。人の主体性を殺さないための社訓は必見。人が幸せになれる会社。
Posted by ブクログ
運とは人生の結果そのもの。運をどうやってコントロールするか。
仮説と検証の繰り返し、その前提には運という概念がある。はらわたの底から考える=真剣に全身全霊で考える。
運は、意志と努力である程度はコントロール可能なもの。
長期的な運と短期的なツキは全く別物。
運は再現性がないため、科学的証明はできない。しかし存在は確信できる。
運は感受性が高い人でないと、見極められない。運と不運は平等に現れる。なにかやってやろう、とアンテナを貼っていないと、感知できない。悲観論者には運はやってこない。リスクを取らなければ成功はない=挑戦者でなければ、運はやってこない(感知できない)。
長期的には、運は大数の法則に従う。チャレンジが多くなければ、成功はない。
運は、だれにでも平等に訪れる。運を使い切れた人が運のいい人。
幸運を最大化し、不運を最小化する。守りのときと攻めのときを見極める。1度か2度の大勝ちがあればいい。人生は総得点差の勝負。攻めのときに大勝ちして、不運のときの負けを少なくする。
人は一般に負けに敏感。勝ちには鈍感。不運のときに悪あがきしない。反省して備える。損切りと同じ。
成功のシナリオは書かない。失敗のシナリオを書く。どこまでいったら失敗か、を決めておく。再挑戦するため。
再挑戦の繰り返しが、運を引き寄せることになる。
グリッドは使い方を間違えると不幸を招く。真面目に努力して結果を掴んできた経験があると、グリッド路線にこだわりやすい。
p72
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ドン・キホーテの創業者、安田氏の本。イトーヨーカドーの大量閉店が話題になっている中、小売業界で例外的に絶好調な存在のドンキ。海外にも進出を重ね、特にアジアでは行列が出来るほどの人気ぶりとなっている。
その秘密として、「圧倒陳列」や「POP洪水」といった店舗のディスプレイに関して語られている。POPについては、社内でも「ディスプレの達人(D達)コンテスト」を行い優秀者を表彰しているという。しかし、こうした部分だけをみて真似をしても他が同じような結果を出せるかといえばそうではないはずであうる。本書で学ぶべきはそこではなく、経営者としての著者の考え方や生き方である。
タイトルにあるように、著者はその成功は「運」によるものが大きいと述べている。謙遜もあるだろうが、人生の中で運を引き寄せる言動、運を落とす言動があるという。周りの経営者でダメになっていく人達は、皆運を落とすような事をしているのだと。
権限委譲についてもページを大きく割いている。社員を信じてとことんやらせてみる。そうするとそれぞれが自分で
考えるようになり、組織の力も強くなると。社員が「期待されているからきちんと応えよう」、「面白そうだからやってみよう」と社員のやる気を引き出すことで「集団運」が養われるという。
一方で、運を落とす行為として、「戦わない」ことも挙げている。その中でやり玉に挙げられていたのが、日本の大企業の多くにあるサラリーマン社長であり、彼らは引退まで何事も無く過ごすことを目的として経営をしていることに対して手厳しい指摘をしている。類まれな実績を挙げている経営者だけに説得力は大いにある。また、同様に日本の経営者によくみられる独裁についても極めて否定的である。マキャベリを引用しているが、その当時は側近ですら信用できない時代には最適な手法だったであろうが、現代においてはそうではないと。君主論をどう考えるかにおいてはとても参考になった。
店舗運営が強みであるドンキであるが、他店舗展開するにあたってそれをどの様に拡張させるか悩んだ時期があったという。店舗の強みを維持するのか、拡張を取るのかの二者択一で考えていたのだが、店舗が強からこそ拡張性があるのだと気づいたという。著書でも何度も出てきている「主語の転換」である。また、二者択一ではなく「ANDの発想」である。
戦後、日本の小売を牽引したダイエーが消滅し、ヨーカドーが失速している。これらの企業が構築したのは、チェーンストア運営という手法であるが、ドン・キホーテはこれらから完全に距離を置き、個店主義という独自路線を貫いている。今後もグローバル企業として成長を続け、早晩、スーパー業界において日本一の小売企業となるのであろう。
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「運」の存在と、それを掴むために必要な行動について、筆者の人生と創業経験をベースとして書かれた本。ドン・キホーテの躍進を見ると、「運」の存在を実感して、「運」を高めるための行動(挑戦する、相手の立場に立って考える等)を続けることの大切さについても強く感じさせられる。
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自身の苦労と成功を生々しく振り返る1冊は、僕の「運」に対する印象を変えるのに十分すぎる内容でした。「運」の正体をつかんだ気がします。
◾️この本に書いてあること。
運の総量に大差はない。あるのはその運を「使い切れる人」と「使いきれない人」がいるだけだ。両者の違いは運に対する感受性の違い。その感受性は頭の良さなどではなく、「人間対人間」の問題に帰結する。感受性を発揮して、幸運が巡ってきているときにはその運を最大化する努力を、不運が巡ってきたらひたすら耐えて守りに徹する。
運を落とすのは嫉妬。相手の失敗を望む気持ちである。嫉妬されないようにするには、成功した時こそ謙虚に、目先の利益よりも信用をとる。
個人の運(個運)を集団運に転化させるコツは、「私の成功」ではなく「私たちの成功」を目指すこと。
そのためには現場の人たちに対し、最大限のリスペクトと心からの感謝をすること。
すると「指示と命令」ではなく「感謝とお願い」による権限委譲が可能となる。権限委譲の反対語は独裁であり、部下から全ての権限を奪い彼らの創意工夫をする力を失わせる。
◾️どう読んだのか。
まず驚いたのは、運はコントロールできるということ。もちろん不慮の事故など、コントロールの外で起きる不運はどうしても起きる。
ただ、基本的に運は気づくか気づかないか、掴むか掴まないかの問題であり、生まれつき運がいい人・悪い人に分かれているわけではないと知り、何とも言えない安堵感を抱いた。
僕はまだ全然運を使い切っていない。
幸運があれば不運の波も必ずやってくる。その時はただ耐える。もがけば不運の海で溺れてしまうだろう。
運が全てアンコントローラブルなものだとしたら、不運が訪れたときに人生を絶望視してしまうが、幸運も不運も必ずやってくると知っていれば、不運がきたときにも、気持ちを丈夫に保っていられそうだ。
運を落とすのも、つかむのも、それを集団運にまで転化させるのも、すべて“あり方”による。
私利私欲をもち、自分だけが勝とうとすれば、運は逃げていく。
反対に、信用を蓄えることを重視し、謙虚な気持ちで運をつかえば、利益や成果はあとからついてくる。
運が良い・悪いは、結局じぶんの生き方が決めるのだろう。
現場の人たちへの最大限のリスペクトと、心からの感謝は、持ち合わせている自信がある。
今よりもっともっと信じ、もっともっと任せられるようになれば、大きな集団運に転化できるだろう。
◾️どう活かすか。
運をつかむ魔法の方法は存在しない。
謙虚に誠実に、悲観せず、他人の成功をもよろこべる人が幸運を掴める。
だから、運はテクニックではなく、生き方だ。
不運に耐え、幸運に感謝し活かしきる。そして幸運で得た利益を独り占めせず、分かち合うことにより、より大きな集団運へと昇華する。
このことは、自分自身の行動指針として忘れずに大事に持ち合わせておこう思う。
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2024年61冊目。満足度★★★★☆
小売大手ドン・キホーテ創業者の半生記的な内容で、その成功法則をまとめたもの
個人の人生、会社運営や、投資においても役立つ内容と思料
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タイトルからして精神論全開の内容かなと思いきや、統計学や行動経済学まで織り込んでおり例えばお天道様に挨拶するとか風水的なものとか非科学的な事は一切書かれてなかった。
前作の刷り直しと思しき部分も多々あったが何某かを成功させたい輩は必ず一読するべき本だと思う。
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わかりやすくてタメになるビジネス書。確かに運がテーマになっているが、特に後半にかけてはビジネスの心得について書かれている印象。麻雀を打つ人にとってはわかりやすい運の考え方と思う。
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運を使うも使わないも自分次第
当たり前だけどできていないことをする
昔の報道によって勝手に悪い方の剛腕なイメージを持っていました
ある意味強い印象は変わらないどころかより強くなりましたが、そこには増収増益を続けるだけどお人柄があることも知りました
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運 ドン・キホーテ創業者「最強の遺言」
著者:安田隆夫
**あらすじ**
無一文から2兆円企業・ドン・キホーテを築き上げた創業者・安田隆夫氏が、自らの半生とビジネス成功の裏にある「運」について語る一冊。三十四期連続で増収増益を達成した企業経営の軌跡を通じて、「運」は偶然ではなく意図的に引き寄せるものだと説く。「攻める、挑戦する、楽観的である」姿勢こそが運を呼び込み、大きな成功へとつながる鍵であるとする著者が、人生とビジネスに効く「勝利の法則」を惜しみなく伝授する。
**感想**
創業経営者の本はこれまでも何冊か読んできましたが、本書の著者・安田氏はメディア露出が少ないこともあり、その言葉に一層の重みを感じました。「何を言うかより、誰が言うか」が重要だということを改めて実感します。実際にドン・キホーテという巨大企業をゼロから築き上げた人物の言葉には、単なる理論や精神論ではない「実行の裏付け」があり、説得力があります。
「攻める、挑戦する、楽観的である」ことが運を引き寄せる——このシンプルなメッセージも、安田氏が行動で示してきたからこそ心に響きます。そして個人の運だけでは限界があり、人を巻き込み「集団としての運の強さ」が成功の要因になるという考え方にも深く納得させられました。言葉としては理解できても、実際に行動することの難しさがあるからこそ、こうした創業者たちの胆力や行動力には魅了されます。
読み終えたあと、「運」は与えられるものではなく、姿勢や行動によって自らの手で呼び込むものだというメッセージが強く残りました。このような経営者の言葉に触れることで、自分自身の行動を見つめ直すきっかけにもなる一冊でした。
Posted by ブクログ
ドン・キホーテ創業者安田隆夫
34年連続増収増益中の成功者が運だと言えるのは凄い。
運というテーマで話をまとめているが、常識にとらわれず一生懸命考えて一生懸命努力した結果であって、運ではなく実力。
麻雀で稼いだ資金でディスカウントストア開業し、深夜営業等独自の営業で成功し店舗売却し、卸売業を成功し、ドン・キホーテ開業。
努力し、考え運を手繰り寄せる。
ドン・キホーテは、圧縮陳列が面白がられたり、深夜営業等小売の常識とされる、見やすく取りやすくの逆で、良く、逆張りで成功したと言われるが、求められていることに答えただけ。
指示と命令ではなく、感謝とお願いによって、会社愛が生まれる
従業員の幸せ
自分が儲けたいとの思いを捨てない限り顧客最優先にならず、成功しない
部下は育成されたいと思っていない。信頼されたいと思っている。
褒めるとは、相手が密かに誇りを持っていふ事を見つけ、認める事である。
Posted by ブクログ
見切り千両、再挑戦万両
ここまで述べてきたロスカットルール、失敗の定義やシナリオなどは全て、「再挑戦」のためにあるということを強調したい。
新たな業態開発は、十の挑戦、いや百の挑戦で一つか二つ当たればいいほうである。大切なのは、傷を大きくしないうちの見極めと見限りだ。早期撤退を断行するからこそ、次の挑戦が可能になる。当社の過去には、そんな業態開発の失敗例が、数えきれないほど転がっている。
再挑戦を繰り返すことが、運を引き寄せ、大輪の成功の花を咲かせる唯一の道である。見切りには千両の価値があるが、再挑戦には、その十倍となる万両の価値があるのだ。
不可欠な「時間のテスト」とは?
一方で、「時間のテスト」という方法がある。すなわち、ある一定期間をかけながら、じっくりと人の真麗を見極める方法だ。結局、これに勝る評価・判断法はない。
ファーストインプレッション(第一印象)で、どんなに素晴らしい人間、どんなに魅力のある人物だと思っても、いやそうであればあるほど、過大な評価をしたり信用しすぎたりするのは禁物と心がけるべきである。
ちなみに、「時間のテスト」の期間は、短くても三~四カ月、長くて一年といったところだろうか(もちろん接触の密度と頻度、関係性によって異なってくる)。
見えにくく、取りにくく、買いにくい
ともあれ、商品をぎゅうぎゅうに押し込んだ圧縮陳列が「こりゃなんだ」と面白がられる、たまたま夜中まで営業してみたら喜ばれる・・・・・・そうした発見の連続が、横並びの小売業から一歩抜け出す切り札となった。
「泥棒市場」は、流通業における常識から考えると、“禁じ手のデパート”のような店だった。流通の教科書には「見やすく、取りやすく、買いやすく」が小売業の鉄則だと書いてあるが、私の店は真逆だった。「見えにくく、取りにくく、買いにくい」のである。
にもかかわらず、「泥棒市場」は大繁盛店となった。それはなぜなのかと言えば、一貫してお客様の立場になって考える姿勢を崩さなかったからだ。
小売業の世界では、世間一般の常識や理屈、既成のルールは全く無力で、むしろ有害な場合さえ多い。求められるのは、瞬時に相手の心の動きや欲求をキャッチする鋭敏な感性だけである。こうしたことを、私は「泥棒市場」の経験で学んだ。
圧縮陳列や深夜営業といった戦略について、よく「逆張り経営」で成功したと言われる。しかし、私はあくまで「順張り」をしてきたつもりだ。愚直に「主語の転換」をしているだけなのだが、それが他の人には「逆張り」をしているように見えたのだろう。
曖昧さを許容する謙虚さとは?
脳科学者の中野信子さんは、著書『脳の闇』の中で、「曖昧さを良しとするのが脳科学的にもいい」と喝破され、「曖昧さを許容する謙虚さがなければ、脳は間違える」というようなことを書いておられる。私は思わず膝を叩いた。曖昧味さを許容する謙虚さというのは、なんと言い得て妙な表現ではないかと。
最後に、「曖昧さを許容する謙虚さ」の重要性について述べておきたい。
基本的に人は曖昧な状態を嫌う。嫌わぬまでも、「居心地悪い」と感じるのが常だろう。分かりやすく明快な答えを出した方が、すっきりと気持ちがいいに決まっている。そういう意味で、「解」を求めるというのは、ある種の快楽に身を委ねる行為とも言えよう。しかし、安易に導き出した「解」は、必ずしも正解とは限らない。むしろ、そうではない場合のほうが、現実には圧倒的に多い。
逆説的に言えば、そうした快楽に身を委ねずに、難問に対して謙虚に模索しながら、ボトルネックから抜け出そうと真摯に格闘する姿勢そのものにこそ解がある。
「後始末」ではなく「前始末」
さて、「仮説は必ず間違える」ということの応用編とも言えるのが、第五章でも出てきた「前始末」である。この前始末というのは、すぐれたリスク管理の概念だ。後始末、すなわち「後で始末に困る」ような間違いは、じつは前始末で未然に防げることがほとんどである。これもあなたに幸運をもたらす秘伝のロジックとなるはずだ。
私の経験則から言えば、業務を進めていて後で不都合な状態に陥るような場合は、必ず事前に何らかの兆候を発しているものである。そのシグナルを見逃さず、きちんと前始末さえしておけば、後で大騒ぎをする必要はない。
「教える」ではなく「自分でやらせる」
一体どうすれば従業員たちに私の考えが伝わるのだろう?例のごとく、私は悶々ともがき苦しんで考えた。当時のドン・キホーテには、オーナーの意を汲んで動く“できる社員”など一人もいなかった。こちらから指示したり、懇切丁寧に教えなければ、従業員は動かない。でも、どれだけ教えても、私にできることが彼らには出来ない・・・・・・。
「もうダメだ、やめよう」と、絶望的な気持ちになったことも一度や二度ではない。店の売却話に心を動かされたこともある。
しかし、私は最後に踏みとどまった。悩みに悩んだ末、開き直ったのだ。あれだけ教えてもダメなのだから、そもそも教えるという行為自体が無意味だと結論づけたのである。そして、「これでダメならきっぱり諦めよう」と腹をくくり、「教える」のではなく、それと正反対のことをした。「自分でやらせた」のである。
それも一部ではなく、全部任せた。従業員ごとに担当売り場を決め、仕入れから陳列、値付け、販売まで全て「好きにやれ」と、思い切りよく丸投げした。しかも担当者全員に、それぞれ専用の預金通帳を持たせて商売させるという徹底ぶりである。これこそが後年、ドンキ最大のサクセス要因となる「権限委譲」の始まりだった。
もっとも、当時の経営常識からすれば、そうした「変化対応」は、要は現場に任せっぱなし、やらせっぱなしの、いわば経営権の放棄状態にも等しいとられ方をしていた。
「それでもいいや」と私は腹をくくった。もちろん、さすがにその間、追い詰められて逡巡に逡巡を重ねはしたものの、最後には結局、「えいや」とばかりに経営権という主権も思いきり現場に移したのである。
ビジネスは二者択一ではなく、常に「こちらも立て、あちらも立てる」という「AND」の発想をしないと成功しない。例えば、異なる調味料を混ぜると味に深みが増すように、料理の世界では「AND」が当たり前だ。経営も同じではないだろうか。実際に実行するのは難しいが、「AND」こそ成功の要諦なのである。
仕事をゲームに蹴るための四大条件
①明確な勝敗(勝ち負けがはっきりしないゲームはゲームではない)
②タイムリミット(一定の時間内に終わらなければゲームにはならない)
③最小限のルール(ルールが多くて複雑なゲームは分かりにくくて面白くない)
④大幅な自由裁量権(周りから口を出されるゲームほど、やる気が失せるものはない)
こうしたルールを明確にしておかなければ、「仕事はワークでなくゲーム」と言っても、単なる掛け声やスローガンに終わってしまう。何の決め事もなく、精神論的に「ゲームを楽しむようにして働け」と押しつけるだけでは、どこかのブラック企業と変わらない。
権限委譲をする中で、自発的に仕事がゲーム化し、皆で切磋琢磨するようになる。これが当社のDNAだ。どんなビジネス・経営書を読んでも、もちろんMBAの資格を取っても、決して会得できない独自の"お家芸”だと自負している。