あらすじ
死んだはずの親友・朝日からかかってきた一本の電話。時子はずっと会いたかった彼女からの連絡に喜ぶが、「住所ない」と話す朝日が家に住み着き――。デビュー作にして第171回芥川賞候補作。
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Posted by ブクログ
Twitterで誰かがおすすめして読んだ気がする
他の人のレビューを見ていると、米津玄師がお勧めしていたということで…なんかそれはめっちゃ納得 米津玄師ならこの本をまた見事楽曲化してくれたりするんだろうか笑
事情があり1時間で読み切らないと行けなくてウオオオっと読んだけど結果としてこの読み方が正解だった気がしている
詩的で抽象的な表現をいちいち振り返っていたら、進めなくなりそうだ
自分も高校の一番の親友だと思っていた友達と30歳目前にして、ケンカからの何やってもお互い傷つけあうことしかできない、みたいな状態になっちゃってるので なんか色々と刺さった
私もlineの履歴をずーっと残してるので、振り返ろうと思ったら親友との会話が高校生まで振り返れる(親友の方はスマホを一回壊していたのでデータは消えてる)なのでなんか主人公の気持ちがうっすらとわかった 高校生の会話ってスッカスカよなww
誰なのだこの女 と思うときと
でも多感で死にそうな時代を一緒に支え合っていたのはこの子なんだからやり直せないかという気持ちとがせめぎ合う
本当にずっとずっと仲がいいと思っていたのにな
ほどほどに仲良かった友達との方が細く長く続く気がする
黄金期みたいなものがあるとその記憶が眩しすぎて、口では親友と言っていても、もう前ほどは分かり合えなくなってしまった現状が際立つ
前ならこう返してくれたのになとかどうしても思ってしまう
幼馴染と大人になってもずっと仲良し!みたいな人たちって他にもいっぱい友達がいるのか、いい感じにアップデートできてるのか、どうやってるんだろう
まあそれでも親友とはいえ実家に住まれるのは冷静に考えて怖いけどwww
何をどう計画すればこのような文章が一冊の本になる長さまで膨らせられるのか すごいなと思った
Posted by ブクログ
上質な「ホラー映画」を見終わったかのような読後感のある小説だった。
さまざまなレビューを見てみてもそんな感想はまったく見当たらず、自分自身に残された感覚を問い返してみたけれど、やっぱりそれは「ホラー」作品を観たあとの何かなのであり、「恐怖」という感情であることは間違いがない。
もっともホラー的だとかんじたのは、「死んだ」と思われていた友人・朝日が、後半に行くに連れ不気味さを増していくところだ。
「死んだ」と思われた友人が現れたばかりで、彼女の正体が幽霊かもしれないと思われる頃の不安定なかんじは、「幽霊でない」という確信が生まれてきたあとに、ハッキリとした不気味さに変化する。
自分自身の記憶のかなたにあり、忘れられない記憶の一部として、たしかに自身自身のアイデンティティの一部であった誰かが、突然、「他者」として現れる不気味さ。
それは(ホラー映画で描かれてきたような)身近な人たちが突然何ものかにとり憑かれ変貌する恐怖をはるかにしのぐものだ。
ほかならぬ自分自身の一部であり、だからこそ離れることすらできないその一部が、決定的に理解不可能なものとして、自身に反旗を翻してきたとき、わたしにいったい何ができるというのか。
本作品では、自分自身の一部でありながら理解不可能な他者でもある何者かに対峙してしまったときに生じる嵐のように反転しまる感情の渦を、非常なる観察眼でまなざし、できるだけ正確に記述している。
本書の詩人としての観察眼、その言葉との対峙の仕方がこのようなかたちで、「小説」として結実したことが、この作品全体の奇跡を生み出している。
Posted by ブクログ
米津玄師さんが2度もおすすめしていた本
タイトル通りの内容がめちゃくちゃ良かった
いなくならないでほしいのか、いなくなってほしいのか、あんなに希求していたのに忌避してしまう自分でもよくわからない感情を言語化してくれてる感じ
終わり方も個人的にはすごく好きだった
主人公の家族の絶妙な不穏さも良き
他の作品も読んでみたい
Posted by ブクログ
17歳の時に自殺をしたという親友。社会人になった時子に再び電話がかかってくる所から始まる。かつて、助けられなかったという自負から朝日を壊れ物のように扱う時子。大好きな親友で、死んだと思っていたから尚更大切にしたい。試供品のチョコレートを多めに持って帰ったり、洋服や、タブレットを貸してあげたり、まさに友達以上恋人未満のような関係。ある時までは。朝日が時子の実家に住み始め、自分より両親とサークルの仲間と上手く行ってる様子を見る度にモヤモヤが溜まり、憎らしく思ってくる。バイトもすぐに辞め、家でダラダラと過ごす朝日を、毎日仕事で疲れて帰ってきた時子が見たら、イライラするのも当たり前だと思う。住まわせてもらっている立場なのに、寄生虫のようになってきて、仲の良い人を憎らしいと感じるのは普通の感情で、女子だと尚更だと思う。ずっと同じ距離で同じ感情でいるのは難しく、愛おしく思っていても、ふとした瞬間に妬み嫉みに変わってくる。好きなのに憎らしい、いなくなって欲しい、好きだから居なくならないで欲しい、相反する感情で揺れ動き、どうしようも出来ない時子。朝日が心の拠り所でありながら、自身を削り、壊す存在であると認識する。共存というより、依存のような、大切に想いすぎて、超えてはいけない線を越えてしまったような感じがする。他人なのにずっと家に住まわせて、自分の子供より大切に扱ったり、自立と言いながら、出ていき、妊娠して帰ってきた姉のことを責めたり、両親に全く理解できなかった。私も人とすぐに打ち解けられるが、友達になってしまうと飽きられるのも早い。他人に期待をしてはいけないと言うけれど、それはあまりにも悲しく、寂しいことだと思っていた。しかし、自分と同じように相手が大切に思ってくれているかなんて、その人の心の内なんて絶対に分からない。誰を信じれば、友達の定義は?など考えさせられることが多かった。今年の私の目標は、他人に期待せずにいきること。自分軸を持つこと。
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時子→朝日への煮え切らない心理描写がタイトルとリンクしてるところは好き。ただ全て時子目線で語られるために、他の登場人物の芯には絶対に届かない、わからないところにもやもやした。
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大好きな人との再会は、時を経て思いに馳せた期間が長いほど、なんか違うなと思ってしまうのかと思います。
美化した過去と現在での食い違いが、まるで他人のように感じられて、でも大切で大好きな人なのにと、と揺れ動く心に矛盾を感じて。
今も過去も無いはずなのに、朝日を比べてしまう。
みんな朝日を何かに当てはめて、今の朝日には向き合えてなかった、だから最後はとても良かった。
Posted by ブクログ
答えのでない問題をずっと考え続けているような物語だった。
人間は不完全だから、感情があっちこっち行ったり来たりして好きだから嫌いのように相反する気持ちが両立するのを再認識した。
あの時のあの人に会いたい、自分が作り出した過去や傷は深くうつくしいものであってほしいという時子の気持ちはよく分かった。
朝日はそんな崇高なものではなく、もちろんどこまでもただの人間で、そして自分の軸がないから他人の思い描く役を投影されてしまいがちなんだろうなと思った。
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顔顰めながら読んだ 曇りがかる心情と、現実と非現実がどろっと混ざる描写に心臓を素手でさわられてる感じがした シスターフッドの文脈で新しい家族のありかたにアプローチできたら明るくてエンパワリングなストーリーになってただろうけど、ふたりはこの世界にあるどんなかたちにも当てはまれなかったから、剥き出しでぶつかり合ったら壊れてしまうよ
Posted by ブクログ
時子と朝日の関係がしんどくて、最後まで読んだら報われるのかなとか思って読んでたけど全然報われなくて、むしろ悪い方向に進んで行って、汗をかくタイプの悪夢みたいに長く感じた。文章が個性的で、理解するのに時間がかかるから同じとこを何度も読むことになり、その文読み応えがあった。
Posted by ブクログ
タイトルに"?"となって読み始めた本。
17歳の時に、突然親友が姿を消してしまったら、自分だったらどう思うのだろうと考えた。
時子にとって唯一無二の存在だった朝日。
時子は、初めは朝日が再びいなくならないように懸命に自分のもとに繋ごうとしていたけれど、就職を機に実家で朝日も暮らすようになってから、少しずつ二人の間に亀裂が走ったように思えた。
だんだん朝日を鬱陶しく思うようになり、かと思えば朝日が自分を慕う様子にたまらない嬉しさを感じたり。時子が朝日に振り回される様子が伝わった。
時子が、"私が会いたいのは17歳の朝日なのか、今の朝日なのか"と考えるシーンがあって、時子が大好きだった17歳の朝日はもういないのかな、それは時子にとっては苦しいことだなと思った。
印象的だったシーンは、朝日が時子に"胸を触って"と言ったシーンと、終盤のとっくみあいのシーン
。特に、終盤のシーンは、鮮烈で、過激で、今にも互いを殺さんばかりの二人の息遣いまでリアルに想像できる描写で鳥肌が立った。
結局、タイトルの意味はなんだったのか。
いなくなくなら→いなくならないのなら
死なないのならという意味?
なくならないで→ずっとありつづけて
17歳のままで居続けてという意味?
親友の変化を受け入れられない苦しさが作品のテーマになっているのかなと感じた。
Posted by ブクログ
4.0/5.0
タイトル通り、主人公時子の、朝日に対する一口には表現出来ない微妙で細かく揺れ動く心情の変化が繊細に描かれている。
中盤の若干レズっぽいシーンは必要だったのかな?と思った。
Posted by ブクログ
題名が魅力的。
まさしく「いなくなくならなくならないで」でした。
心理描写が心の深部を見せられるようで、表現がとても奇妙で不気味。恐ろしく感じました。
Posted by ブクログ
タイトルの意味がわからないなと思いながら読んでいたけれど、中盤差し掛かって主人公時子の朝日に対する複雑な思いが描写されるようになってから、凄くスッと入ってきて納得がいった。
自分でも相手に何を求めていて、何を求められているのか、本当に相手が大切なのかすら、もはやお互いによくわからない2人。再会しない方が幸せだったかもしれない。でも再会してしまったからには、替えの効かない存在なんだろうな。
ちょっと共感した部分として、会わなくなった昔の友達と再会したとき、あくまで自分は「あの頃の」相手に会いたかったんだなぁと、別れた後に実感してしまうことがある。凄く申し訳なくて、勝手に相手に負い目を感じてしまう。
Posted by ブクログ
居場所を求める朝日と、
失うことに臆病者な時子。
ただずっと若いと思った。
今の変わってしまった朝日より、
17歳の頃の朝日と会いたいだとか
身勝手なことを言っている主人公に
心底共感してしまう。
死にたい死にたい言いながら
君が居なくなったら死ぬとかを言いながら
いざ居なくなっても死ねない絶望にも。
自分から遠く離れているものに
人間は望み抱きすぎる。
自分との距離に希望を見出して
その遠さに安心している。
実体より幻想の方が遥かに愛しやすい。
それが叶ったら全てがうまくいくと
錯覚してしまう。
違うとわかった時には遅くて
更に失うことを恐れてしまう。
他人との関係は思ったよりは脆いし、
人間は思ったより強いし、しぶとい。
そして経年美化された過去はたちが悪い。
肉片とかビーズクッションが破れる?くだりがなんかよくわからなかった。空想や夢かと思ったら所々現実でびっくりした。
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『ことぱの観察』で向坂くじらさんのファンになったので読んでみました
芥川賞らしい作品だなあというのが第一印象(実際は候補作品でとまり受賞には至らずですが…)
苦しい
作中も苦しく、終わり方もはっきりしない今後もこの状態が続いていくのかな…といった救われない終わり方
実際時子と朝日みたいに、ずっと仲良かったのに距離が近くなりすぎた結果、相手の嫌なところが見えてきたり羨ましく思うところを無視できなくなって、結果的に関係が悪化することってあると思うんだよね
でも、ああ〜…苦しいなあ…
せっかく再会できた2人なのになあ
向坂さんの今年芥川賞候補になってる作品も気になるな〜
Posted by ブクログ
本の雑誌界隈から。なんとなく、ホラーとかSF寄りの始まり方をするんだけど、そこは主題ではないどころか、なんならどちらでもよく、語られるのは居場所の物語。
Posted by ブクログ
心理描写はうまいが、ストーリーは個人的には消化不良で、でなんだったの?となった。かなり登場人物も極端に振っていて、周りにこんな人達いないよな、と共感しずらかった。表題も???のまま、放り出されてる感じ。
Posted by ブクログ
舌を噛みそうなタイトル。
何年も前に死んだはずの友人から電話がかかってきて、一緒に住む。時間が経つにつれて…
主観的で暗く、もやもやとした世界観。
詩の世界を小説にしたよう。
これはなんだか苦そうだな、と思いながらも読んでみたら、想像以上に苦かった。
Posted by ブクログ
このタイトル!どっちやねーん!って言いたくなる。(結局どっち?わからない、、、)
時子の朝日への思いの葛藤
朝日の内実がわからないのでモヤモヤ
Posted by ブクログ
朝日って…概念なの??
確かにきっと誰もが
誰に対しても「好き」や「嫌い」やそれだけに留まらないどれも相反する複雑な気持ちを抱いている。
それを言語化するとこういうことなのかな。
わかるような、わからないような…
モヤモヤが晴れないスッキリしない
イライラするってのとはまたちょっと違うような…だけど…な本でした
Posted by ブクログ
自殺したはずの親友の朝日が現れ、一緒に暮らすようになった時子
自分は大人になろうとしていたのに、自立しない朝日への愛憎入り混じり倒錯的
時子も家族も巻き込まれるほどの朝日の魅力が伝わりきらず
侵食されていくのを不快に思う一方で、昔のように互いのひとりになりたいと思ってしまう時子の心と行動の揺れが切ない
Posted by ブクログ
表紙のイラストもタイトルもよく分からんなぁ…?と思って読みはじめたんだけど、読み終わって本を閉じてもう一度見たらすごくよく分かってドキッとした。 好き。
高校時代に死んだはずの親友、朝日からの突然の電話、4年半ぶりの再会。あの頃はたしかにかけがえのない親友だったのに…
時が過ぎることによって変化していく関係性、相手に抱く複雑な感情が激しく描かれていた。好きなような嫌いなような憎いような居なくなってほしいような居てほしいような居させなくてはいけないような。読んでいてじわじわ苦しい。
朝日は自分の一部だった、大切な存在だったのに、今の朝日は昔の朝日じゃないし今の自分も昔の自分じゃない。みんな歳を取って社会との関わりかたも変わって、二人が親友だったあの頃にはもう戻れないんだよなぁ。
Posted by ブクログ
死んだはずの親友が自分の元に戻り、その人間関係の歪み、息苦しさを描く。
最初は幽霊みたいに「あの時の親友」が戻り、自分の心の穴が埋まっていく様な再会だったはずなのに。時が過ぎるにつれて、その幽霊のような神秘性が失われて、質量を持った人間になるにつれてその関係性も変わっていく。
人間関係って素敵な面もあるけど、苦しい部分も確実にあって…その両面を実感させられる。