【感想・ネタバレ】乱れからくりのレビュー

あらすじ

玩具会社部長の馬割朋浩から、妻・真棹の素行調査を依頼された調査会社社長・宇内舞子は、新米助手の勝敏夫と共に夫妻の乗った車を尾行する。ところが、その車を隕石が直撃するという奇禍で、朋浩は命を落とす。この事件が幕開けを告げたかのように、馬割家で不可解な死が連続し、舞子と敏夫は、幕末期まで遡る一族が抱える謎と、「ねじ屋敷」と呼ばれる同家の庭に造られた、五角形の巨大な迷路に隠された秘密に挑むことになる。絢爛巧緻な犯罪絵巻であり、本格ミステリの醍醐味に満ちた、第31回日本推理作家協会賞受賞作にして、不朽の名作!/解説=阿津川辰海

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Posted by ブクログ

★5では足りないくらい面白かった。
ネタバレ厳禁なので、予備知識なしに読めてよかった。
これから読もうとしている人はレビューは見ない方がいい。
(いきなり犯人明かしちゃってるレビューがあるので)

主人公はボクサーを諦めた若い男の勝敏夫なのだが、働き口の調査会社で行動を共にすることになる元警官の女傑・宇内舞子のキャラが凄い。
物語(と読者)をグイグイ引っ張っているのは舞子だ。

物語の舞台となるのは、からくり玩具を扱う老舗の会社の経営者一族が住んでいる「ねじ屋敷」と呼ばれる屋敷。
不可解な死が続き警察も入り込んでいる中でさらに次々と起こる殺人事件。

殺人は、各人の生活習慣を見越した上で、必ず行われるであろう行動を利用している。
だが、いくら読み進めても犯人らしき人物が見えてこない。
誰が、何のために、連続殺人を行っているのか分からない。

最後に明かされる殺人の犯人とその「からくり」に納得。

愛一郎やヨギガンジーと異なり、おちゃらけ無しの本格ミステリー作品。
見事に読者を騙すストーリー展開と、仕掛けの巧妙さに脱帽。



補足:

からくり玩具に興味がある人は、より面白く読めると思う。

最初にキツツキのオモチャが出てくる。
吸盤のついた足を壁に垂直に張り付けるとキツツキの動きをする。
中に入れてある砂の落下が生み出す力をキツツキの動きに変えたからくりオモチャだ。

メカニカルバンクは、硬貨を乗せると骸骨の手が出てきて掴み、箱の中に入れてしまうやつを持っていたことがある。
本書では「政治家」という、衣装の胸の隙間に硬貨を隠してしまうものが紹介されていて動きを想像してしまった。

本書に登場するもので圧巻は、「ねじ屋敷」に作られた「からくり迷路」だ。
これは文章だけでは理解しにくいので、図で示される。
計算されつくされた壮大な仕掛けが明らかになった時の驚きは半端ではない。

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2024年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

トリックあり、恋愛あり、冒険活劇要素ありの贅沢な傑作。
犯人は冒頭で運悪く死亡するが、その後に起こる殺人はすべて犯人が事前に仕込んでいたからくり殺人だった。
冒頭の事故はなんと隕石が突然降ってくるというギャグみたいな展開。あまりに非現実的すぎて、夢と現実が混ざっているのでは?と少し勘ぐってしまったほど。
文章がかなり上手く、物語の中に自然に伏線を溶け込ませる技巧やホワイダニットが鮮やかであることは連城三紀彦を思い出したし、解説の阿津川辰海も同様のコメントをしている。そして阿津川という名字が泡坂妻夫の本名厚川から取られていることを今さら知る。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

物語を読み終わったとき、あるいは物語の最中にタイトルの意味についてその秀逸さを知って驚くことが多々あるが、本作「乱れからくり」もそういった秀逸さが際立った作品と言えよう。

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2025年03月20日

Posted by ブクログ

ずっと読みたいと思っていた作品、新装版が出たので手に取りました。からくり人形の奥深さ、類を見ないトリック、思いがけない犯人と最後までハラハラしつつ楽しめます。

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2024年07月26日

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