【感想・ネタバレ】歌う船[完全版]のレビュー

あらすじ

この世に生まれ出た彼女の頭脳は申し分ないものだった。ところが身体のほうは、機械の助けなしには生きていけない状態だった。そこで〈中央諸世界〉は彼女を金属の殻の中に封じ込め、宇宙船の保守と操縦に従事するさまざまな装置に適合するよう神経シナプスを調節して、宇宙船の身体を与えた。こうして彼女ヘルヴァは、少女の心とチタン製の身体を持つ優秀なサイボーグ宇宙船となった。彼女は歌いながら、パートナーとともに銀河を思うさま駆けめぐるのだ……旧版の6編に、のちに書かれた短編2編を追加収録した、歴史的名作の新訳完全版!/【目次】船は歌った/船は悼んだ/船は殺した/劇的任務/船は欺いた/船はパートナーを得た/ハネムーン/船は還った/旧版解説=新藤克己/完全版解説=三村美衣

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

生まれつき障害を持って生まれた少女ヘルヴァが、サイボーグとして宇宙船の頭脳になり成長していくSF連作短編集。

少女の成長、機械と人の愛、未知の宇宙への冒険、出会いと別れ。自分の好きな要素が詰まってる素敵な物語だった。特にラストの『船は還った』を読み終えた時、物語終わりとその先に再び広がる宇宙の旅を思って涙が滲んでしまった。
人生って、喪失と克服の繰り返しで進んでく、そういうものだったよねって実感できたし、自分も前向きに頑張ろうと思える。
SFはちょっと…と毛嫌いしがちな人でも、堅苦しい専門用語が並び続けるわけではないので読みやすいと思う。

東京創元社の文庫なので、ページに文字がぎゅっと詰まっていてその上500P近いが、すぐに読んでしまった。

0
2024年10月14日

Posted by ブクログ

なんだかXH-834ヘルヴァを長い旅をしていた感覚です。面白かった。
ヘルヴァは生まれつき身体に異常があり、脳だけを摘出されてサイボーグ船となって女性です。人格をもった機械やサイボーグを扱った作品はたくさんありますが、1961年にこのアイデアを形にしているというところに驚きます。脳だけの存在となるというとどことなく悲壮感を感じますが、本作ではそんな感じは一切ありません。ヘルヴァは自立した一人の人間として、出会いや別れ、任務の遂行などが描かれます。
なかなか稀有なSF作品だと思います。

0
2024年09月29日

Posted by ブクログ

先天性の身体障害のため脳と宇宙船をケーブルで接続され操縦士として生きることになったヘルヴァという少女が主人公の連作短編集。
数十年前に読んだが、未収録だった2篇を加えた「完全版」の登場ということで再読。
ヘルヴァが自分の境遇を嘆くのではなく、明るく前向きに深宇宙の探索(と言うかRPGのお使いイベント的なミッション)に立ち向かっていくハツラツ冒険行かつ成長物語で、ゴリゴリのハードSFが苦手な人でも安心して読める。

0
2024年07月30日

「SF・ファンタジー」ランキング