あらすじ
「朝鮮人が暴動を起こした、井戸に毒を投げ込んだ……」。関東大震災の発生直後、各地で飛び交ったデマによって多くの朝鮮人が命を奪われた。非常時に一気に噴き上がる差別と偏見。東京で、神奈川で、千葉で、埼玉で、悲惨な事件はいかなるメカニズムで起きたか。虐殺の「埋もれた歴史」は誰によってどのように掘り起こされてきたか。100年余りが経過した現在、何が変わり、何が変わらないのか。歴史的事実を葬ろうとする者たち、人災を天災の中に閉じ込めようとする政治家、差別行為にお墨付きを与える行政……。差別やヘイトクライムの問題を長年追ってきたジャーナリストが100年余り前と現在を往還し、虐殺事件が及ぼし続ける様々な風景を描く。
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Posted by ブクログ
(24/08/23-12/29)
既存の文献(郷土史、当時の新聞記事、公文書)を基に展開
特色
・現地訪問
・関係者インタビュー
・朝鮮半島出身者のみならず、日本、台湾、中国の人たちも対象
・取り上げた件数の多さ
これらの虐殺事例を中心に、当時と現在の関連というか往復。
過去の終わった事件ではなく、現在でも十分に再現される可能性を訴えているように感じました。
ただ……
件数(犠牲者数)は、今後も調査は必要だけど、確定は難しいかと
虐殺の根拠を新聞、公文書に拠っているけど、デマ、虚偽とその新聞、公文書を否定しているという矛盾。
虐殺における組織性
保護にまわった警官もいたので、どの程度徹底されていたのか疑問。
亀戸事件は、前もってリスト化されていたみたいでしたけど。
「虐殺はなかった」と言う人たち
私の意見としては、虐殺はあったが、数は不明。拘束はともかく、殺害までするのが、どうもしっくりこないのでした。とは言っても、付和雷同な国民性もあるので、完全に否定もできないのです。あった根拠は、各地にある追悼碑。冤罪なら、さすがに地元民が黙ってはいないでしょう。
で、本題なのですが、「なかった」という人たちの根拠をインタビューで深堀りしてほしかったのでした。
あとがき
P592
>過去と現在は断絶することなく続いている。
「旧」を付与して、「無関係」な体にしている組織を知っています
東京スカイツリー+荒川河川敷
おそらく表紙カバーの場所かと