あらすじ
深川沿い澪通りの木戸番小屋に住む夫婦は、人に言えない苦労の末に深川に流れて来たと噂されている。木戸を通る人々のさまざまな喜びや悲しみに寄り添い、生きる力を取り戻していく物語を綴った、泉鏡花文学賞受賞の連作短編集。山本一力氏、イチオシ!
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北原亞以子、4冊目。本作は泉鏡花文学賞受賞作品。
では、短編集なのでいつものように作品毎に勝手にランク付してみる。寸評は評価A以上の作品のみ。
【S=傑作、A=秀作、B=並、C=駄作 】
♦「深川澪通り木戸番小屋」S シリーズ冒頭を飾るこの話を読んで、なぜかおそ松くん「チビ太の金庫破り」を思い出した。元ネタはオー・ヘンリーの傑作短編「よみがえった改心」(原題:A Retrieved Reformation)ですが、漫画の方はたしかこんな話。金庫破りの名人、チビ太が刑期を終え娑婆に出てくるも、イヤミ刑事は疑ってチビ太の後をつけ回す。ある日、子供が誤って壊れた金庫の中に閉じ込められた現場に遭遇する。もう務所には戻りたくないので、その場を通り過ぎようとした時、金庫の中から子供の泣き声が。金庫の中の空気がなくなるのは時間の問題。もう二度と金庫に触らないと法廷で誓ったチビ太は葛藤の末、とうとう金庫を開けてしまう。イヤミ刑事が一部始終を見ていたのを知っていたチビ太は、イヤミ刑事に両腕を差し出す。イヤミ刑事は、「ミーは、何にも見てないザンス」と見逃す。
ここまで書くと、本作(放火を未然に防いだ元火消しが、また褒められたくて自作自演の放火&消火をしているところを少女に見られたのだが…)とはかなり違った内容の様だが、どちらも人間の優しさに泣ける名作です。
♦「両国橋から」B+
♦「坂道の冬」A- 幸薄き5歳の子供を亡くした親からすれば、どんな子でも側にいてくれるだけまし
♦「深川しぐれ」B+
♦「ともだち」A 貧乏な独り身の女同士は、空想話で見栄をはる
♦「名人かたぎ」B+
♦「梅雨の晴れ間」B+
♦「わすれもの」B+
このシリーズは6巻まで続いている様だが私の嗜好にあっていて面白い(10冊シリーズの「慶次郎縁側日記」と比べて)。
解説の縄田一男氏は「この深川澪通り木戸番小屋シリーズのテーマは、人は人にとってどれだけ"藁"たり得るか、人は困ったとき、藁をもつかみたい気持ちになる。その藁として登場するのが、木戸番のお捨・笑兵衛夫婦である」
さらに第4巻は吉川英治文学賞を受賞。
また「恋忘れ草」で直木賞、「江戸風狂記」で女流文学賞を受賞しています。
Posted by ブクログ
木戸番小屋に住む笑兵衛とお捨夫婦。
夫は夜廻りに出かけ、女房は昼間、荒物や駄菓子を売って細々と生活をしている。この50歳前後の夫婦には辛い過去がある。しかし、この品がある夫婦の過去は誰も知らない。
そんな夫婦のもとに苦しみを抱えた人達が話を聞いて欲しいとやってくる。切なく、哀愁を帯びた話が8話収録されている。
天下泰平の世、江戸時代。身分違いの恋や自分の美学にこだわるが故の生きにくさ。人の心はなかなか理屈では割り切れない。そんな江戸の市井に生きる人々の人情の機微に触れる作品でした。