【感想・ネタバレ】黄昏のためにのレビュー

あらすじ

描くことは、生きること。一人の画家の“生”を描き出す魂の小説集。

画家である「私」は、今日も独り、絵を描いている。
モチーフは人形、薔薇、動物の頭骨、階段……
裸婦は描くが、風景画は描かない。
物は物らしく、あるべき姿を写し取る。
ふた月に一度アトリエに訪れる画商・吉野に絵を売り、
腹が減ったら肉を焼いて食べる。
秋には山で枯れ葉を集め、色を採集する。
対象を見、手指を動かす。
自分がほんとうに描きたいものを見出すまで――。

***
「誰もがいいと思うから、絵は売れるのだ。
しかし、ほんとうは誰にもわからない。
そんな絵が、描けないものか」
――「穴の底」より
***

“究極の絵”を追い求める一人の画家の“生”を、
一つひとつ選び抜いた言葉で彫琢した、魂の小説集です。

孤高の中年画家が抱える苦悶と愉悦が行間から匂い立つ、
濃密な十八篇がここに。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

すごく洗練された素晴らしい作品を読みました。小説というより、一つの芸術を鑑賞していたような気分です。

北方謙三が好きだから、この作品に高評価をつけている訳ではなく、まるで純文学を読んでいるかのような、本当に無駄を削ぎ落とした一つの人生の完成形をそこに体感しました。

画家である主人公の一つ一つの行動を通して、人生の深みを覗きながら、物語を読む。そこには画家として当たり前の行動、人として当たり前の行動、個人として当たり前の行動、つまり主人公にとって何気ない時間の流れをただ書いているだけです。その一つ一つの動作から、何を感じ、何を得るのか。人によって答えは違ってくる、その答え次第で、面白いか面白くないかはまた評価は分かれると思います。

自分の気持ちや感情を薄く削り続けた先に辿り着く境地、あまりにも無の衝撃が自分の心を襲っています。

北方謙三のエッセイなどを読んでいれば、この作品はさらに楽しむことができると思います。心が潤ってるや、渇ききっている時ではなく、少し渇いていると実感できた時に読んでみてください。

わかる人にはわかる、その時分からなくても分かる時がいつか来る、そんな作品でした。

0
2024年06月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

連作短編集18篇
短編集とはいえ,全体を通して一人の画家が何かを探しながら自分のスタイルのようなものを確立していく.画商や友人あるいはゆきずりの人との会話も気が利いている.ストイックに奔放に作る料理が美味しそうで,その分量にも圧倒される.男の料理だと感じた.料理だけでなく全体の調子が,探偵ものではないがハードボイルド風でかっこよかった.
再読

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2024年08月02日

ネタバレ 購入済み

久しぶりの

久しぶりの北方節全開!しばらく中国史ばかりだったので、原点回帰的で没入してしまいました。古くからのファンには堪らないのでは?

#深い #ドロドロ

0
2024年07月13日

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