【感想・ネタバレ】カラー版 ゴッホ〈自画像〉紀行のレビュー

あらすじ

三七歳で自ら命を絶ったヴィンセント・ヴァン・ゴッホ。彼の画家人生は、わずか一〇年あまりにすぎない。その短い歳月に、四〇点を超える自画像を遺した。なぜゴッホはこれほど多くの自画像を描き、そしてそこに何を見いだしたのか――。ゴッホ研究の第一人者が、その求道的な生涯とともに、自画像を一点ずつたどっていく。丹念な作品の読解によって浮かび上がる、新しいゴッホの世界。自画像全点カラー収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ゴッホの描いた自画像を軸に、ゴッホがかいた主に手紙を道案内としてその「絵」の内面を旅する...ガイド版...といったところだろうか?

自画像とはあるけれど中には風景かなども含まれている。
風景画が自画像か?と問いながら読み進むとそのキャンバスに書き込まれモチーフ一つ一つに意味があり、自己投影という事に行き着く...

素晴らしい解釈、洞察、そして時代背景...
自画像は時系列に沿って解釈されており、その裏付けはゴッホがテオに宛てた手紙が主であった。

こんなにも多くの自画像を残したのか...と驚く。
自己の内面に目を向け続けた画家なのか?とも思ったり。

ただゴッホの絵に興味を持ち何冊か読んで見たけれど
この自画像に焦点を当ててゴッホの内面に触れられた事は
何冊かの本を読む順番としてもちょうど良いタイミングだったように感じる。

掲載されている絵画はその所蔵先があとがきの後に掲載作品リストとして載っている。
思わず本物を見て見たい!と思うものも多数あり(海外)
タイトルの紀行にも繋がるなぁ〜と思ったり。

引用図書の記載は本文中にあり、さらなるゴッホを求めて読んで見たい!と思うものばかりであった。

素晴らしい本だと思う。

他の著書も読んで見たいと思う。

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2024年01月25日

Posted by ブクログ

極めて刺激的。ゴッホへの見方、絵画の見方、最後のエピローグでは歴史の見方すら変わる。炎の人ではなく、試行錯誤をする人がゴッホ。絵画を通して絵画にならないものを求めた部分も感じた。著者のように筆力がある学者さんっているんだな。

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2014年12月01日

Posted by ブクログ

ゴッホの絵を見に行く予定があり
そういえば何も知らないなと思い手に取った本

読書目的からサラッと流し読みですが
知らなかった事が沢山あって絵の理解が深まりそうです

1番驚いたのはゴッホが牧師を目指していた話
信仰心が強いが故 教会のあり方に疑問を持ち
自らの信仰心を絵で表現しようとしたと言うところに
非常に興味が持てました

絵を見に行く前に一読の価値あり

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2019年10月15日

Posted by ブクログ

40数点の自画像は35歳からの4年間に集中的に描かれていることに注目して、ゴッホの真髄を再評価した好著だ.1888.12.23に自分の耳を切断するという異常な行動からか、狂気の天才を称されているが、実際にはそうではないことを証明している.P142のフランス語の手紙の語句の解釈が面白い.肖像画が登場した歴史を踏まえて「ゴッホは短い生涯のなかで、人類の長い美術史の諸時代を駆け抜けた」と述べているのに共感した.また、画家を評価する上での注意点を「絵以外の"事実"で作品を解釈理解すると、"事実"が誘い出した"虚像"のゴッホを見てしまうことになりかねない」と言っている.その通りだと思う.

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2015年01月03日

Posted by ブクログ

ゴッホがその生涯のなかでえがいた40点以上の自画像をカラー図版で紹介し、その解説をおこなっている本です。

本書で解説されているように、西洋絵画史のなかで自画像というジャンルが成立したのは、アルブレヒト・デューラー以降であり、そこには自己の内面を反省するという西洋近代に特有の精神史的背景が存在していました。ゴッホもまた、内省的な画家だったことはよく知られており、本書でも自画像を通してゴッホの自己へと屈曲する意識のありかたについて考察が展開されているのではないかと期待する読者も多いのではないかと思います。しかし著者は、パリ時代に集中的にえがかれたゴッホの自画像の変遷を通じて読みとることができるのは、彼がみずからの絵画のスタイルを追求していったプロセスだとみなして、その推移をていねいに解説しています。

「彼の自画像は、彼が人類史のなかの「自画像の時代」の末期に位置していたことと関連して、自画像の時代の典型的な鏡像ではなかった」と著者は述べています。しかし、自画像のスタイルの変遷をたどることで見えてくるのは、かつて聖職者として貧しい人びとと共生することのできる「世界」に向かおうとしていたゴッホが、「自己」と「世界」との関係をどのように把握しようとしていたのかということでもあります。こうして、いわゆる後期印象派とそれ以降の美術史において追求された中心的な問題に対する回答の試みとして、ゴッホの自画像を理解することができるということができるでしょう。

なお、西洋美術史のなかの自画像の意義をめぐる著者の考えは、『自画像の思想史』(2016年、五柳書院)で主題的にとりあげられているので、本書の解釈の背景にある著者のスタンスを知るには、そちらの本を参照することが望ましいように思います。

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2025年09月06日

Posted by ブクログ

ゴッホ展の前に参考図書2冊目。

ゴッホの描いた大量の自画像を元に、ゴッホについて探っていく。本書では自画像以前の時代、自画像の時代、自画像以降の時代と3区分されてゴッホの人生や精神世界を見ている。
自画像の時代には多くの自画像が載っているが、素人目に見ても初期と末期では描き方がまったく違うことがわかる。最初は茶褐色で暗くのっぺりした自画像から、ブルーが中心になり躍動感のある筆使いが特徴的な自画像に変貌していく。著者は精神世界を推察するというより背景の描き方やタッチについて各自画像を比較しながら語っている。

こんなにもある自画像は何のために描かれたのか?画家としての自己に目覚め、自分という存在をどう描き出すか。発作が起きて施療院に移ってからは自分の内面を見つめる自画像になっていると筆者は語る。

また、本書には筆者の感じる、ゴッホが色やタッチや背景、描いているものを選んだ理由が書かれているが、ゴッホは本当に意図があって描いていたのだろうか?素人なので分からないが、少々筆者の考えが強すぎる気がしてしまう。。

ゴッホに関する本は2冊しか読んでいないが、ゴッホは決して気が狂った人間なのではなく、痛いほど他人に優しい人だったんだなと思っている。

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2021年11月26日

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