あらすじ
【内容紹介】
工場は少人数で回せるようになったのに、売上に比例して事務職員が増え続けなくてはならないのは、なぜなのか。
複数の関連会社のシステムが個別に管理され、情報一元化のために膨大な労力を割かなくてはいけないのはなぜなのか――?
ブルーカラーの現場では生産性アップが進んでいるにもかかわらず、ホワイトカラー業務の生産性は、思うように改善されていない。
なぜ、日本企業のホワイトカラー業務は効率が悪く、生産性が低いのか。
その理由は、多くの人(主に経営者)が、「ホワイトカラーの生産性を高める方法」を知らないことにある。
ブルーカラー業務に求められるのは、一定の品質のモノを大量に生み出すことであり、業務の一部を自動化するなどして、生産性が劇的にアップした。
ところがホワイトカラー業務では、そうはいかない……。
本書ではホワイトカラー業務の特性を読み解きながら、生産性が低い理由と、そこから脱却するための手法、そして、組織全体を成長させ、変革させるためのアプローチを解説する。
「食い入るように読みました。まさに書かれている通りのことが弊社内でも起きている」
「現場のカイゼンでは改善できないこともある、と常々感じてきたのでモヤモヤが晴れた」
「失われた25年とは管理職が自己の能力向上を怠り、忖度がはびこり、若手の成長のボトルネックになってきた期間」
「ワンファクト・ワンプレイス・リアルタイムこそが要だと実感した」
「DXという言葉の中に埋まっている本質を見せていただいたように感じられた」
などなど、反響続々!!
※本書では、ブルーカラーとホワイトカラーは単なる職種の違いとして表記しており、どちらかが上で、どちらかが下だという見方はしていない。
【著者紹介】
[著]村田聡一郎(むらた・そういちろう)
SAPジャパン株式会社 カスタマー・アドバイザリー統括本部 コーポレート・トランスフォーメーションディレクター
1969年神奈川県生まれ。外資系IT企業、スタートアップを経て、2011年SAPジャパン入社。顧客の企業変革(コーポレート・トランスフォーメーション)に伴走する。著書『Why Digital Matters?“なぜ”デジタルなのか』(プレジデント社)、寄稿「ヒトではなく、電子を走らせろ。電子は疲れない」(『一橋ビジネスレビュー』2020年秋号所収)など。海外事例にも精通し、DXやカイゼンをテーマにした講演多数。COO養成塾 事務局長。白山工業株式会社 社外取締役。「合い積みネット」共同創業者。米国Rice UniversityにてMBA取得。
【目次抜粋】
Chapter 1 生産性のカギは「人間性の尊重」
Chapter 2 日本の置かれた現状
Chapter 3 ホワイトカラーの生産性革命とは
Chapter 4 部分最適vs全体最適
Chapter 5 ホワイトカラー業務の本質
Chapter 6 現場主導のカイゼンによる生産性アップの限界
Chapter 7 日本型BPR 2.0=変革の仕組み化
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Posted by ブクログ
本の要約
【概要】
(誰が書いた、概要)
SAPジャパンというERPソフトウェアの開発・コンサル会社のディレクターの方
(読むきっかけ)
私が社労士法人に勤めており、お客様にバックオフィス改善提案をしていく必要性を感じた。
その中で、バックオフィスの改善における現状や問題点を勉強したいと思っていた中で本書と出会った。
(活かしたい内容 ※2点程)
・自分の業務の棚卸をしてみて、それが『社内価値』か『顧客価値』か棚卸をしてみて、できる限り『顧客価値』の仕事を増やすようにする。
・無形の情報やサービスを特性を意識して仕事をする。
その取り組みの積み重ねが『顧客価値』提供に繋がっていく。
(感想)
・トヨタのカイゼンにそのまま当てはめて考えていたが、ちゃんと有形と無形の特徴を把握した上で話をしないと机上の空論や意味のない活動になってしまうと思った。
・仕事の質、スピード、誰に届けるは大切。
Posted by ブクログ
感想
・素直に面白かった。この手の経営目線の本で一度も寝ずに読みきれたのは初めてだった。
・自分も1ホワイトカラーとして定型業務やグレーゾーン業務に大半を費やしていることを痛感した。
→これと同等かそれ以上のことが日本中のホワイトカラーに起こっているにも関わらずメスが入っていない。この現状に、素人ながら強い当事者意識を持った。
・ERPを売ってみたいと思った。全従業員の幸福に、根本的にアプローチできる製品だと思ったからだ。
→BPRの肝=経営者向けの製品かと勝手に捉え、全従業員の幸せには寄与できないと考えていた。
→実際は、ブルーカラー領域で名を馳せた「ジャストインタイム」「自働化」「人間性の尊重(意味のある仕事をやれるようになる/長期的に給料も上がる等)」をホワイトカラー領域で実現するための屋台骨になれる製品だった。
→お金さえ払えば誰でもホワイトカラー生産性向上を目指していけるにも関わらず、決断に踏み切れていない企業も多くある。企業は重大な機会損失をしているのではないか?と思った。
ERPを何故入れられないのか?その根本要因をもっと知りたい。
→「やめていい」と言える責任者たちに北極星の策定〜BPR2.0(デジタルを活用した定型化)の啓蒙をしたい。
・今回の学びをSFのセリングにも活かせないか?
→定型業務の標準化と自働化により、「人事部門の人手不足解消」「人間性の尊重による働きがい/エンゲージメント/(長期的には)給与向上」に繋がる
→(対ERP既存顧客)ワンファクト ワンプレイス リアルタイム原則の実現のために、ヒトの情報も同一のマスタで管理していかなければいけない
→(対グローバル企業)上記世界観は、他国の企業&日系グローバル企業の間では当たり前となっている
→(対プロセスルールを整備中の企業)経路依存性の観点から、五位一体の改革が求められる
メモ
◎製造現場(=ブルーカラー)を支えるトヨタ生産方式とは?
・下記「ジャストインタイム」「自働化」により「少人化」を実現、「生産性の向上」「人間性の尊重(=ヒトがやって意味のある仕事をやらせる)」を成し遂げる生産方式である。
・ジャストインタイム: 必要や部品が、必要なだけ生産ラインに到着する
→物理的にも財務的にも経営を圧迫する「在庫」をゼロに近づけられる
・自働化:自動停止装置付きの機械
→「機会に人間の知恵を付けたもの」と言え、不良品の生産を防ぎつつ、工数低減による生産性向上を見込める
・グレーゾーン業務大量発生の根本原因は、突き詰めれば終身雇用も年功序列である
→上の年齢層で人が余っており、彼らが余分な仕事を生み出している
→複線人事(マネジメント職とスペシャリスト職が行き来できる)などのジョブ型への移行により、非定型業務にコミットできる環境を作る必要がある
・グレーゾーン業務:顧客への提供価値とほとんどまたは全く関係のない社内業務を指す
→部分最適なデジタル化を人手でつぎはぎするような非効率かつミスや不正の余地をはらんだ業務プロセス
→本来の目的とかけ離れたプロセス
→過去のプロセスやルールがそのままになっている
→上位職者への過度なサービス、忖度
→波風を立てないことを過度に重視した根回し
・グレーゾーン業務が定型化されない理由
→ソフトウェア化しなくても作れてしまう
→ソフトウェアへの投資対効果が見えにくい
→定型化できるほどの知見がない
→ヒトならではの柔軟性が評価されることもある
→皆非定型業務が好きであり、定型化を嫌う(自分にしかできない仕事だ、と胸を張れるため)
・「標準化されてしまうと出来ない業務が増える」と言われる事へのカウンター
→そもそもの問いの立て方が間違っている、北極星から逆算した際には標準化がマストとなる
→北極星策定から、SAPとして関わる
Posted by ブクログ
トヨタ生産方式は、機械化→自働化→省人化→少人化、の順で進む。最後は人数を減らすこと。
ホワイトカラーの仕事では古いものを無くすことは難しい。添付ファイルのPPAP(パスワードを別メールで送る)など。一度始めると無駄とわかっていても辞められない。
少人化はホワイトカラーの仕事には適用されない。グレー損業務があって、その増減で人の仕事を調整するから。パーキンソンの法則=仕事時間いっぱいまで仕事はかかる。
会議は原則ではなく例外。
仕事はPCを通して行っている職種。
Excelのバケツリレーという無駄。
日本のカイゼン文化が生産性の上昇を不可能にしている。
部分最適の山は全体最適にはならない。
ブルーカラーはモノを扱う。ホワイトカラーは情報を扱う。有用な情報を一つ作る。情報はタイミングが重要。定型業務は少ない。皆、非定型が好き。非定型こそ付加価値という誤解。
生産性は、カイゼン、効率、ムダではなく、利益が増えたか人が減ったか、で計るべき。
新規の仕事を用意できなければ人を減らすしか利益は上がらない。カイゼンした分、余計な仕事をしてしまえば意味が無い。
会議、根回し、資料、調整、上司のプライド、マンネリ、ごっこ、は上が辞めていいといわなければ辞めない。
突き詰めると、終身雇用と年功序列の日本型雇用慣行が原因にある。