あらすじ
エンジニアリングマネジャーとして成長し続けるための秘訣を明かそう―
『スタッフエンジニア』著者が、エンジニアが活躍できる効率的でやりがいのある組織を作りたいリーダーへ贈るマネジメント本、待望の日本語版。
「人は会社を去るのではなくマネジャーのもとを去る」という言葉がある。マネジメントはあらゆる組織で重要だが、どうするべきか誰からも教わらないことが多く、構造化もされていない。複雑なマネジメントの課題に対してよい解決策を得られるか否かで、チームが満足するか不満を感じるかの違いが生まれる。そして最終的には、企業の成否を左右する。
チーム編成から、士気・成果向上、キャリア形成、プロダクト管理、文化醸成、技術継承、技術的負債、上層部との調整まで、エンジニアリングマネジメントのあらゆる課題について、よりよい解決策への道筋を示す。
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Posted by ブクログ
概要:
本書は、システム・エンジニアリング分野におけるチーム・マネジメントの教科書として位置づけられる。ヌケモレなく、マネジメントに必要な基本が淡々と述べられており、筆者の主観的な経験談や感情的な記述はほぼ見られない。そのため、良くも悪くも読み物としての面白さは期待できないが、マネジメントの基礎を体系的に学ぶには最適であると言える。逆に言えば、本書の内容がピンと来ないと感じるマネージャーは、その職を再考すべきかもしれない。それほどまでに、基本に忠実で網羅性の高い内容となっている。
特に印象に残った点:
エンジニアのマネジメントも、結局はマネジメントの基本の組み合わせであるという原則は改めて認識させられた。しかし、実務においては、エンジニア一人ひとりの多様性を無視することはできない。それぞれの個性やスキル、興味範囲だけでなく、仕事へのスタンスも大きく異なる。特に、私の経験が異業種のメンバーが混在するプロジェクトが多かったため、その多様性の大きさを痛感している。ソフトウェア開発の現場では、ある程度の役割分担やスキル構成の前提があるかもしれないが、多様なバックグラウンドを持つメンバーをまとめ、成果を出すためには、より個別に向き合う必要性を強く感じる。
本書の内容と自身の経験:
本書に書かれている原則は理解できるものの、それを多様なメンバーに対してどのように適用し、具体的な成果に繋げるのか、という点に大きな課題を感じている。教科書的な知識だけでは解決できない、個々のメンバーとのコミュニケーションや動機づけ、そしてチーム全体の方向性を示すリーダーシップが不可欠であると改めて認識した。特に、異業種のメンバーとの協働経験が多い私にとっては、本書のような普遍的な原則だけでは対応しきれない場面が多いと感じる。
今後の課題と疑問点:
本書で得られた知識を、実際の多様なチームでどのように活かしていくかが今後の大きな課題である。理想としては、本書のような普遍的な原則をベースにしつつ、個々のメンバーの特性や状況に応じた柔軟な対応策が示されていると良かった。具体的なモデルやソリューションが提示されていれば、より実践的な学びになっただろう。
深層心理の反映:
本書の網羅性と客観性は評価しつつも、どこか物足りなさを感じているのは、私がマネジメントにおいて、単なる知識や原則だけでなく、もっと人間味あふれる、泥臭い部分も重要だと考えているからかもしれない。また、教科書的な正しさを求める一方で、現実の複雑さや多様性に対する理解も深く、そのギャップに苦悩している様子が伺える。過去の異業種混合チームでの成功体験から、多様性を活かすマネジメントへの強い願望がある一方で、具体的な方法論を見出せていない現状への焦りも感じられる。普遍的な知識だけでは解決できない問題に対し、具体的な解決策を強く求めている。