あらすじ
必死に働いて生きてきたのに、気がつくとまわりには誰もいなかった……。
そんな事態になりたくない人は、手にとってみてください。
孤独死から逃れるためのノウハウが詰まっています。
男性は女性に比べて自殺する率が高い。その一つの要因に、男性が孤独になりやすい性質を持つことがあげられる。では、なぜ男性は孤独に陥るのか? 男性が孤独による死のリスクから逃れるにはどうすればよいのか? 自分の父親を自殺で亡くした経験を持ち、自殺問題についての第一人者が、豊富な臨床データと心理学のエビデンスに基づき、孤独死を避けるための具体的な処方箋を提示する実用書。すべての悩める男性必読。
孤独を引き起こす3つの要因を自覚せよ!
1.男は対人スキルを学習しないまま大人になる
2.男は自立を重んじプライドが高く、人の手を借りるのが苦手
3.男は家族や友人よりも仕事、地位、お金を優先する
→ゆえに孤独死する確率が高くなる。
本書の解決策をいまから実践してみてください!
【目次】
■第1部 問題点
第1章 孤独な性:孤独は、すべてを手にしていることから始まる
■第2部 原因と結果
第2章 原因:甘やかされること
第3章 原因:自治の自由を踏みにじるな──独立の危機
第4章 原因:お金や地位を追い求め、孤立を獲得する
第5章 頂上の孤独
第6章 結果:自己破壊行動への道(銃、ゴルフ、NASCAR、アルコール、セックス、離婚)
■第3部 解決策
第7章 解決策:自然を愛し、健康を取り戻す
第8章 解決策:他者とつながる現実的な方法
■第4部 結論
第9章 性差別、普遍性について、そして未来
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
#読書記録 #教訓 #孤独
- 孤独な性
- 「俺の邪魔をするなという態度から、愛する人と繋がりお互いに助け合いたいという態度に移行すること
- 男の孤独を理解するためには「孤独だが気に留めない」状態という無頓着さが重要になる
- 男の孤独の三つの形態
- 孤独だが気に留めない状態
-
- 群衆の中の孤独
- 本当の孤独
- 社交によるサポートに「気づくこと」がサポートしてくれる友人の実際の数と同等かそれ以上に重要であること
- 社会的排除と孤独が繰り返された結果、鈍化し、麻痺したセンサーが過剰なリスクテイク、怒り、攻撃性といったものと組み合わされ、結果に対する認識が不足するようになる
- 要するに孤独とは
- 望まない孤立や断絶の経験であり、社会的な孤独環境と感情的な孤独感の2つの側面を持っている
- 社会的孤独とは実際に有事にゃ家族との繋がりがないことで、より基本的な孤独の問題
- 感情的孤独(内的な寂しさの認識)はその基本的な側面のセンサーになるもの
- 男の場合、感情のセンサーと実際に友人がいないこととの間の関係が女性と比べてうまくいっておらず深刻な悪影響を及ぼす可能性がある
- *実際、俺も家庭内で本音を話せなかった。そういう経験がずっと続いている寂しさを生むのでは?確かに家族と仲良くなってから、明らかにギリギリで踏みとどまれるようになった
- 「最も社会に組み込まれていない人の記憶力は、最も組み込まれている人の記憶力の2倍の割合で減少している」
- *確かに、人間付き合いを広げ、信頼できる友人を大切にしていくべきだと思う。寂しい感覚がする時、本当に何も覚えていない*
- *じゃあ今まで孤独になれるためにしてきた数々の行動や努力は全部良くない方向に向かっていたのか。。。*
- 原因 甘やかされること
- 退任後は男性同様、女性の側近はいなくなるが、その後のパーティで彼女は孤独ではない。継続的な対人関係への努力によって人間関係が形成されているから。平均的な男性は立場が大きく人間関係に影響する。
- うつ病の性差の重要な原因
- 道具性という性格特性
- 合理性を追求するため自分を含めた他者を手段とする判断基準を持つ精神構造
- 道具性が持つ影の側面が人対人ではなく人対物の二項対立に帰着する。
- 人として人を重視することを避け、その代わりに物、物の仕組みそして目的に対する手段としての人に焦点を当てることを助長する
- 対人関係における甘えの態度を助長することになる
- 女性に比べて男性は性的嗜好や行動において明らかに柔軟性に欠けていることが証明された。
- *変な方向には行きたくないが、自分を縛りすぎない方が良い。深く考えすぎない方が良い、が、面白さはそこから生まれる。考えの凝り固まりを防ぐという意味でたまに有効だが、、、苦労するな。。。*
- 男性は女性以上に他人を寄せ付けないことで自分の意識下で自分を切り刻んでいる
- 男性は他の人間関係が全て薄れていく中で、妻をとても近くに置いていたが、それだけでは救われなかった
- 友情は配偶者のような一人の人間との繋がりと同じか、それ以上に健康に良い影響をもたらすという研究結果がある。
- !!!超重要:自己証明について!!!
- 自己概念の安定は、予測可能で円滑な対人関係を作る奈緒dの重要な心理的機能を果たしている。
- 人は自己概念を変更することに抵抗がある
- 人は自分の自己感が乱されることに対して何としても抵抗する。
- 興味深いのは、自己評価が高くても低くても、誰に対しても同じ主張をする
- 自尊心の低い人は、自尊心を低く保つために努力すると予測されている
- 面接官の話
- 気分の良さよりも自己証明欲求が勝つ
- うつ病患者の話
- 自分と同じように物事を見るように要求する
- 青少年は自分に関する否定的なFBに興味を示すほどより落ち込んでおり、自分をよく知る仲間から嫌われる可能性が高い
- 人は安定した自己概念を好む。それは安定が世界全体に対する統制や結束、予測可能性の感覚を提供してくれるから
- ある個人の自己概念に変化が起こると、周囲のソーシャルネットワークには急降下を引き起こす可能性がある
[[物語化批判の哲学]]
続く
Posted by ブクログ
オンラインの書評から興味を持って読んでみました。男性が女性よりも自殺率が高いのは知られていますが、その要因は男が孤独になりやすい性質にあるといいます。対人スキルを学習しない、ブライドが高い、仕事や地位を優先するなどなど。わかる。その解決法の提案がやや弱くて拍子抜けしましたが、現状を理解するいいきっかけになりました。ちゃんと友人と連絡を取り合ったり、交友関係を広げていく意識を持たないとダメですね。
なお、タイトルの「孤独死」は、現代日本で使われているそれではなく、「寂しく孤独に死んでいく」の意味です。ちょっと紛らわしい。
Posted by ブクログ
ほぼ邦訳題の通り、「男はなぜ孤独死するのか」(あえて言うのであれば「孤独死」というよりは「(精神的に追い詰められての)自殺」であろう)について、原因を深く掘り下げ、また対策を考える1冊。
とは言っても、筆者は「男に『読書クラブに入れ』『芸術鑑賞をしろ』などと言っても一部の層にしか響かず賛同は得られない」と言いつつも、同様に「一部の層にしか響かない」であろう「規則正しい生活」「アウトドアの趣味を持つこと」を挙げており、これらの「対策」は男性の自殺にとって特効薬とはなり得ないであろう。
本書に曰く、男性は(ほとんど年齢とともに)交友関係を失うために孤独死しがちであり、その原因は社会的地位や金銭などといった類のものと交友関係(の育成維持)がトレードオフになるためとのこと。男性の社会が強く競争的排他的な傾向を持ち、共感といった類のものを育まないというのは近年喧しく言われていることであり、そろそろその反省を活かすべき時であろう。
また、本書では、男性は交友関係の育成維持には関心を払わず人を助けないが、見ず知らずの人を助けるケースはむしろ男性の方に多いと述べている。筆者の言には疑いはないが、「女性にAEDを使うと訴えられる」とのデマが頻回で出回り、その度に「自分は女性が倒れているのを見かけてもAEDなど使わない」と述べる男性があまりに多い本邦においてもその通りであるのかは疑問である。
全体として事実を正確に見据えており、楽観も性差別的な見方もなかったように思う。昨今話題の自称「弱者男性」には本書を読んでみてほしいものである。
Posted by ブクログ
・とっても身につまされる話だった。白人男性を基準に描かれてるけど、日本でもこの傾向は強そうな気がする(特に都会)。男性特有の性質もさることながら、社会が便利になって、他人に頼ったり地域の共同体の中で助け合ったりしなくても全然平気になってきているから、どんどん孤独な人が増えているんだろうね。そしてその傾向は自分にもあるなあと思った。他人と関係を結んだり保ち続けようとするのは、やはり煩わしい部分もあるので……。ちなみに今は田舎に住んでるけど、田舎は結構「共同体」の心が生きている気がする。まあ、それが煩わしいなと思うこともしばしばだけど。3世帯で住む家とかがほとんどなくなってきている現代においては、家族がいても年に1回会えればいい方、みたいなお年寄りも多いだろうから、病院通いも町内会も孤独を防ぐには大事なんだろうね。
・「煩わしさにもいずれ慣れる」って話、そうなのか!と驚きつつも、まあ確かにな~とも思った。仕事だって、最初は不安な仕事もだんだん慣れて平気になるものね。メンタルヘルスに対する行動療法の話が出て来たけど、「本人が嫌がることにトライさせて失敗もさせて慣れさせていく」って、ものすごい荒療治だなあって思った。紙やすりで肌を削られるようだ。受ける側はすごく嫌だろうけど、効果はあるんだろうなーと思う。人生は慣れ。
・自然とか温かい飲み物とか人との会話とか、なんとなく想像すると心地良いような気がするものって、学術的な面でもちゃんと「良いものだ」と認知されてるんだなーってところが面白かった。実験で今後の孤独な人生を宣告された人は、実験後に温かい飲み物を飲みたがるとか。
・言い回しが難しい部分もあったけど、書いていることは全般的に至極よくわかるな~と思った。仕事に夢中で家庭を疎かにして老後に居場所がなくなる男の人はごまんといると思うけど、仕事が大変or頑張りたいからってだけじゃなくて、普通に人間関係の構築が苦手だからそうなっちゃってる部分もあるんだろうね。確かに会社でもコミュニケーションが上手なおじさんは出世している。そう考えると、コンカフェもスナックもキャバクラも世の中において結構大事なんじゃないかって感じがする。コンカフェ業界では推しが突然卒業することがままあり(つまり仕事を飛ぶということだが)、それをやたら悲しんでいる人たちに「そんなに?」と思っていたけど、せっかく持てたつながりが幻想だったことがやるせない、みたいなことなのかなと思った。まあ入れ込みっぷりにもよると思うし、連続して起こると確かにげんなり来るかも。そういう人は学生が半分お遊びでやってるコンカフェよりお姉さまがやっているスナックに行った方が良い。
・超些細な話だけど、メキシコ人はパートナーを「私の空」「私の愛」とかって表現するって話が壮大だな!と思ったし、奥さんに「私のランチ」って呼ばれたことがある、って筆者の話にはマジで爆笑した。
・最近、会いたいから……と他人を遊びに誘ってめっちゃ疲れる、みたいなことがまあまあの頻度であり(みんなのことは好きだけど、それとこれとは別の話だ)、友達を続けるのって難しいな……と思っていたところだけど、やっぱり言い出した後にどんだけめんどくさくなったとしても、気が向いた時には誘い続けようと思う。そこのあんた、周囲のやさしさや誘いを無下に断ってないか?適当にあしらってないか?「このままで大丈夫かな」と胸に手を当てて考えたことはないか?孤独に慣れるな、危機感を持て!
Posted by ブクログ
翻訳された文章ってなんでこんなに読みにくいんだろうなとおもいつつ 内容が興味深いのでぐいぐいと読む
アラサー女性ですが、よくおじさんに、女子会って会話のテンポすごすぎるよねーとかエネルギーやばすぎーみたいなこと言われる。なんか男の人って女の人の全力のコミュニケーションを茶化してくる感じがあり、それにもやもやしてたんだけど、そのもやもやを言語化してくれる内容だった。
自分たちが孤独に対してセンサーが鈍っているから、一生懸命コミュニケーションをとっている女性が羨ましい?的な感じなんだろうな
次茶化されたらなんと返すべきか
鬱病は女性の方が2倍なんだ へー!
村上春樹が引用されててやっぱすごいんだなとなる 読んだことないけど
Posted by ブクログ
誤字はっけーん⭐︎(16p2行目)したので一瞬萎えたが(「男はに活力があり…」→「男には活力があり…」)、全体として納得はでき面白い内容だった。
しかし本質的には社会進出を果たした女性にも関係のある話だろうので、男女問わず読んでいただきたいものである。
あとは会社にのみ人生を捧げないこと、規則正しく健康的な生活をすること、知人や友達とちゃんと連絡を取り合いたまには会うこと…。
仕事が忙しくてね、と言い訳にして後回しにしたツケは、ある程度の年齢になったところで一気に襲いかかって来るのである。
Posted by ブクログ
男性は基本的に女性より人間関係が貧しく孤立しがちである。
男性も子供の頃はすぐ友だちを作れる。しかし成長するにつれ友情を維持するのに努力が必要なことを忘れる。
「一人前の男」は自立心が強く、問題が起きても他人に助けを求めず自分一人で解決し、弱音を吐かない、弱みを見せない…社会から押し付けられる「男らしさ」のイメージに洗脳されている面がある。困っていて大丈夫じゃないのに、手を差し伸べてくれる人に「大丈夫」と答えて助けを拒んでしまうような。
また男性は社会人になると社会的地位や金を求めるようになる。そうなると他人は競争相手になるから基本的に人間関係は悪くなりがちである。仕事がうまくいっているときは同窓会に参加するが躓くと来なくなる、そんな男性が身近にいたりしないだろうか。男はプライドの生き物なのかも。
自立心、地位や金へのこだわり、人間関係は何もしなくても維持できるという「甘ったれた」考え方、これらが男性を孤独にする原因だと著者は述べる。男性が努力せずとも人間関係を維持できると考えてしまうのは彼らが人生の中心を仕事に置いていて、組織に所属していれば何もせずとも同僚や部下や上司と人間関係を築けるからだろう。毎日の会話や飲み会など。ただそれはあくまでビジネス的な関係であるから定年退職すると職場という居場所と人間関係の両方を同時に失い、しかも仕事ばかりで住んでいる地域や昔の友人と親しく付き合うことをしてこなかったから途端に孤独に陥ってしまう。そして会社員としてではなく個人として他者と交流することを何十年もしてこなかったから今更どう他人と仲良くなればいいのか、その仕方を忘れてしまっている。プライドの高さも人との接触を難しくする。
女性の方が大人になってからも人間関係を維持するための努力をし続けるし、よく喋ってコミュニケーションをとるし、困っているときは助けを求められる傾向にある。
孤独のリスク。
怒りや攻撃性が増す(そのせいで周囲から嫌われますます孤独になる)。
心臓病、がん、脳卒中のリスクが高くなる(過度の喫煙やアルコール摂取と同等レベル)。
睡眠で疲労回復しづらくなる。
自殺の危険因子。
脳を劣化させる可能性がある。
一方で他人とつながっている実感は、自分の能力を信じられ、苦難があっても乗り越えられるとポジティブに考えられるようになる。
対策。
自然と接触する。
動物や木に触れるなど。景色を眺めるだけでもいい。
毎日誰かに電話して会話する。
規則正しい生活を送る。よく眠り、運動習慣をもつ。
タイトルに孤独死とあるが、孤独死そのものについてというより男性が孤独に陥る原因について述べている。人間はみないつか死ぬ。一人で死ぬ。それは当たり前のことなので殊更孤独死という強い言葉で恐怖を煽るような風潮には疑問がある。言葉がよくない。単独死、単身死ではダメか?
自分は友だち0人の独身中年である。
自分としては孤独死よりその前提となる衰えや通院や入院や手術などの際に、それらを全部一人で対処せねばならないことに不安と重荷を感じる。例えば手術入院となったとき、年老いた体で、入院の手続きをすべて自分でやり、一旦家に帰って必要な荷物を用意して、また病院へ戻り、手術の不安と一人きりで向き合い、入院中は誰も見舞いにこないから退屈で、慰めの言葉をかけてくれる人はなく、手術がうまくいって退院できても帰るのは誰も待っていない家、「よかったね」とは誰からも言われない。そして手術で衰えた体でまた一人生活していかねばならない…。
いや〜、想像しただけできついっす。
本書で示される対策を実践して自然に触れたり規則正しい生活をしたって病気になるときはなるし死ぬときは死ぬし、電話をかける相手なんていないし。
自分はこの先孤独に耐えられなくなったら、宗教の集まり(カトリックなどの伝統宗教で大規模なところ)に参加する、犬を飼う、を対策として考えている。
Posted by ブクログ
タイトルの通りの本で、男性が孤独に苛まれ圧倒的に女性よりも自殺率が高い理由を文化的、生物学的な面から分析し、はたしてどうすればいいのかということまでを解明している本。男性が孤独な環境に陥りがちなことは男性学などについて多少本を読んだことがある人は知っている人が多いと思うけれど、まず生物学的な観点も含めて分析されているところがよかった
そしてその女性とは異なる生物的な特徴やそれに伴う環境が男性を孤独へとさらに加速させる要因になっているなども説明されており、納得感も強かったし日本の男性学や男性の孤独について書かれた本にはない観点だったので、もっと俎上に載せてほしいと思った
Posted by ブクログ
名指しで孤独死を予告された気がする。宇宙から帰還した前澤さんもおっしゃっていた。身近な人の存在の大きさ、貴重さ。仕事を理由になおざりにしてはいけないことがたくさんある。
Posted by ブクログ
本書は海外の事例なので、日本ではどうかを調べてみた。やはり、男性の方が孤独死する割合が圧倒的に多い。しかし、女性の方が一般的に長寿だから、一人暮らしは女性の方が多い。だったら女性だけ特殊な死因でもあるのかと腑に落ちない感じだったが、この「孤独死」の定義、死後早めに発見されたら当てはまらないらしい。それは、本書の〝なぜ“にも直結するのだが、多くの男性は人付き合いをしていないのだ。
この切り口で始めると、大凡の事が分かってくる。次に調べるべきは、「男性は何故人付き合いをしたがらないか」だ。そこで見えるのが男性的な競争社会や職場中心の価値観だ。
ー 本書の要点は、孤独の格差は明らかに存在し、現状では、男性の方がより孤独であるということだ。これは、本書で最も重要となるパラドックスである。地位やお金、優遇措置など、良いことは男性の方が多いが、自殺や孤独など、「悪いことも」男性の方が多いということだ。たとえば、女性の収入が上がり、それに伴う地位にこだわるようになれば、女性の孤独のレベルがじりじりと上がっていくことも考えられる。
大体読む前の見立てに近い事が書いていた。それと以下の話も印象的。
ー 新鮮な空気、緑の草、自由は、ニワトリにとって魅力的なものだと思われるだろうが、同時に鶏小屋の継続性や快適さも魅力的なのだ。自己証明理論によれば、人の自己確証欲求の根底には同じ動機があるとされている。人は安定した自己概念を(たとえ否定的なものであっても)好むが、それは安定が、世界全体に対する統制や結束、予測可能性の感覚を提供してくれるからだ。僕たちの神経系は、それ自体にとって望ましく、また僕たちにとっても望ましいものと思えるように設計されているようだ。ある人々には、残念ながら、自己評価の低さを感じ続けることが、自分の鶏小屋になる。鶏小屋は、慣れ親しんでいて快適で、魅力的な代替品よりも好まれる。代替品には、まさに継続性や安定性を犠牲にすることが求められるからだ。自己証明論者は、この安定した連続性の感覚を「認識による安全」と名付けた。これは「慣れ親しんだ知識による安全」と言い換えてもいいかもしれない。これが、ニワトリが鷄小屋から飛んでいかない理由のひとつであり、過食症の人が、自分が魅力的だと思わない情報に興味を持つ理由のひとつだ。
安定こそ快適。しかし男子は人付き合いを!
Posted by ブクログ
トーマス・ジョイナー氏の『男はなぜ孤独死するのか:男たちの成功の代償』は、現代社会において男性が直面する、見過ごされがちな「孤独」という深刻な問題に深く切り込んだ一冊だ。本書は、**「大人の男性は女性よりもずっと寂しい」**という衝撃的な真実を冒頭で提示し、その原因と対策を多角的に分析している。
男性の孤独は「無自覚な進行」
本書の核心にあるのは、男性の孤独が**「最初からではなく次第に孤独な性になっていく」という指摘だ。男性は、時間とともに孤独感を測るセンサーが鈍りやすく、知らず知らずのうちに孤独が進行していく。2005年のアメリカの自殺者数の約80%が男性であるというデータは、男性が不釣り合いなほど「不幸」を抱えている現実を突きつける。著者はこの不幸の根源を「孤独感」**であると断言する。
友情の喪失と「お金・地位」への執着
男性の孤独の大きな要因として挙げられるのが、友人関係の喪失と補充の失敗だ。多くの男性は、幼少期の制度化された環境で自然に築けた友情から、成人期に努力を要する**「努力の結晶である友情」への移行に失敗している**。彼らは、酒やゴルフ、趣味といった限られた社交の場でしか、本当のつながりを見出せずにいるという。
そして、男性が友情を軽視する背景には、「お金や地位」への強い執着がある。本書は、男性が友人関係から遠ざかりながら、同時にお金や地位を獲得していくという皮肉な現実を描き出す。週に48時間以上働く人の8割が男性であるというデータは、男性が仕事やキャリアに没頭し、その代償として人間関係を犠ろかにしている可能性を示唆している。成功の先に待つ**「頂上の孤独」**は、まさにこの執着の結果であり、物質的な豊かさとは裏腹の虚しさや寂しさを突きつける。
「甘え」と「邪魔をするな」が招く孤立
著者は、男性の孤独のプロセスを「甘え」と「邪魔をするな」という二つの側面から説明する。「俺の邪魔をするな」という自立・自給自足の姿勢は、実社会における相互依存の重要性や、挫折を乗り越えるための友人の必要性を軽視する傾向につながる。また、若い男性が実社会の困難を経験せずに「甘やかされる」ことも、彼らが孤独の道へと進む一因となる。
孤独の代償と癒しへの道
孤独は、うつ病をはじめとする心身の不調を引き起こし、悪化させる。そして、男性が孤独を埋め合わせようと、アルコールの過剰摂取や不倫といった一時的かつ破壊的な行動に走る危険性も指摘されている。これらの行為は、本物の持続的な人間関係を伴わない限り、絶望的な解決策に過ぎない。
しかし、本書は絶望で終わらない。孤独を癒すための「総合的な治療法」は存在しないとしつつも、人間が本来持っている**「群生的」な性質に再び火をつけること**の重要性を強調する。その具体的な方法として、以下の点が示唆されている。
自然との相互作用(バイオフィリア): 自然との触れ合いは、感情的なつながりを生み出し、孤独感を減らす効果がある。
人間関係の再構築: Eメールではなく電話で話す、若い頃の親友と年に一度など定期的に再会するといった、地道な努力が友情を維持・再構築する上で不可欠だ。
「帰属意識」の育み: 他者がいるいないにかかわらず、「帰属意識」を感じられるような行動が、孤独の解毒剤となる。
歴史的連続性の認識: 祖先や子孫、そして歴史の中に自分を位置づける感覚は、アイデンティティの連続性を生み出し、孤独感を減らす。
本書は、男性が社会で「成功」を追求する中で失いがちな、人とのつながりの大切さを改めて問いかける。そして、単なる啓蒙に留まらず、具体的な行動変容を促す示唆に富んだ内容となっている。男性に限らず、現代社会における人間関係の希薄化に警鐘を鳴らし、真の幸福とは何かを考えさせる、示唆に富んだ一冊だ。
Posted by ブクログ
ネットで話題だった本。
アメリカでの白人男性メインの話だけど、まあ日本でも大体同じことだと思う。
男は社会を作って群れたがる一方、競争に明け暮れて疲れ果て、競争のために疎かにしてきたプライベートな人間関係がそのうち破綻して、手元に何も残らなくなり、孤独ゆえの病気、加齢に従いセルフネグレクトに繋がり、早く死ぬか、自殺するか、になりやすいと。
つまりは男の生きづらさだし、それは男が作ったものだし、女の生きづらさと表裏一体ですけどねー。
友情を維持するための努力を男は払いたがらない、のフレーズには納得。
うちの家族も私以外男性で、すべて孤独症気味のタイプ。
老父も含めて、私には、この問題は身近に迫ってきてる。
本書で提案された対策としては、毎日電話すること、自然と触れ合うこと、昔の友人(仕事上の損得抜きに遊び合える人間関係)と年1くらいで関係を保つこと、趣味をもって新しいコミュニティに入るのを恐れないこと、など。
私からみれば、男も弱みを見せてもいいし、成功する必要は必ずしもないし、同じく、幸福のために妻子を必ず必要とするわけでもないし、自分の価値基準をもって、誰かが決めた競争レースからはとっとと降りるのを推奨するね。
ちょっとした気遣い、相手を尊重する小さな会話で、精神的にかなり救われることがある、のくだりも同感。
大統領選の時期には自殺者が減る、というくだりに笑った。
一種のスポーツ応援のノリがあって、同じグループ同士で紐帯が生まれて盛り上がるから、とのこと。
なるほどなあ。日本にはないが想像はできる。
本書と近い内容を日本で味わうなら
・居場所のない男、時間のない女 (水無田気流)
・男子の権力 (片田孫朝日)
かな。
これらで、世界の解像度がすごく上がりますよ。
Posted by ブクログ
どのように男性が次第に孤独な性になっていくのかを探る。
メモ
・自然を愛し、健康を取り戻す
・他者とつながる現実的な方法を実践する
・定期的な外出
・地域コミュニティへの参加