【感想・ネタバレ】中国戦線従軍記 歴史家の体験した戦場のレビュー

あらすじ

弱冠一九歳で陸軍少尉に任官し,敗戦までの四年間,小隊長,中隊長として最前線で指揮をとった経験をベースに戦後の戦争史研究を牽引した著者が,その人生を閉じる直前にまとめた「従軍記」.歴史家の透徹した目を通して日本軍のありさまと兵士・将官たちの日常を描き出した本書は,優れた兵士論・戦場論でもある.(解説=吉田裕)

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Posted by ブクログ

 『昭和史』の著者の一人としても著名な歴史家の藤原氏。氏は陸軍士官学校を卒業後、1941年8月中国戦線に赴任し、およそ4年間従軍した。その戦争体験をまとめたのが本書である。
 1941年10月に少尉に任官し(当時19歳)小隊長として、1943年3月には中尉に進級し、中隊長として部隊の指揮を取り、さらに 1944年12月には大尉に進級する。ここまで早い昇進は、戦況の悪化に伴う幹部不足が影響していたのだろうか。

 従軍記のメインとなる戦闘場面や行軍等の箇所は、良くこれだけ詳しい内容を書けたものと、ただただ感心してしまう。中国戦線のことはあまり良く知らなかったので、全体からすれば一部のことなのだろうが、華北における八路軍との戦闘や大陸打通作戦について知見を得ることができた。
 
 中国の前線で、戦争の被害を受ける中国民衆の姿を実際に目にして、日本が掲げる戦争目的や戦争の大義に懐疑的になっていったこと、装備品や食糧の補給を軽視し、あるいは部隊の実際を見ずに作戦計画を立て指示する軍上層部への怒りなどが率直に語られる。こうした経験が、著者に歴史家、それも現代史・軍事史研究者への道を選ばせることになったのだろう。

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2024年09月11日

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