作品一覧
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3.0
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4.41巻1,100円 (税込)アジア太平洋戦争において死没した日本兵の大半は、いわゆる「名誉の戦死」ではなく、餓死や栄養失調に起因する病死であった──。戦死者よりも戦病死者のほうが多いこと、しかもそれが戦場全体にわたって発生していたことが日本軍の特質だと著者は指摘する。インパール作戦、ガダルカナル島の戦い、ポートモレスビー攻略戦、大陸打通作戦……、戦地に赴いた日本兵の多くは、無計画・無謀きわまりない作戦や兵站的な視点の根本的欠落によって食糧難にあえぎ、次々と斃れていった。緻密な考証に基づき、「英霊」たちのあまりにも悲惨な最期を明らかにするとともに、彼らを死へと追いやった責任を鋭く問う、告発の書。
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ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ日中戦争からアジア太平洋戦争における日本人の死者は、約320万人で、そのうち軍人は230万人と推定されています。但し、玉砕地域などは記録もなく、終戦間際に戦犯訴追を恐れて組織ぐるみの書類の大量破棄が行われた為、そもそも正確な数字を弾き出す方が困難な状況です。
そんな中にあって、研究者たちの地道な調査の結果、上記の数字が暫定的ではあるが公式に用いられています。
軍人の死者230万人のうち、戦闘中ではなく、餓死をはじめ栄養失調や医薬品不足からくる広義の餓死者がどの程度の割合を占めるのか。著者は60%強と推定しています。
この背景にあるのが「精神主義」です。これは合理主義の対義語として位置 -
Posted by ブクログ
日本軍の組織としての特質と日本軍隊に通底する「思想」を追尋した古典的名著。日本にとってのアジア太平洋戦争における「死」の実相に迫る。
冒頭に「戦場・戦地での悲惨という他にない「餓え」が、日本軍中央の責任によるものであることを「告発」することが目的とあるように、数字を列挙する淡々とした記述の中に著者の静かな怒りが滲み出ている。じっさい、読み進めていくうちに、無機質なはずの数字たちが、奇妙な実在感をもって迫りはじめる。よく被害や犠牲を数字に還元すべきではない、といわれる。しかし、これだけの迫力でこれだけの数字が並べられると、それ自体として絶対的な差異の相貌を帯び始めてくるように思う。
著者 -
Posted by ブクログ
アジア太平洋戦争における日本の戦没軍人の過半数は餓死によるものであった ーこれを一次資料の分析から例証していくのみならず、そもそもこのようになった原因は何であったか、実際の飢餓の苦しみがどんなものであったかといった点も丁寧に分析・描写される。
根本には(とりわけ日露戦争での「成功」体験により押し進められた)精神主義があり、これと密接に関わる要因として、軍事作戦遂行には必要不可欠であるはずの交通・補給・情報に対する、甚だしい軽視があった。
このような戦時における陸軍の意思決定を実質的に左右していたのは、陸軍幼学校及び陸軍大学校を出た「エリート」中堅幕僚らであった。
これらの教育機関においては、 -
Posted by ブクログ
タイトルは「餓死」と書いて「うえじに」と読ませる。そのまま
「がし」と読むよりインパクトがある。
先の大戦で亡くなった日本兵うち、大半が餓死及び栄養失調からの
戦病死である。「飢島」とも呼ばれるガダルカナル島や無謀な作戦
であったインパールなどに限ったことではない。
ほぼすべての戦場で、兵站を無視した「作戦ありき」の下で考え出され
た作戦によって引き起こされた悲劇だ。
ある部隊には2週間分の食糧を、ある部隊には1か月分の食糧を持たせて
洗浄へ送り出し、「持参した食料がなくなったら現地調達せよ」。
洗浄となった地域すべてが肥沃な土地なら耕作も可能だろう。だが、
地勢調