【感想・ネタバレ】若い男/もうひとりの娘のレビュー

あらすじ

親子ほど年の離れた男との熱愛のさなか、脳裏をよぎる若い頃の記憶と死の想念を冷徹に描く「若い男」。自らの誕生につながった姉の死の秘密を緊密な文章でつづる「もうひとりの娘」。生と性と死を書き続けて半世紀となるノーベル賞作家の最新作を含む2篇所収

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Posted by ブクログ

全然関係ない「ファースト・キス」という映画で現在・過去・未来の「ミルフィーユ理論」なるものが話題になっていたが、この「若い男」はミルフィーユ理論をわかりやすく描いてくれたなと思った。

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2025年09月09日

Posted by ブクログ

非常におもしろい。

無駄な比喩がなく、本質が凝縮されたような文体。つまり、出来事の語りと視点の語りがうまく混ざり合っていた。
視点にはキリスト教や常識など文化的なものもあるし、立場や個人的な感情に立脚してもいた。

『若い男』では、周りの人から特別な意味で「見られてしまう」自分たちの関係を、そうした見方とのあからさまな対立を持ちだして掘り下げていくのではなく、相手をプライベートな人間と見なして、つまり好きな人間として相手と関わっていて、それにまつわる感情と知性と官能を描いていた。相手をあるカテゴリーに当てはめることはしてるけど、そうすることで相手を理解しようとかそういうことじゃなくて、自身の相対化に結びつけている。

『もうひとりの娘』では、両親への反抗を描いているというよりかは、愛の不在時における孤独と知性と共に生きる女性の、死者との袂の分かち方、自身の存在理由、書き続けることのあり方を掘り下げようとしていた。

感情や官能の作家というよりかは、孤独や知性の作家。自身の存在形式にえげつないほど敏感な作家なのだろう。

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2025年11月26日

Posted by ブクログ

同世代の女性がどんなふうに生きているのか、どんな風に感じているのか共感はできないけどなんとなく自分を奮い立たせてくれた感じがする

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

エルノー。一見非常に私的な散文のように見えるが、ここまで究極に個人を描くと、翻って公的な社会のようなものが現れてくる。
相手のことを見ているようで、実はその相手の中にいる過去の自分を見ている。身体に刻み付けられた過去の記憶という文章が印象的だった。

でもやっぱりエルノーはフランス語で読んだほうが沁みるね

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2024年08月31日

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