あらすじ
「視力1・0未満の子どもの割合が過去最高に」――。2023年秋、ショッキングなニュースが報じられました。文科省による調査の結果、裸眼視力が1・0に満たない子どもの割合が小学生で約38%、中学生で約61%、高校生では約71%となったというのです。
実は、WHOは2050年には世界人口の約半分が近視になると予測し、警鐘を鳴らしています。そして今、「近視は治療が必要な『病気』である」という認識が、世界的に高まってきています。
もし、あなたが「近視はメガネをかければいいので気にしなくていい」と思っているとしたら、それは間違いです。近視は、将来的に失明につながりかねない病気を引き起こすリスクを増やすことがわかっています。一方で、毎日数時間、外で遠くを見ているだけで近視が予防できるといったことも明らかになってきています。
日本では目薬や、目のサプリがたくさん売られている一方で、「視力が回復するメソッド」といった怪しげな話も出回っています。目に関するリテラシーを上げることが、今まさに必要です。
本書では、眼科医であり研究者である著者が、目について「役立つ」「世界基準の」情報をお伝えします。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
近視を防ぐには1日数時間、外で遠くを見よ。「2時間の屋外活動」は最良の近視予防!
屋外は強い光を浴びることができ、自然と遠くをみることができるため、近視予防には一石二鳥。
目薬は感覚的な要素が強く、プラセボ効果的に考えておく必要がある。
ブルーライトカットメガネが良いというエビデンスはなく、米国眼科学会では推奨していない。
子育てでは、近いものを見続ける習慣を改めることが大切。
Posted by ブクログ
身内か自分自身が深刻に悩まないと詳しくならないのが病気。目に関しては最近になって家族が緑内障と診断されたが、それまで、緑内障と白内障の違いが分かるかと問われても良く分からなかった。私自身も調子が良い方ではない。本書のおかげで非常に勉強になった。ただ、著者が開発した「視力回復機器」について紹介され、そのメカニズムの詳しい所が理解できていないので批判はできないものの、著者自身がコンタクトレンズを装着している矛盾がどうも引っかかってしまった。限界や制約があるという事だろう。
ー 文科省調査は、この眼軸の長さを初めて調べたわけです。眼球は本来まん丸に近いのですが、眼軸が伸びて軸性近視がひどくなると、卵やナスを横にしたような楕円形になります。
この眼軸の伸び率が、スマホ以降の小学生で顕著である。その子達はまだ成人していないが、従来の近視の常識に対して、将来どのような結果になるか不安であるという内容だ。体が成長するにつれ、角膜や水晶体、そして眼球がバランスよく成長していき、眼軸も伸びて、近くも遠くもくっきり見える正視に近づいていく。20歳くらいまでに、眼軸の長さが24mm程度になるようにプログラムされているらしい。眼球が伸びれば、網膜も一緒に伸び、そのために薄くなり、穴が開いたり破れると網膜剥離となったり、眼圧に対して弱くなると緑内障となるリスクが高まる。近視が病気である、という理由はそこにある。怖い話。
気になるのは視力回復の話。効果のあるもの、無いもの。危険なもの、安全性が検証されつつあるもの。曖昧さを排除した明確な回答が気持ち良い。この本の良さである。目のマッサージに意味はあるか否か。眼球洗浄は。目薬は、など。
最新の視力回復技術についても。オルソケラトロジー、アトロピン点眼薬。ここに著者の開発したクボタグラスの話も出てくる。後は、レーシックとICLについても。ICLは基本的には白内障の手術に似ている。試してみたい気もするが、しばらくは様子見かな、と。