【感想・ネタバレ】パルウイルスのレビュー

あらすじ

アメリカCDC(疾病予防管理センター)で新型コロナ対策を陣頭指揮してきた遺伝子工学の研究者カール・バレンタインは、旧知のナショナルバイオ社副社長のニックに頼まれ、同社の研究所で古い肉片からエボラに似た未知のウイルスを発見する。「もしこのウイルスが活性化したら……」というカールの懸念は現実化し、次第に感染者が増えていく。やがてウイルスを生物兵器として利用しようとする存在が──。『TSUNAMI 津波』『首都感染』などで未来を予知し続ける著者が警告する、私たちを襲う未曾有の危機。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

高嶋哲夫の本にハズレはない。偶然本屋で見つけ、即買いした。
遺伝子工学者のカールはナショナルバイオ社副社長のニックの依頼で、古い肉片からエボラに似た未知のウイルスを発見する。この未知のウイルスが次第に蔓延していく…、生物兵器といったビジネスに使えると考える輩が…。
この小説は、単に未知のウイルス蔓延による人類滅亡の恐怖を描いたものではない。現代人は愚かにも、古代人が封じ込めた太古のウイルスを復活させようとして、自滅の道を進もうとしていることに対し、警告を与えている。

地球温暖化により、シベリアなどの永久凍土に異常が発生し、地下のメタンハイトレードが融け、気体となったメタン(なんと温室効果はCO2の25倍!)がさらに温室効果に拍車をかける。
実はそれだけではなく、数万年以上前から埋もれていたマンモスなどが地表に露出し、マンモスの体内で生息していたウイルスが蘇生する。このウイルス、人類にとって潜在的な脅威になるのではないか。

カールの大学時代のルームメイトの友人ダン。大学時代に喧嘩別れした後、音信不通になっていたが、カール宛てにダンから特別便が届く。その特別便を手掛かりにカールはダンの消息を追う。

小説のタイトル「パルウイルス」。本文中では、ペイル、死のウイルスの意などとしているが、パルは友人、仲間という意味で、カールとダンのことを言っているような気がした。ラストでカールはダンと奇跡的に邂逅するが、このシーンに透明感のある美しさを感じた。
今後、「シベリア凍土から人類に脅威を与える新たなウイルスが発見された」といニュースを聞いたら、きっとこの小説のこと思い出すことだろう。

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2024年08月28日

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