あらすじ
ヒトは老化をいかに超えるか? ヒトの寿命はいかに延びるか? 「老いない未来」が現実化する今、エイジング・クロックやエイジング・ホールマークスといった「老化を科学する」視点をわかりやすく解説する。気鋭の生物学者が導く、寿命の進化の最前線!
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Posted by ブクログ
タイトルから、一瞬怪しげな本だと思ってしまった…
現在の医学では、もちろん老化を止めることはできない。
が、メカニズムが部分的には分かってきたらしい。
それどころか、若返りも期待できるかもしれないという。
最近はやりのNMN(ニコチンアミドモノヌクレチオ)サプリなども、そういう研究から生まれたものだそうだ。
(いや、正直、本書を読むまでそんなサプリなんて知らなかったけど)
エイジング・クロックという考え方も紹介されていた。
生物学的年齢の測定のことだという。
DNA配列のメチル化のパターンによる推定方法に始まり、さらに新しい測定方法が開発されているという。
このような技術から、やがて老化は「病気」として診断されたり、子どものうちから老化コントロールをするようになるかも、とのことだった。
これらの研究の一つの目的は、健康寿命の伸長だとのことで、アメリカでは大富豪たちが研究助成をすることでどんどん進んでいるらしい。
筆者はアメリカで進んでいくことについては、アメリカの薄い健康保険制度の関わりを指摘していたが…そこはどうなんだろうか?
筆者は、エイジング・コントロールを人類全体の医療課題と捉え、老年科学の普遍化と社会実装を目指す立場を取っている。
そうだとすれば、すばらしいことだ。
つい悲観的に考えてしまうのが自分の良くないところかもしれないが、しかしこの件、全ての人々が恩恵に浴することができるのか、やや不安だ。
物心ついた時から、老い(と死)はすべての人にやってくるものと思っていたから、なかなか気持ちが切り替えられないのかもしれない。
そんな気持ちと戦いながら、本書を読んだ。