あらすじ
難病を患い、車椅子で生活をするダニエルは、玄関ポーチから近所を観察することを趣味としていた。頻繁に通る若い女性のことが少し気になるダニエルだったが、ある日、彼女が誘拐される場面を目撃してしまう。彼はネットを駆使して独自の捜査を始めるが……。
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Posted by ブクログ
『朽ちるマンション 老いる住民』(朝日新聞取材班)、『車いすにのったらどうなるの?』(ハリエット・ブランドル)を読んでいて、【車椅子の人の生活はどんなものなのか?】と気になった時に見つけた『車椅子探偵の幸運な日々』(ウィル・リーチ)。
学生の時に車椅子の体験(乗る側・押す側両方)をした事はあるけれど、そこから見えるものはまだまだ少ない。
それに乗る人を外で見る事が何回かあるものの、それもまたワンシーンを切り取ったものに過ぎない。
小説という物語形式なら、その描写が多少描かれているのではないか?と思って手に取ったのですが、
もうちょっとどころじゃなくてすごかった。
私が今までに読んできたお話の中で体が不自由なキャラクターって、その設定だけで止まっちゃってる事が多かったのですが、
本書は車椅子生活を送る人の細かい描写がストレートに書かれていて興味深かったし、そして現実世界としてのお話でこんなスリリングな車椅子の話、読んだ事がない。
そして同時にSMA(脊髄性筋萎縮症)と身近に存在する【死】を知れた事は大きかったです。
死が付きまとう進行性の病気を患いながらも家族のもとを離れて懸命に生きていこうとする主人公の様子に元気もらえたし、
日々のちょっとした事ですぐにイラっときて落ち込む事がバカらしくなった………。
「海外の人が書いた小説って、一つの事を説明するのに長い言い回しや例え話を持ってきがちで苦手」と思って避けてきたけれど、
今回みたいな大当たりは正直予想してなかったので、嬉しかったです。
食わず嫌いはあきまへんな。