あらすじ
グローバル化がますます深化拡大するなか、世界の政治は外国人排斥や反グローバリズム、そして時には戦争という、しばしば「ナショナリズム」と結び付けられる現象に彩られている。このような動きに対して「保守化」「右傾化」といった表現がされることがあるが、それは適切なのか?経済、環境、ジェンダーをはじめナショナリズムをめぐる政治イデオロギー間の関係性をときほぐすことで、現代社会の複雑な政治意識を明らかにする。
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Posted by ブクログ
素晴らしくわかりやすかった。流石サントリー学芸賞受賞の学者さんの新書というクオリティ。ナショナリズム=右派というイメージが強いが、歴史的文化的な文脈においてはむしろ左派こそがナショナリズムを活用していたこともあるし、現代においても国や地域によって様々である。そして、左右とは何なのか、ということを一軸ではなく経済的な文脈(分配・平等か市場の自由か)と社会文化的な文脈(GAL-TAN)の二軸で捉える視点やナショナリズム意識を構成する意識の分類や相互関係など、メディアや一般的なイメージでは雑に捉えられているものが最新の研究の世界ではどのように整理され、探究が進んでいるのかよくわかって、これから参照する機会が多くなりそうな良書と出会えました。教えてくれた人に感謝。
Posted by ブクログ
なかなか面白かったですね〜
まぁ、ナショナリズムといわゆる「右」とか「左」ってどのように結びついてるかって話で、ざっくりと結論を言っちゃうといろいろあるよってことなんよ
ナショナリズムひとつとっても色々な意味を内包していて多義的なんよね
で、日本で言えばナショナリズムって「右」と密接に結びついてそうなイメージなんだけど、時代の移り変わりであったり、国によっては全然そんなことないよ
ほんと色々あって、その色々を踏まえた上で考えるのが大事なんよってことなんよ
特に印象に残ったのが、ナショナリズムとLGBT平等の関係性についてってところ
みなさんはどんな印象を持つ?
わいはそれって相反するイメージなんですな
いわゆるナショナリストなんて呼ばれる人は同性婚なんて絶対認めません!って感じ
でももうこの時点でダメーってことらしいです
そう思う時点で潜在的な差別意識が働いてるんじゃね?ってさ
国によっては「ナショナリズムとLGBTって関係なくね?」ってところもあれば、伝統的にLGBT差別もってのほかってところはむしろ「ナショナリズムってLGBT平等実現してこそじゃね?」って国もあるんよね
他にも色々と国によって違っていて、大変興味深く読み終えることができました
良書!